(2022.8.5更新)
中央教育審議会答申の過去問を分析します。

平成27試験問題

平成27年(問7)は「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」からの出題で、3箇所の穴埋め問題でした。
次の文は、中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在 り方について」(平成23 年1月)に示された、キャリア教育と職業教育の3つの基本的 方向性である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを選びな さい。

① 幼児期の教育から高等教育まで体系的にキャリア教育を進めること。その中心として、 基礎的・( A )能力を確実に育成するとともに、社会・職業との関連を重視し、実 践的・体験的な活動を充実すること。
② 学校における職業教育は、基礎的な知識・技能やそれらを活用する能力、仕事に向か う意欲や( B )等を育成し、専門分野と隣接する分野や関連する分野に応用・発展 可能な広がりを持つものであること。職業教育においては実践性をより重視すること、 また、職業教育の意義を再評価する必要があること。
③ 学校は、生涯にわたり社会人・職業人としての( C )を支援していく機能の充実 を図ること。

(組み合わせ)
   A        B     C
1 実用的  態度   職業観育成
2 実用的  態度  キャリア形成
3 実用的  関心  キャリア形成
4 汎用的  関心   職業観育成
5 汎用的  態度  キャリア形成

それぞれの選択肢に含まれる言葉は2つずつで少ないですが、よく似た言葉が並んでおり、前後の言葉から推測して正しい選択肢を選ぶことが難しいです。
Aは、一つのことをさまざまな分野や用途に用いることができるということを意味する「汎用的」が入ります。
答申の本文の中では、「基礎的・汎用的能力」と2つをセットにしてあらわしています。
これについては、
「基礎的・汎用的能力」の名称については、「基礎的能力」とその基礎的能力を広く活用していく「汎用的能力」の双方が必要と考え、両者を一体的なものとして整理する。
と説明されています。
事前に答申を読んで、これを知っていなければよく分かりません。

Bは「態度」が入ります。
「仕事に向かう意欲」と並ぶものですので「態度」と分かりますが、「関心」でも文章は通じるため内容を知らなければ間違えてしまいます。

Cは「キャリア形成」が入ります。
もう一つの選択肢である「職業観育成」とは、何のために働くかといった価値観の育成であり、文章としてはこちらの言葉でも通じます。
しかしこの答申では、生涯にわたるキャリア形成が主な内容となっており、ここには「キャリア形成」が入ります。
キャリア形成という言葉は定義付けられていませんが、仕事におけるさまざまな能力を身につけていくということです。
 
また、この答申でおさえておきたいキーワードは「キャリア」「キャリア教育」「職業教育」です。
それぞれ以下のように説明されています。

▪️キャリア
人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね

▪️キャリア教育
一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

▪️職業教育
一定または特定の職業に従事するために、必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育

さて、この「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」は非常に長く、序章と第1から第6章で構成されています。
今回の問題は、第1章「キャリア教育・職業教育の課題と基本的方向性」の1番最初のまとめから出題されています。
本文を全部読むのは大変なので、各章のまとめだけでも読んでおきたいところです。
また「答申概要」も重要なキーワードが載っているので、「答申概要」がある場合は先に読んだ方がわかりやすいかもしれません。
また、答申の名称に入っている言葉=その答申のポイントです。
名称を見て「キャリア教育って何?」「職業教育って何?」と疑問を持ち、答えを答申の本文や概要から見つけていくという学習もおすすめです。