過去10回の試験に出題された教育原理の人物問題を分析します。

平成29年後期試験問題

平成29年後期試験は、人物問題が3問出題されました。
日本の人物1問、諸外国の人物2問というよくあるパターンです。

では、順番に見ていきます。




問3

問3はI群の記述とII群の人物を組み合わせる問題でした。
このような出題形式は日本の人物で出題されることが多いですね。

【I群】
A イタリア初の女性医学博士。子どもは自ら発達する力を持っている、という考えに基づき、幼児期は精神的発達の基礎として「感覚の訓練」が特に重要である、との観点から教具を開発した。

B ドイツの教育者。神と自然と人間を貫く神的統一の理念に基づき、「自己活動」と「労作」の原理を中心とした教育の理論を展開した。生まれたばかりの子どもでもあらゆる能力を本来自分の内にもっている、という思想のもとに恩物を開発した。
 
【II群】
ア フレーベル(Frӧbel, F.W.)
イ モンテッソーリ(Montessori, M.)
ウ ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
 

まずは、文章の中に自分が知っているキーワードがないか探します。

Aは、「女性医学博士」「自ら発達する力を持っている」「感覚の訓練」からモンテッソーリということが分かります。

まず、教育原理に出題される諸外国の女性は3人です
▪️エレン・ケイ(スウェーデンの女性思想家)
▪️モンテッソーリ(イタリアの女性医学博士)
▪️パーカースト(アメリカの教育者)

ですので、問題文に「女性」というキーワードがあったら、II群を見なくても絞ることができます。

モンテッソーリについてはたくさん覚えることがありますが、「女性」ということや「障害児教育」「敏感期」「感覚訓練」「教具」などをおさえます。


Bは「恩物」という言葉がありますので、フレーベルと分かりますね。
フレーベルのキーワードは「恩物」「世界初の幼稚園」「子どもの内の善なる神性」「一般ドイツ教育書」、著書『人間の教育』『母の歌と愛撫の歌』などがあります。

もう一つの選択肢にペスタロッチがありますが、ペスタロッチはスイスの教育者です。
フレーベルはペスタロッチの影響を受けて、ペスタロッチのもとで教授法を研究していました。

また、ペスタロッチはルソーの影響を受けています。
ルソーの影響を受けたペスタロッチ  、ペスタロッチの影響を受けたフレーベル という流れまでおさえます。

問4

問4は、著書の一部から著者を選ぶ問題です。

自分の生活に或系統をつけた時に、生活興味が起つて来ると云ふ大きな問題であります。 其の意味からしまして、幼児をして断片の生活を或中心へ結び付けさせて行く事が出来る ならば、幼児の興味を深からしめ、又幼児の生活を、一層生活として発展させて行く事が 出来ます。すなはち此所に誘導の問題が起つて来るのであります。指導だけならば「ああ それかい。それを斯うしようとするのかい。ブランコを漕ぎ度いのかい。絵が書き度いのかい。」と言つてその時その子を指導して居ればいゝのですが、誘導はそれ以上のことです。


 1 鈴木三重吉
 2 城戸幡太郎
 3 橋詰良一
 4 倉橋惣三
 5 福沢諭吉
 

一見難しい問題ですが、文章の最後に「誘導」という言葉がありますので、ホッと一安心できますね。
誘導と言えば倉橋惣三です。
倉橋惣三は、子どもの自由遊びを生かした誘導保育を行いました。

問題の文章は、著書『幼稚園保育法真諦(ようちえんほいくほうしんたい)』の一部です。
その後、加筆されて『幼稚園真諦』として再刊されています。

幼稚園真諦 (倉橋惣三文庫)
倉橋 惣三
フレーベル館
2008-05



倉橋惣三のキーワードは、「生活を生活で生活へ」「児童中心主義」「東京女子師範学校付属幼稚園」「日本のフレーベル」「恩物排除」、著書『育ての心』『幼稚園雑草』などです。

倉橋惣三はフレーベルの思想を受け継いでいますが、当時使われていたフレーベルの恩物を排除しました。
これには私も何故だろう?と疑問でしたが、当時の日本ではフレーベルとは異なる考え方で恩物を使っていたからです。
そもそも恩物とは遊びのための教育玩具であり、自由に遊ぶために作られたものです。
遊んでいる中で、こんな遊び方もあったということに気づくこともできます。
しかし、日本では遊び方を指示して、子どもたちはその手順通りに行っていたのです。
フレーベルの思想が取り入れていない形だけの恩物だったため、倉橋惣三はそのような恩物には意味がないとして排除したということです。


問5

問5は◯×組み合わせ問題です。
前半が人物名、後半がその人物が行ったことですね。
人物名と行ったことが合っているかどうかが問題ですので、後半部分の一部(名称など)が誤っているということはありません。

このような問題形式は、誰が何をしたかということが混乱しやすいので難しいですね。
何度も見ていると正しい文章も間違っているように見えてしまうので、最初に考えた答えを変えない方が良かったという経験もあります。

A ソクラテス(Sōkratēs)は、古代ギリシャのアテナイにアカデメイヤをつくった。
B ルソー(Rousseau, J.-J.)は、ノイホーフに貧民のための学校をつくった。
C デューイ(Dewey, J.)は、シカゴ大学に実験学校をつくった。
 
(組み合わせ)
  A B C
1 ○ ○ ×
2 ○ × ×
3 × ○ ○
4 × × ○
5 × × ×
 


Aについて、古代ギリシャのアテナイにアカデメイヤをつくったのは、プラトンです。
ソクラテスの弟子がプラトンで、さらにプラトンの弟子がアリストテレスです。
この3人はセットで覚えます。

ソクラテス「無知の知」「産婆術
プラトン「アカデメイヤ」「善のイデア
アリストテレス「学塾リュケイオン」「万学の祖

Bについて、ノイホーフに貧民の学校をつくったのはペスタロッチです。
ペスタロッチは貧困の子どもに教育を行うため、労働と教育を一体にした農園(貧民学校)をスイスのノイホーフにつくりました。

Cについては正しい文章です。
デューイはアメリカの教育思想家で、シカゴ大学に実験学校(デューイスクール)を開設しました。
デューイがアメリカの人だということを知っていれば、シカゴという言葉と結びつけられます。

この問5は全て学校設立・開設についての問題でした。
人物がどこにどんな学校をつくったかということをまとめておくと良いですね。

次回は平成29年前期試験の人物問題の分析です。