(2022.8.6更新)

教育原理の人物問題を確認します。

平成31年前期試験

平成31年前期試験は、人物問題が3問(問4、問5、問6)出題されました。
そのうち2問(問4、問5)は平成25年の教育原理と重なっているため、平成25年の過去問をやっておくとこの2問は答えられました。
また問6は全員正解となったので、きちんと過去問をおさえていけば3問ともとれていたことになります。
順番に見ていきます。



問4

理論の人物を答える問題でした。
正統的周辺参加は、それ自体は教育形態ではないし、まして教授技術的方略でも教えるテクニック
でもないことを強調しておくべきである。それは学習を分析的にみる一つの見方であり、学習という
ものを理解する一つの方法である。

1 デューイ(Dewey, J.)
2 ピアジェ(Piaget, J.)
3 レイヴとウェンガー(Lave, J. & Wenger, E.)
4 ブルーナー(Bruner, J.S.)
5 ブルーム(Bloom, B.S.)

キーワードは「正統的周辺参加」で、答えはレイヴとウェンガーです。
正統的周辺参加とは、簡単に言うと教えない教育です。
一般的には教師と生徒は、教える⇔教わって学ぶという関係ですが、正統的周辺参加は学習者は見て(参加して)学ぶということになります。
ドラゴンボールの亀仙人と悟空やクリリンの関係ですね。
亀仙人は具体的な戦い方を教えることはなく、悟空やクリリンは見て学んでいきます。
このように考えると、正統的周辺参加をイメージしやすいですね。

人物問題について正しい答えを導くには3パターンあります。
①テキストで確実に覚える
人物は文章で覚えず、短いキーワードの暗記がおすすめです。

②過去問で知識を得る
平成25年「教育原理」や平成30年後期「保育の心理学」に、正統的周辺参加やレイヴとウェンガーが出てきました。
過去問を解くことで、正統的周辺参加=レイヴとウェンガーという知識を得ることができます。

③消去法
レイヴとウェンガーを知らなくても、他の選択肢のデューイ、ピアジェ、ブルーナー、ブルームは「ほぼ毎回出る人物」ですので、この4人がどのような人物かわかりやすいです。
その4人は「正統的周辺参加」というキーワードが結びつかないので、消去法でレイヴとウェンガーを答えることができます。

問5

I群の記述とII群の人物を組み合わせる問題でした。
【I群】 
A 子育てについて具体的なたとえ話をまじえながら、庶民にもわかりやすく説いた。また、「知行合一説」を唱え、陽明学の普及に努めた。

B 階級や僧俗を問わず、一般庶民の子弟にも門戸を開いた「綜芸種智院」を創設した。 

C 「人の性は本善」であるという性善説の立場であった。「和俗童子訓」を著した。

【II群】
 ア 貝原益軒
 イ 中江藤樹
 ウ 空海
 エ 聖徳太子
 オ 大原幽学

A 「知行合一説」は中江藤樹
B 「綜芸種智院」は空海
C 「和俗童子訓」は貝原益軒

大原幽学とは、農民を導いた農村の指導者です。
先祖株組合という村ぐるみの組織を結成しました。

問6

19 世紀後半から 20 世紀初頭にかけての新教育運動に関する記述問題の◯×組み合わせでした。
A コメニウス(Comenius, J.A.)は、事物による教育を提唱し、絵入教科書「世界図絵」を作成した。

B デューイ(Dewey, J.)は、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」ことの重要性を説き、子どもたちが経験を通して学習することを提唱した。

C ドルトン・プランは、パーカースト(Parkhurst, H.)によって開発されたプランである。

D キルパトリック(Kilpatrick, W.H.)は、自主的な問題解決に取り組ませるプロジェクト・メソッドを確立した。

(組み合わせ)  
  A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ○
4 × ○ × ○
5 × ○ × ×

人物問題で誤りが含まれる記述とは、別の人物の説明文になっていることがほとんどです。
例えばAのコメニウスの文章であれば、コメニウスではなく他の人物の説明文となっています。
まずはそれぞれの記述からキーワードを見つけます。

A「世界図絵」
B「為すことによって学ぶ(learning by doing)」「子どもたちが経験を通して学習する」
C「ドルトン・プラン」
D「プロジェクト・メソッド」

素直に読んでみると全て◯ですので、全て◯の選択肢である1を選びます。
デューイのキーワードが分かりにくいため、Bだけが◯か×か悩みます。
しかし、Bだけが×という選択肢がないため、Bは◯であると分かります。

今回この問題は「問題文に明確さを欠いた表現があるため」として、全員正解となりました。
これは、問題文の「19 世紀後半から 20 世紀初頭にかけての新教育運動に関する」と書かれた部分が原因です。
このように書かれていると、A〜Dは全て同じ時代の人物と考えられます。
しかしコメニウスは17世紀の人物であるため、A自体の文章は正しくても、この時代にあてはまらないことになり、Aが×と判断される可能性があります。
◯×問題でこのような出題はありえませんので、その結果、全員正解という形になっています。
本来は全て◯の問題を作ったのだと思います。