過去10回の試験に出題された教育原理の人物問題を分析します。

平成29年前期試験問題

平成29年前期試験は、人物に関した問題が4問出題されました。
4問出題と数が多いのですが、そのうち1問は形成的評価の問題の中で、ブルーナーの名前が入ったものでした。
よって、人物問題としては3問となります。

では、順番に見ていきます。




問3

問3は、著書の一部から著者を選ぶ問題です。

わたしたちは、わたしたちの意志と選択とは無関係に、わたしたちの先祖を通して、わたしたちの生命の一番奥の基礎となる運命が決っているのを知っている。わたしたちが自分でつくる子孫を通して、わたしたちはある程度は自由な存在として、種族の運命を決め ることができるのである。
人類がすべて、これを全く新しい見方で認識しはじめ、これを発展の信仰の光のなかに見て、20世紀は児童の世紀になるのである。これは二重の意味をもっている。一つは、大人が子どもの心を理解することであり、一つは、子どもの心の単純性が大人によって維持されることである。そうなって初めて、古い社会が新しくなる。

1 ルター(Luther, M.)
2 コメニウス(Comenius, J.A.)
3 デューイ(Dewey, J.)
4 エレン・ケイ(Key, E.)
5 ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)


文章のポイントは「20世紀は児童の世紀」です。
エレン・ケイの著書『児童の世紀』では19世紀の社会問題が述べられており、20世紀が子ども中心の世紀となるように、子どもや女性の立場を考えていこうという内容となっています。

児童の世紀 (冨山房百科文庫 24)
エレン・ケイ
冨山房
1979-02-09



問4

問4は、記述にあてはまる人物を選ぶ問題です。

フランス革命時、公教育設置法案を提出した。同案は革命の動乱の中で成立することはなかったが、後世に大きな影響を与えた。それ以前に著した『公教育に関する五つの覚書』 は、法案の基礎となっている。そこには、教育の自由が認められるべきであり、公教育は国民に対する社会の義務であると述べられ、学校制度のあり方や教育内容にも言及されている。
 
1 トマス・モア(More, T.) 
2 ロック(Locke, J.) 
3 コンドルセ(Condorcet, M.-J.-A.-N. C.)
4 オーエン(Owen, R.)
5 ピアジェ(Piaget, J.)


文章の中に「フランス」「公教育」『公教育に関する五つの覚書』が出てきますので、コンドルセが答えです。
コンドルセはフランス革命の頃の教育思想家で、公教育を計画した人物です。
公教育とは国や地方公共団体が行う教育のことですね。

当時のフランスは身分によって学校が分かれていたため、コンドルセは教育の機会均等や教育の自由を訴えました。
コンドルセは正直「公教育」という言葉だけ覚えればいいのですが、このような時代背景が理由で公教育が必要としたことまで知っておくと、より記憶に残りやすいと思います。

また、もしコンドルセがはっきり分からなくても、選択肢にあるロック、オーエン、ピアジェは消去できると思います。
残ったトマス・モアは過去問にも教科書にも出てこない人物です。
イギリスの法律家、思想家で、著書『ユートピア』では社会を風刺しています。

問6

問6はI群の記述とII群の人物を組み合わせる問題でした。

【I群】
A 緒方洪庵
B 吉田松陰
C 伊藤仁斎

【II群】
ア 萩で儒学・史学・兵学など広い分野から人間教育を行い、維新の志士を多く輩出した。
イ 京都の堀川に古義堂を開き、教育の目的は道の実践にありとして、実行と個性尊重の教育を施した。
ウ 医師を志して修業を行ったのち、大坂(大阪)に蘭学の適塾を開き、学級組織を工夫して多くの門人を輩出した。
 
(組み合わせ)
    A  B  C
1 ア イ ウ
2 ア ウ イ
3 イ ア ウ
4 イ ウ ア
5 ウ ア イ
 

Aの緒方洪庵の説明はウです。
大坂」「蘭学」「適塾」がキーワードです。
他にも、「長崎に遊学」「門下生に福沢諭吉」ということもおさえます。

Bの吉田松陰の説明はアです。
」という地名から吉田松陰の松下村塾ということが分かります。
これは「教育原理」に出題される人物について③平成30年後期試験問4に書いているように、日本の人物は地名までおさえておくと確実です。
この問題では「松下村塾」とはっきり書かれていませんが、「萩」を知っていれば答えられます。

Cの伊藤仁斎の説明はイです。
京都」「古義堂」がキーワードです。
他にも、「儒学者」であることや、儒学から派生した「古義学」もおさえます。


問8

問8は形成的評価についての◯×問題で、設問の一つにブルーナーが出てきました。
今回はその設問のみ取り上げます。

 C ブルーナー(Bruner, J.S.)は、形成的評価を組み込んだ完全習得学習(マスタリー・ラーニング)という授業モデルを提唱した。

ブルーナーについては「教育原理」に出題される人物について④平成30年前期試験問3に書いていますように、「発見学習」「学問中心カリキュラム」を唱えた人物です。

この文章はブルーナーではなく、ブルームについての説明となります。 
ブルームについては「完全習得学習」「診断的評価・形成的評価・総括的評価」がキーワードです。
 
ブルーナーとブルームはどちらもアメリカの心理学者で、時代も同じ、名前も似ているので、紛らわしいですね。
これは覚えるしかありませんが、工夫して覚える方法をお伝えします。

まず、ミッフィーを生み出した絵本作家もブルーナと言います。(もちろん教育原理に出るブルーナーとは別人です)
子どもの頃読んだミッフィーの絵本にも表紙などに「ブルーナ」という言葉が出てきたことを覚えています。

そこで、ミッフィーが何かを発見している様子を思い浮かべると、ブルーナーの発見学習に結びつけられるかなと思います。
このイラストのような感じです!



そして、ブルームの方はというと、ブルームと聞いて思いつくのがオーランド・ブルームです。
俳優は演技力などが世間で評価されますので、「(オーランド)ブルームは評価」と考えると、ブルームの評価論に結びつけられるのではないでしょうか。

これでブルーナー、ブルームが混ざらずに覚えられると思います!

次回は平成28年後期試験の人物問題の分析です。