平成23年試験までさかのぼって分析する予定です。

平成25年試験問題

問題はこちらです。
平成25年試験は人物問題が5問出題されました。
10問の試験問題の中で人物問題が半分ですので、ちょっと偏りすぎた印象がありますね。
ただ、人物重視の勉強をしていた方にとってはラッキーだったと言えます。

では、順番に見ていきます。




問3

問3はヘルバルトに関する記述から誤っているものを1つ選ぶ問題です。

1 彼によれば、教育の目的は倫理学によって示され、教育の方法は心理学によって示される。
 
2 彼は、教育の究極的な目的は、道徳的品性の陶冶にあると考えた。
 
3 彼は、「生活が陶冶する」という有名な言葉を残した。
 
4 彼は、教授において、子どもに多方面への興味を喚起することの重要性を説いた。

5 彼は、著書『一般教育学』のなかで、「明瞭・連合・系統・方法」という4段階の教授段階説を唱えた。

誤っているものを選ぶので、他の人物の説明が混ざっているということになりますね。
ざっと読んでみると、3の生活が陶冶する」はペスタロッチですので、迷わずこれが×と分かります。
ペスタロッチについては、平成28年前期問4の解説もご覧ください。

そうすると1、2、4、5がヘルバルトの説明ということになります。

1 ヘルバルトは哲学者や心理学者という側面もあり、教育の基礎を倫理学と心理学と捉えました。  
そして教育の目的が倫理学、教育の方法を心理学から導かれると提唱しています。

2 道徳的品性」とは、道徳や知性を与えて立派な人格を形成することを意味し、ヘルバルトはこれを教育の目的としています。

4 子どもの興味を適切に引き出す事が重要としており、自然に任せずに適切にサポートすることが必要としました。

5 教科書にもあるように、教授法を4つに段階化させました


問4

問4は、著書の一部から著者を選ぶ問題です。

敏感期というのは、発育のうちにすなわち生き物の幼児期にあらわれる特別敏感な状態のことであります。それは一時的のもので、その生物に一定の能力を獲得させるのに役だつだけです。それが済めば、その敏感な状態は消えます。それでどの特性も、一つの衝動に基づく限られた短期間に発達します。成長とは受け継いだ生まれついた無計画な発育のことではなく、周期的にあらわれる本能によって細心に指導される内面的な努力の結果であります。そういう本能が、発育のある段階に、その生き物に精力の消費を強制します。その精力の使い方は、おとなになった人のものとははっきり区別されます。
 
1 ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
2 ロック(Locke, J.)
3 フレーベル(Fröbel, F.W.)
4 モンテッソーリ(Montessori, M.)
5 ルソー(Rousseau, J.-J.)

これはモンテッソーリの著書『モンテッソーリ・メソッド』の一部です。
敏感期」というキーワードからモンテッソーリに結びつきます。
 
「敏感期」とは幼児期において感受性が敏感になる時期です。
例えば、言葉をどんどん吸収して物の名前を覚えたりするような状態です。
急に「覚えたい!!」と感受性が高まりますが、一定の期間が過ぎるとその状態は消えていきます。

モンテッソーリについては、平成29年後期問3の解説にもあるように、多くのキーワードがあります。
著書の一部には何かしら学習したキーワードが入っているはずですので、一つでも多くのキーワードを覚えておきたいところです。


問5

問5はI群の記述とII群の人物を組み合わせる問題でした。
日本の人物問題で出題されやすい問題形式ですね。

【I群】
A 京都に綜芸種智院を創設した。当時の社会では教育機関は主に貴族階級を対象として開かれているという現実を打破するために、貴僧俗の区別なく、民衆にも門戸を開いた。そこでは広範な知識を獲得する「綜芸」を通して、自己を取り巻く世界を完全に把握することを意味する「種智」の実現に至る道程を示した。
 
B 「知行合一」を唱え、わが国における陽明学の祖とされる。主著『翁問答』では、孝を道徳の根本とし、幼少期からの教育の徳教を重視するとともに、父母の役割に期待した。多くの人々に尊敬され、「近江聖人」とも言われた。
 
【II群】
ア 聖徳太子
イ 空海
ウ 林羅山
エ 中江藤樹
オ 貝原益軒
 
(組み合わせ)
   AB
1アエ
2アオ
3イウ
4イエ
5イオ
 

この問題は、最近の平成31年前期試験問5とほぼ同じ内容でした。
つまり、6年後にこの問題を参考にして作られたということが分かります。
いかに過去問を解いておくことが重要かが分かりますね。

この問題の解答は4です。

A  「綜芸種智院」というキーワードから空海と結びつきます。
      日本最初の私塾であること、身分を制限せず庶民が学ぶことができたという特徴があります。

B  「知行合一」『翁問答』というキーワードから中江藤樹と結びつきます。
      『翁問答』は父母の育児書で、子に対する徳育(=人格形成)が重要であること述べています。

もし、「全く分からない!」「迷って混乱してきた!」という場合は、穴埋め問題の解答テクニックを使ってみてください。
この問題形式は穴埋めではありませんが、同じように使うことができます。
特にAとBの2種類の組み合わせなので、このテクニックは有効です。

まず、Bの選択肢に一つしかないものはウなので、選択肢から3を外します。
そしてAの選択肢はイが多いので、3、4、5を候補とします。
そうすると、消去法で4と5の2つまで選択肢をしぼることができますね。
一発で答えが分かるようなテクニックではありませんが、2種類の組み合わせ問題では特に使えると思います。


問6

問6は、人物説明から人物を選ぶ問題です。

アメリカの教育心理学者で、評価論の研究者。完全習得学習(マスタリー・ラーニン グ)を提唱した。彼は、これまでの教育が、生徒の3分の1程度の者しか十分な理解ができないということを前提に行われてきたことを批判した。そして、個々の生徒の学習状況を把握し、適切な指導を行うために診断的評価、形成的評価、総括的評価を提唱した。これら3つの評価を適切に行い、学習条件を整備すれば、大多数の児童生徒にとって完全習得学習は可能であると考えた。
 
1デューイ(Dewey, J.)
2スキナー(Skinner, B.F.)
3ブルーム(Bloom, B.S.)
4エリクソン(Erikson, E.H.)
5ハッチンス(Hutchins, R.M.)


「完全習得学習」「診断的評価、形成的評価、総括的評価」といったキーワードに結びつくのがブルームです。
以前、ブルームの覚え方を書きましたが、評価といえばブルームですね。

選択肢にある、デューイ、スキナー、ブルーム、エリクソン、ハッチンスは全てアメリカの人物です。
他にもブルーナー、キルパトリックがアメリカの人物なので、これらは問題の選択肢に一緒に並ぶ可能性があります。

問8

問8は、I群の人物とII群の記述を組み合わせる問題でした。

【I群】
A ベル(Bell, A.)
B キルパトリック(Kilpatrick, W.H.)
C ブルーナー(Bruner, J.S.)
 
【II群】
ア 「どの教科でも、知的性格をそのまま保って、発達のどの段階の子どもにも効果的に教えることができる」という仮説を提示した。
 
イ 生徒集団の中から優秀な生徒を助教として任用し、助教が教師の指示を他の生徒に伝えるという方法をとり、多数の生徒を一律・効率的に教育することを可能にした。
 
ウ 子どもたちが自ら価値あると感じる課題を設定し、それをプロジェクトとして、目的→計画→遂行→判断・評価という4段階を経て自主的に問題解決に取り組む学習の方法を提唱した。


(組み合わせ)
    ABC
1アウイ
2イアウ
3イウア
4ウアイ
5ウイア


答えは3です。

Aのベルの説明はイですね。
ベルの助教法についてに記述です。

Bのキルパトリックの説明はウですね。
これはプロジェクト・メソッドについての記述で、最初に目的、最後に評価という4段階の学習方法です。

Cのブルーナーの説明はアですね。
これは著書『教育の過程』の一部です。 




次回は平成24年試験の人物問題の分析です。