(2023.2.10更新)
様々な法令・条約の中でも「児童の権利に関する条約」は保育士試験によく出されるので、必ずおさえておきたいです。
全文は外務省ホームページで見ることができます。
主に出題される科目は「子ども家庭福祉」であり、「社会的養護」「保育原理」「社会福祉」などに出題されることもあります。
※「社会福祉」では内容面ではなく、制定年の並び替え問題が出題されています。
※令和4年神奈川県試験では「教育原理」でも出題されました。

この条約の最低限の知識としては、
・1989年に国連総会で採択された国際条約
・子どもが権利行使の主体となった
・日本は1994年に批准(=ルールを導入)
・アメリカは現在も批准していない
などです。

では、前文と54条から成り立つ条文の中で、どの部分を勉強をすれば良いのでしょうか。

そこで
1.何故保育士試験に出題されるのか
2.どの条約が出題されやすいのか

という部分を説明します。




1.何故保育士試験に出題されるのか


日本では1994年に「児童の権利に関する条約」を批准した後、子どもに関する法令が整っていきました。
例えば、「児童福祉法」は、「児童の権利に関する条約」の精神に寄りそうようにして改正されています。
「児童福祉法」自体は1947年に制定されたものですが、その後50年近く後に批准した「児童の権利に関する条約」に基づいて改正されたということです。
2016年に改正された「児童福祉法」第1条では、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり(略)等しく保障される権利を有する。」としており、「児童の権利に関する条約」という言葉が新しく含まれました。

「児童福祉法」が保育士試験に重要なことは言うまでもありませんが、その「児童福祉法」が近づこうとしているのが「児童の権利に関する条約」の精神なので、「児童の権利に関する条約」の条文が保育士試験によく出題されるということが言えます。

2.条約のどの部分が出題されやすいのか


過去の保育士試験にて「児童の権利に関する条約」のどの条文が出題されたかをまとめました。
(平成27年〜令和4年後期まで)


科目

出題条文

問題形式

令和4年後期

子ども家庭福祉

第9条

語句穴埋め


子ども家庭福祉

第31条第1項

語句穴埋め

令和4年前期

子ども家庭福祉

第3、9、12、28、31条

誤った文章を選ぶ


保育原理

第6条

名称と条文を結ぶ

令和3年後期

子ども家庭福祉

第3、9、12条

誤った文章を選ぶ

令和3年前期

子ども家庭福祉

第3条

文章穴埋め

令和2年後期

子ども家庭福祉

第43条

語句穴埋め

令和元年後期

児童家庭福祉

第3、5、9、20条

◯×組み合わせ

平成31年前期

児童家庭福祉

第12条

語句穴埋め

平成30年後期

児童家庭福祉

第9条

語句穴埋め

平成30年後期

社会的養護

第1、12、43条

◯×組み合わせ

平成30年前期

児童家庭福祉

第27条

語句穴埋め

平成29年後期

社会的養護

第20条

語句穴埋め

平成29年前期

児童家庭福祉

第12条

語句穴埋め

平成28年後期

児童家庭福祉

第18条

語句穴埋め

平成28年前期

児童家庭福祉

前文、第1、3、18条

誤った文を選ぶ


保育原理

第12条

語句穴埋め

平成27年地域限定

児童家庭福祉

第14条

誤った文を選ぶ


児童家庭福祉

前文、第1、3、18条

◯×組み合わせ


保育原理

第7条

語句穴埋め

平成27年

児童家庭福祉

第12、13、14、18条

誤った文を選ぶ


一度でも出題されている条文を抜き出し、その中でもすべての科目を通して3回以上繰り返し出題されている第1、3、9、12、18条を優先的に覚えていきましょう。

第1条
「この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。」
この条約において、児童の定義を18歳未満のものとしています。
「ただし〜」の意味としては、日本の場合は未成年者が結婚すると成年となることを民法で定めていますので、16歳で結婚した女性は成年に達したということになり、児童ではなくなるということです。


第3条
「1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
2 締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。
3 締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。」
第3条は第1項から第3項までありますが、令和3年前期、令和元年後期、平成28年前期、平成27年地域限定すべて第1項が出題されています。
 
第9条(第1項)
「1 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。」
第9条は第1項から第4項までありますが、特に重要なのは第1項です。

第12条
「 1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」
一見難しい文章ですが、児童が自由に意見を表明できることや、その意見については児童の年齢や成熟度に応じて考慮するということが書かれています。
「社会的養護」にも関係してくる内容ですね。 

平成31年前期試験では青字、平成29年前期試験では赤字の部分が穴埋めとなっています。


第18条

「1 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。

2 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。

3 締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。」

ここでは子どもの養育はまず父母に責任があること、そして国が援助を行うことが書かれています。
平成28年後期試験では赤字の部分が穴埋めになっています。



このようにして、単純に前文から学習するのではなく、過去問でよく出題されている部分から学習を始めるのがコツです。

特に「子ども家庭福祉」では必ず出るものと考えて、出題されたら確実にとれるようにしっかりと準備をしておきたいですね。