※2019.5.13に書いた記事ですが、2020.12.14に追記、2021.4.1に修正し更新しました。

様々な法令・条約の中でも「児童の権利に関する条約」は保育士試験に良く出されるので、必ずおさえておきたいです。
全文は外務省ホームページで見ることができます。

主に出題される科目は「子ども家庭福祉(児童家庭福祉)」ですが、「社会的養護」「保育原理」「社会福祉」などに出題されることもあります。
※「社会福祉」では内容面ではなく、制定年の並び替え問題が出題されています。

この条約の最低限の知識としては、

・1989年に国連総会で採択された国際条約
・子どもが権利行使の主体となった
・日本は1994年に批准(=ルールを導入)
・アメリカは現在も批准していない

などです。

10問しかない「社会的養護」にも条文問題が出題されることがありますので、すでに「子ども家庭福祉」を合格されて「社会的養護」が残ったという方も学習が必要です。
では、前文と54条から成り立つ条文の中で、どの部分を勉強をすれば良いのでしょうか。

そこで

1.何故保育士試験に出題されるのか
2.条約のどの部分が出題されやすいのか

という部分を説明します。





1.何故保育士試験に出題されるのか


日本では1994年に「児童の権利に関する条約」を批准した後、子どもに関する法令が整っていきました。
例えば、「児童福祉法」は、「児童の権利に関する条約」の精神に寄りそうようにして改正されています。
「児童福祉法」自体は1947年に制定されたものですが、その後50年近く後に批准した「児童の権利に関する条約」に基づいて改正されたということです。
2016年に改正された「児童福祉法」第1条では、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり(略)等しく保障される権利を有する。」としており、「児童の権利に関する条約」という言葉が新しく含まれました。

「児童福祉法」が保育士試験に重要なことは言うまでもありませんが、その「児童福祉法」が近づこうとしているのが「児童の権利に関する条約」の精神なので、「児童の権利に関する条約」の条文が保育士試験によく出題されるということが言えます。

2.条約のどの部分が出題されやすいのか


過去の保育士試験にて「児童の権利に関する条約」のどの条文が出題されたかをまとめました。
(平成27年〜令和2年後期まで)


科目

出題条文

問題形式

令和2年後期

子ども家庭福祉

43

語句穴埋め

令和元年後期

児童家庭福祉

35929

×組み合わせ

平成31年前期

児童家庭福祉

12

語句穴埋め

平成30年後期

児童家庭福祉

9

語句穴埋め

平成30年後期

社会的養護

11243

×組み合わせ

平成30年前期

児童家庭福祉

27

語句穴埋め

平成29年後期

社会的養護

20

語句穴埋め

平成29年前期

児童家庭福祉

12

語句穴埋め

平成28年後期

児童家庭福祉

18

語句穴埋め

平成28年前期

児童家庭福祉

前文、第1318

誤った文を選ぶ


保育原理

12

語句穴埋め

平成27年地域限定

児童家庭福祉

14

誤った文を選ぶ


児童家庭福祉

前文、第1318

×組み合わせ


保育原理

7

語句穴埋め

平成27

児童家庭福祉

12131418

誤った文を選ぶ



社会的養護」対策としては、まず過去の「社会的養護」に出題されている第1、12、20、43条は必ずおさえます。
すべての科目を通して3回以上繰り返し出題されている、第1、12、18条の暗記も必要です。

第1条
「この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。」
この条約において、児童の定義を18歳未満のものとしています。
「ただし〜」の意味としては、日本の場合は未成年者が結婚すると成年となることを民法で定めていますので、16歳で結婚した女性は成年に達したということになり、児童ではなくなるということです。


第12条
「 1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」
一見難しい文章ですが、児童が自由に意見を表明できることや、その意見については児童の年齢や成熟度に応じて考慮するということが書かれています。
「社会的養護」にも関係してくる内容ですね。 

平成31年前期試験では青字、平成29年前期試験では赤字の部分が穴埋めとなっています。


第18条

「1 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。

2 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。

3 締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。」

ここでは子どもの養育はまず父母に責任があること、そして国が援助を行うことが書かれています。

平成28年後期試験では赤字の部分が穴埋めになっています。


第20条(第1項)

「1 一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。」

「特別の保護」という言葉は、「児童の権利に関する宣言」や「児童憲章」にも出てきます。
平成29年
後期試験では赤字の部分が穴埋めになっています。


第43条(第1項)

「1 この条約において負う義務の履行の達成に関する締約国による進捗の状況を審査するため、児童の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この部に定める任務を行う。」

第43条は「児童の権利に関する委員会」の設置について定められています。
第1項から第12項までありますが、過去の試験では第1項しか出題されていません。
令和2年
後期試験では赤字の部分が穴埋めになっています。



このようにして、単純に前文から学習するのではなく、過去問でよく出題されている部分から学習を始めるのがコツです。
特に「社会的養護」は全部で10問しかない科目なので、出題されたら確実にとれるようにしっかりと準備をしておきたいですね。


以上、
「児童の権利に関する条約」の「社会的養護」対策についてでした。