(2022.7.26更新)

「学習指導要領」

平成27年地域限定試験では、「学習指導要領」自体の問題が出題されました。
「学習指導要領」とは一体どのようなものなのかという問題です。

実際の試験問題

5つの設問から不適切な内容を1つ選ぶ問題でした。
次の文は、学習指導要領についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 学習指導要領とは、教育課程の基準として文部科学大臣が告示するものである。
2 学習指導要領は、「学校教育法」や「学校教育法施行規則」など法的根拠に基づいて告示されるものであり、法的拘束力をもつとされている。
3 学習指導要領は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校(小学部・中学部、高等部)と、学校の校種別に定められている。
4 最初の学習指導要領は、1947(昭和 22)年に『学習指導要領一般編(試案)』として文部省より刊行された。
5 学習指導要領は、国立及び公立学校における教育課程編成の基準であるため、私立学校においては、総合的な学習の時間を置かないなど、学習指導要領によらない教育課程を編成することが認められている。

一つずつ見ていきます。

1 学習指導要領とは、教育課程の基準として文部科学大臣が告示するものである。

→◯
「学校教育法」第33条では「小学校の教育課程に関する事項は文部科学大臣が定める」としています。
教育課程の基準=学習指導要領ということになりますね。
また、校種別のそれぞれの学習指導要領には「文部科学省告示」という言葉と文部科学大臣の名前が記されています。
「告示」とは従わなければならないもので、法的拘束力を持ちます。 

2 学習指導要領は、「学校教育法」や「学校教育法施行規則」など法的根拠に基づいて告示されるものであり、法的拘束力をもつとされている。

→◯
「学校教育法」には学習指導要領という言葉はありませんが、第33条のように「教育課程に関する事項」として定めています。
また「学校教育法施行規則」では、第52条に「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。」としています。

つまり、学習指導要領の法的根拠は「学校教育法」「学校教育法施行規則」にあるということですね。

3 学習指導要領は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校(小学部・中学部、高等部)と、学校の校種別に定められている。
 
→◯
幼稚園を含むかどうかで迷いますでしょうか。
幼稚園は「幼稚園教育要領」という名称のため、幼稚園においては「学習指導要領」は定められていません。
また、特別支援学校の幼稚部においても「特別支援学校幼稚部教育要領」という名称があり、「学習指導要領」ではありませんね。

4 最初の学習指導要領は、1947(昭和 22)年に『学習指導要領一般編(試案)』として文部省より刊行された。  

→◯
学習指導要領は改訂も多く、その変遷は教科書にも載っている内容なのでしっかりとおさえておく必要があります。
特に1947(昭和)22年に「学習指導要領一般編(試案)」が発行され、1958(昭和)33年に公示となって法的拘束力を持つことになることをおさえます。

5 学習指導要領は、国立及び公立学校における教育課程編成の基準であるため、私立学校においては、総合的な学習の時間を置かないなど、学習指導要領によらない教育課程を編成することが認められている。

→ ×
「学習指導要領」は国立、私立、公立全てに適用されるものであり、すべての教育課程の基準は「学習指導要領」によります。


1〜5のうち、3と5は迷いやすいと感じます。
3はシンプルに考えて幼稚園は教育要領なので対象外ということ、5は具体的に書かれすぎていることに疑問を持つということができれば正しい答えを見つけられます。

今後の学習のポイント

これからも「学習指導要領」の基本事項や過去の改訂が出題されると考えられます。

告示年と改訂内容はキーワードだけでも簡単に覚えるといいですね。
文部科学省学習指導要領のページ学習指導要領の変遷などを確認して、改訂内容(キーワード)をおさえたいです。

「学習指導要領」ポイントまとめ
・制定年や定められている基本事項を覚える
・改訂された告示年と内容(キーワード)を覚える