過去10回の試験に出題された中央教育審議会答申の5つの問題を分析します。

平成29年後期試験問題

平成29年後期試験は「新しい時代における教養教育の在り方について(答申)」からの出題で、3箇所の穴埋め問題でした。

核家族化、少子化、都市化などが進行し、家族の在り方が大きく変わり、また、地域における地縁的なつながりが希薄化する中で、家庭の教育力や地域社会が従来持っていた教育力が低下してきている。従来は家族や他人との日常のかかわりの中で自然にはぐくまれてきた子どもたちの( A )や規範意識が不足がちになっており、このことが学級崩壊、弱いものに対するいじめや暴力行為などの問題行動の一因とも言われている。
これらの状況に対し、( B )の支援や地域における青少年教育の充実を図る観点から様々な施策が講じられてきたが、現時点では十分な成果があがっているとは言い難い。

(中略)
児童生徒の現状を見ると、数学や理科が好きであるとか、将来これらに関する職業に就きたいと思う者の割合が国際的に低い水準になっているなど、自ら進んで学ぶ意欲や、学ぶことと将来の生き方とを結び付けて考えようとする姿勢に欠ける面が見られるようになった。
このことの背景には、我が国の教育が、形式的な平等を重視する余り、( C )になりがちで、一人一人の多様な個性や能力の伸長という点に必ずしも十分に意を用いてこなかったこと、自ら学び、自ら考える力や、豊かな人間性をはぐくむ教育がおろそかになってきたことなどがある。


Aの選択肢は、積極性社会性の2つ
Bの選択肢は、家庭教育学校教育の2つ
Cの選択肢は、集団主義的なもの到達水準を厳密化するもの、画一的なものの3つ

まず、選択肢が少ないA、Bから考えます。
Aの前に「地域における地縁的なつながりが希薄化」「家庭の教育力や地域社会の教育力が低下」「家族や他人との日常のかかわりの中で自然にはぐくまれてきた」とあります。
また、Aと並ぶ言葉が、社会のルールを守ることを意味する「規範意識」です。
このことより、Aは社会に関する言葉になると分かり、社会性が入ると分かります。

Bは、家庭か学校か迷うところです。
ただBの選択肢を含む「Bの支援や地域における青少年教育の充実を図る」は、その前にある「家庭の教育力や地域社会が従来持っていた教育力が低下してきている」を受けていると考えます。
このことより家庭教育が入ると分かります。

AとBが決まれば、その組み合わせによって、Cは到達水準を厳密化するもの、画一的なものの2つに絞ることができます。
Cの前では、自分で進んで学ぶ意欲が低いということを述べており、その理由がCを含む文章です。

「形式的な平等を重視」「一人一人の多様な個性や能力を伸ばすことが不十分だった」とは、個性を考慮せず全て一様に行っていたということです。
つまり、Cは画一的なものとという言葉が入ります。
選択肢にある、画一的なもの、集団主義的なものは同じような意味合いがありますが、先にAとBが分かれば消去法で答えを導き出せます。


では、「新しい時代における教養教育の在り方について(答申)」とは、どのようなものなのか簡単にまとめます。
ポイントは「教養」とは何か、なぜ今「教養」が求められているかということです。
まず、表題にある「教養」については第2章で説明されています。

教養とは,個人が社会とかかわり,経験を積み,体系的な知識や知恵を獲得する過程で身に付ける,ものの見方,考え方,価値観の総体ということができる。(略)教養は,知的な側面のみならず,規範意識と倫理性,感性と美意識,主体的に行動する力,バランス感覚,体力や精神力などを含めた総体的な概念としてとらえるべきものである。

つまり、物事の理解力や心の豊かさなどを教養としています。

また、第1章では、今の時代に何故「教養」が求められるかということが説明されてあります。

このような時代においてこそ,自らが今どのような地点に立っているのかを見極め,今後どのような目標に向かって進むべきかを考え,目標の実現のために主体的に行動していく力を持たなければならない。この力こそが,新しい時代に求められる教養であると考える。我々は,このような前提を踏まえながら,歴史的な転換期・変革期にあって,一人一人が自らにふさわしい生き方を実現するために必要な教養を再構築していく必要がある。

現代は急速な情報化の進展により人間関係が希薄化して様々な問題を引き起こしており、自ら学ぶ意欲も薄れているということ。
そのような時代だからこそ、自ら主体的に行動していく力が必要であるとして「教養」の必要があると述べています。
そしてどのように教養を養っていくのかという具体的な課題や方策が第3章にあり、幼・少年期、青年期、成人と3つに分かれています。

今回の保育士試験では、その中の「幼・小年期における教養教育の課題」が出題されました。
受験するのは保育士試験ですから、やはり幼児期について述べられているところが重要で、出題されやすいと言えます。

答申を勉強する際は、概要を自分で簡単にまとめたあと、幼児期について述べている部分がないか探すというのもおすすめです。