平成23年試験までさかのぼって分析します。
平成24年、平成23年は沖縄県のみ再試験があったようですが、情報が不足しているため本試験のみを分析します。

平成24年試験問題

平成24年試験は人物問題が4問出題されました。
では、順番に見ていきます。




問3

問3はロックに関する記述のうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

1 彼は、『人間知性論』では生得観念を否定するいわゆる白紙説によって教育の可能性を大きく広げる働きをした。
 
2 彼は、『教育に関する考察』の序文に「健全な身体に宿る健全な精神」という言葉を書き、精神と身体の関係の重要性を明らかにしている。
 
3 彼は、教育目標となる人間像を支配階層である紳士(ジェントルマン)におき、紳士は「体・徳・知」兼備の人間でなければならないとした。
 
4 彼は、幼児期から正しい習慣形成をすることこそが教育の基本であるとして、鍛錬主義の教育を唱えた。
 
5彼は、道徳的品性の陶冶が教育の課題であるとし、その方法として多方面への興味を 喚起することが必要だと考え、「教育的教授」という概念を提示した。

誤っているものを選ぶので、他の人物の説明が混ざっているということになりますね。
5の「道徳的品性の陶冶」「教育的教授」はヘルバルトですので、これが×と分かります。
ヘルバルトについては、翌年に同じ問題形式で出題されています。
平成25年試験問3の解説もご覧ください。

そうすると1から4がロックの説明ということになります。
全て教科書にも出てくるような内容なので、それぞれの文章には見たことがある言葉があるはずです。
文章で覚えようとすると大変ですが、著書名やキーワードで覚えておくと覚えやすいです。


問4

問4は、デューイに関する記述のうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

1 彼は、シカゴ大学に附属の実験学校を開設し、子どもの作業活動と社会的生活経験の広がりを中心とする教育実践を行った。
 
2 彼は、教育を経験の再構成であるととらえた。
 
3 彼は、知識を構造として学習させることによって、科学的概念を子ども自らが発見していく方法を提唱した。
 
4 彼が提唱した反省的思考に支えられた学習法は、今日の問題解決学習へとつながっている。
 
5 代表的な著作に『学校と社会』や『民主主義と教育』がある。

デューイは出題回数ランキング1位の人物で、とにかくよく出てきます。
ですので、デューイについてはより多くのキーワードを覚えておくといいですね。

こちらも問3同様に、デューイ以外の人物の説明が混ざっています。
読んでいくと、3の「構造」「発見」という言葉を見つけることができます。
過去問分析では何度か説明していますように、「発見」と言えばブルーナーです。
ブルーナーは、学問の構造(本質)を教え込むのではなく、子どもが自分で考えて発見することを重視しています。


問5

問5は人物と教育思想を組み合わせる問題でした。

A 世阿弥は、『風姿花伝』において能の本質である「幽玄」を花にたとえ、年齢段階と心身の発達段階に応じた7段階の修業の在り方を説いている。
 
B 貝原益軒は、『和俗童子訓』において「年ニ随ッテ教ノ法」(随年教法)を説いたが、 これは子どもの年齢に応じた教授法と教材の配列を示した教育課程論である。
 
C 福沢諭吉は、『学問のすゝめ』において「必ず邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す」と述べ、義務教育の思想を展開した。
 
(組み合わせ)
  ABC
1○○○
2○○×
3○×○
4○××
5×○○

世阿弥の『風姿花伝』、貝原益軒の『和俗童子訓』、福沢諭吉の『学問のすゝめ』とあり、一見全て◯と判断してしまう問題です。
文章後半に著書の説明がありますので、そちらも確認します。

Cにある「必ず邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん事を期す。」は、学制の一部です。
簡単に言うと、全ての人が学びましょうということで、義務教育を推進しています。

『学問のすゝめ』は1872年に刊行され、義務教育の思想も述べられています。
そしてその思想が同年に制定された『学制』に影響しています。
Cの後半部分は福沢諭吉の言葉ではないものの、福沢諭吉の思想が影響しているということになります。

また、平成30年後期の教育原理の問5にもこの部分を含んだ以下の文章が出題されています。
必ず邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん事を期す。人の父兄たる者、宜しくこの意を体
 認し、その愛育の情を厚くし、その子弟をして必ず学に従事せしめざるべからざるものなり。

この文章から法令と制定年を選ぶ問題でした。
答えは1872年制定の学制とうことになりますね。

問6

問6は、著書の一部からから著書名を選ぶ問題でした。
この問題は文章だけではなく、「陶工」と書かれたページに、陶芸家が作業をしている絵と作り方が説明されています。

1 『大教授学』
2 『ゲルトルートは如何にしてその子を教えたか』 
3『一般教育学』
4 『母の歌と愛撫の歌』
5 『世界図絵』

これは、コメニウスの『世界図絵(せかいずえ)』となります。
世界最初の絵が入った言葉の教科書で、いわゆる図鑑のようなものですね。
「陶工」という言葉を理解するのに、文章だけではイメージがつきにくいですが、絵もあると分かりやすいです。
独特な絵は誰が描いたんだろう?と思って調べたのですが、はっきりとは分からず、コメニウスが描いたと考えられているそうです。

他の選択肢の著書名も平成25年以降に再び出題されています。

『大教授』コメニウス                   平成27年地域限定出題
『ゲルトルートは如何にしてその子を教えたか』ペスタロッチ  
『一般教育学』ヘルバルト            平成25年出題
『母の愛と愛撫の歌』フレーベル  平成26年出題

ペスタロッチの『ゲルトルートは如何にしてその子を教えたか』はまだ2度目の出題がないので、そろそろ出題されるのではないかなと思います。


次回は平成23年試験の人物問題の分析です。
これで過去問分析は終了し、それぞれの人物をまとめたいと思います。