教育原理における、「教育基本法」「学校教育法」「日本国憲法」「幼稚園教育要領」以外の法律の出題傾向について分析しています。
平成31年前期試験から10回分をさかのぼって説明しています。

平成28年後期試験、平成28年前期試験、平成27年試験
「いじめ防止対策推進法」

平成25年に施行された、いじめの定義や基本的施策が定められた法律です。

第1章 総則
第2章 いじめ防止基本方針等

第3章 基本的施策
第4章 いじめの防止等に関する措置
第5章 重大事態への対処
第6章 雑則

という構成で、全部で35条の条文から成り立ちます。

10回の試験の中で3回出題されている重要な法律です。


これまでの出題傾向とポイント

では、その3回の出題内容を見ていきましょう。

平成28年後期は第8条が出題されました。
これは第1章総則の中にあり、学校と学校の教職員の責務について定めています。

学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」

赤字部分の穴埋め問題です。
条文を知らなくても「防止及び早期発見」の部分は法律名から考えることができますが、「思われる」を選ぶのは少し難しいですね。

「思われる」ということは、疑われる、可能性があるということなので、いじめを受けているのか確かではない状態です。
しかし情報提供があったり、確証を得たりするのを待っているのは遅く、学校や教職員が感じた時に迅速に対処するということまで想像できれば、「思われる」を選ぶことができます。


平成28年前期は第15条が出題されました。
これは第3章の基本的施策の中にあり、学校におけるいじめの防止について定めています。

「学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。」

赤字部分の穴埋め問題です。
最初の赤字は、「豊かな情操」か「確かな学力」のどちらかを選びます。
すぐ後ろにある道徳心と並ぶものはどちらかと考えた時に、学力ではなく情緒の豊かさを意味する「豊かな情操」であるということはわかりやすいですね。

ただ、後半の「体験活動等」については似たような選択肢も5種類あり、条文を読み込んでいないと難しいといえます。
ポイントは、条文にあるように道徳教育と並んで対人交流の能力を養うのは何かということです。
体験活動とは、ボランティア、野外体験、米作り、地域の伝統文化体験など、様々な種類があります。
自分で身体を動かして体験することが豊かな成長につながるという考え方で、これが答えになります。


平成27年は第2条が出題されました。
これは第1章総則の中にあり、いじめの定義を定めています。

この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」

赤字部分の穴埋め問題です。
選択肢には似た言葉が並んでおり、暗記が必要でした。
この第2条の条文は定義なので、完全に覚えておきたいところです。

細いところですが、「人間関係」ではなく「人的関係」ですね。
人間関係は集団の中の人と人の関係で、例えば学校のクラス内のAさんとBさんといった関係です。
人的関係は人に関したもので、例えばAさんに関する集団、仲間、所属しているチームなどを指します。

条文を覚える時は、さらっと読むと読み間違えたり頭に入らなかったりしますので、一語一語丁寧に見ることが大切ですす。
「よく見ると人間関係ではなく、人的関係という言葉が使われている」などという発見ができれば、頭に残りやすいですね。


学習方法


「いじめ防止対策推進法」は3回の試験で第1章、第2章から出題されていますが、それ以外からも出る可能性があり、範囲をしぼるのが難しいと感じました。 
何故なら全体的に方針、措置、対処などとなっており、教育原理の科目に全く関係のないものは少ないのです。
よって35条は全ておさえておきたいところです。

文部科学省ホームページ
では、いじめの問題に対する施策として、この「いじめ防止対策推進法」だけでなく、「いじめの防止等のための基本的な方針」やガイドラインなど、様々な法令や通知が載っています。
特に方針ガイドラインは平成29年に改定されたり作られたりしている新しいものなので、タイミングから考えるとそろそろ出題されそうです。
このページのどれが出題されても不思議ではないので、教育原理を受ける前にここは是非確認しておきたいところです。
ただあまりにも量が多いので、法令についてはそれぞれの「概要」のPDFを確認するとよいですね。



「いじめ防止対策推進法」ポイントまとめ
・35条の内容を全ておさえておく
・文部科学省のホームページにある方針やガイドラインなどの関係法令まで学習範囲を広げる