過去10回の試験に出題された中央教育審議会答申の5つの問題を分析しています。

平成30年前期試験問題

平成30年前期試験は2問出題され、まず問9は「道徳に係る教育課程の改善等について(答申)」からの出題でした。
5つの文章のうち、誤った文章を選ぶ問題です。

1 道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うという道徳教育の基本的な考え方は、今後も引き継ぐべきであると考えられている。

2 道徳の授業については、特に小学校高学年や中学校において課題の改善のため、児童生徒の発達の段階を踏まえ、内容や指導方法等を適切に見直すことが必要である。

3 道徳の時間については、道徳教育の要となって人格全体に関わる道徳性の育成を目指すものであることから、各教科と同様に数値による評価を行うことが望ましい。

4 様々な道徳的価値について、自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省し、多角的に考え、判断することが必要と考えられている。

5 学校における道徳教育は、学校のあらゆる教育活動を通じて行われるべきものである。


この5つの文を読んで、道徳教育について「何か違う」と思うものを選びます。
引っかかるところとしては、1の「引き継ぐべきである」3「数値による評価」5「あらゆる教育活動を通じて」という部分でしょうか。

そこで道徳の授業をイメージしてみると、例えば問題のある状況において「自分ならどうするか」と意見を求められるとします。
人それぞれ意見が違うため、何が正しくて何が間違えかということはありません。
他の教科と違って正解がないため点数をつけることもできず、数値による評価を行うことができません。

よって、3が誤った記述ということになります。
道徳という教科をイメージして素直に考えると、3を選ぶことができますね。

3についての正しい記載はこのようになっています。

道徳の時間については、学習指導要領に示された内容について体系的な指導により学ぶという各教科と共通する側面がある一方で、道徳教育の要となって人格全体に関わる道徳性の育成を目指すものであることから、学級担任が担当することが望ましい と考えられること、数値などによる評価はなじまないと考えられることなど、各教科にはない側面がある。

また、具体的な評価方法についてはこのように書かれています。

なお、道徳性は、極めて多様な児童生徒の人格全体に関わるものであることから、個人内の成長の過程を重視すべきであって、「特別の教科 道徳」(仮称)について、指導要録等に示す評価として、数値などによる評価は導入すべきではない。
道徳性の評価に当たっては、指導のねらいや内容に照らし、児童生徒の学習状況を把握するために、児童生徒の作文やノート、質問紙、発言や行動の観察、面接など、 様々な方法で資料等を収集することになる。その上で、例えば、指導のねらいに即した観点による評価、学習活動における表現や態度などの観察による評価(「パフォーマ ンス評価」など)、学習の過程や成果などの記録の積み上げによる評価(「ポートフォ リオ評価」など)のほか、児童生徒の自己評価など多種多様な方法の中から適切な方法を用いて評価を行い、課題を明確にして指導の充実を図ることが望まれる。

資料を収集して、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価、生徒自信の自己評価などを用いて行うということになります。
数値の評価ではありませんので、例えば「自分の体験を生かして、どのようにしたらよいかと自分のこととして考えていました。また、人によって考え方が異なること、捉え方が異なることも理解できていました。」などと文章で評価することになります。



次に、問10は「子どもの体力向上のための総合的な方策について (答申)」から出題されました。
2ヶ所の穴埋め問題でした。

できるだけ児童生徒が体を動かす時間を多く確保できるよう、始業前や休み時間を活用して全校で体を動かす時間を設定するなどの工夫が求められる。その際、児童生徒がより運動することを楽しみ、体力の向上に積極的に取り組むことができるようにすることが重要である。
このため、特に幼稚園や小学校の教員については、子どもの発達段階に応じて、( A )を促したり、体を動かす楽しさや喜びを体験させる指導ができるよう、実技研修などを充実することが求められる。(中略)

さらに、小学校では、地域や学校の実情に応じて( B )の配置に積極的に取り組むことが期待される。中学校の保健体育の教員が小学校の体育を指導するなど異なる校種間の連携協力も効果的である。また、地域のスポーツ指導者を特別非常勤講師としてより一層活用することも求められる。


Aの選択肢は、外遊びやる気の2つ
Bの選択肢は、固定遊具体育専科教員運動施設の3つ

まず、選択肢が少ないAの方から考えます。
「を促したり」に続くので、一見「やる気」が入るように感じます。
しかしAの前後には、「体を動かす時間を多く確保」「体を動かす時間を設定」「運動することを楽しみ」「体を動かす楽しさや喜びを体験」などがあり、外遊びがイメージできることを書いていることに気づきます。
ただ、「やる気」でも文章は通じるため、これは事前に答申の内容を知っておく必要があります。

この答申はボリュームがありますが、最初の「はじめに」を開いてみると、そもそも答申を行うことになった諮問理由が載っています。

・スポーツ,外遊び,自然体験活動等,子どもがより一層体を動かし,運動に親しむようになるための方策
・子どもの体力向上のために望ましい生活習慣を確立するための方策

という2点です。
これを見るだけでも、この答申内容がスポーツ、外遊び、自然体験活動についての方策や取り組みを述べていることだと分かります。
これを知っていると、Aが「外遊び」ということがすぐに分かります。

また、Bについては、文章内に保健体育の教員、地域のスポーツ指導者と具体的な人物が出てきていますので、遊具や施設などではなく、体育専科教員を配置することが分かりますね。

穴埋め問題は、このように前後の文章から推測できる場合もありますが、事前に1つでも多くの答申をチェックして正しい答えを確実に選びたいですね。

引き続き、過去問分析を行います。