(2022.8.1更新)
今回は、教育用語「教育職員免許状」と「教育会議」の問題を見ていきます。


教育職員免許状

一般的に「教員免許」などと言われますが、正式名称は教育職員免許状です。
教育職員免許状でおさえておきたいポイント
■3種類あること
・普通免許状   大学などで単位を満たして授与されるもの(通常の教員免許状はこれを指します)。
・特別免許状   社会人経験があるものが教育職員検定を経て授与されるもの。
・臨時免許状   普通免許状を持つものを採用できない場合に教育職員検定を経て授与されるもの。
■制度の管轄は文部科学省ですが、授与は各都道府県の教育委員会です。
■平成21年から更新制が実施され、期限までの更新が必要になりました。
さらに詳しいことは文部科学省のホームページにある教員免許状に関するQ&Aに詳しく説明されています。

平成29年後期(問6)は、教員免許状についての穴埋め組み合わせ問題でした。
 教育職員の免許状には、大学や短期大学等で教職課程の単位を満たしたのちに都道府県教育委員会に申請して得ることができる( A )免許状、社会的経験を有する者に教育職員検定を経て授与される( B )免許状、そして( A )免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教育職員検定を経て授与される( C )免許状がある。

【語群】
ア 代用  イ 特任  ウ 臨時  エ 特別  オ 一般  カ 普通

(組み合わせ)
   A B C
1 オ イ ア
2 オ イ ウ
3 オ エ ア
4 カ エ ア
5 カ エ ウ

答えは5です。
語群には迷いやすい言葉が並んでおり、Aは一般か普通か、Cは代用か臨時か悩みますね。
3種類の名称を知らなければ解くことができない問題でした。

教育に関する会議名   

教育に関する会議はたくさんあるのですが、重要なものだけをピックアップします。
まずは、現代の会議です。
中央教育審議会
文部科学省に置かれた審議会です。
教育制度などについて文部科学大臣が委員に意見を求めて、委員が調査審議して意見を述べます。
すでに分析しているように、これまで多くの問題が出題されています。
教育改革国民会議
2000年に小渕内閣にて発足した、時代に合った新しい教育を行うための会議です。
教育基本法の改正など、「教育を変える17の提案」をまとめています。
先にあげた教員免許状の更新制もこの会議で提案されたもので、引き続き中央教育審議会で取り扱われました。
教育再生会議

2006年に安倍内閣が設置した会議です。
ゆとり教育の見直し、 いじめ問題、道徳の教科化が取り扱われました。

次に昭和の会議です。
臨時教育審議会
1984年に内閣総理大臣の諮問機関として設けられたものです。
学習指導要領の改定や中高一貫の中等教育学校の創設などが具体化されました。

教育刷新委員会
戦後直後の1946年に教育改革のために設けられたものです。
教育基本法(1947年制定)の必要性など、多くの方針や意見が出されました。
最後に「中央教育審議会」について話し合われ、その後、中央教育審議会が設立されました。

平成28年前期(問8)は、I群の記述とII群の語句を組み合わせる問題でした。
【I群】
A 1984(昭和59)年に設置された内閣総理大臣の私的諮問機関。設置期間は3年間とされた。第4次答申(1987年)において示された「個性重視の原則」、「生涯学習体系への移行」、「変化への対応」といった教育理念は、その後の教育改革の方向を決定づけるものとなった。

B 2000(平成12)年に設置された内閣総理大臣の私的諮問機関。設置の趣旨は、「戦後教育について総点検する」と同時に「21 世紀の日本を担う創造性の高い人材を目指し、 教育の基本に遡って幅広く今後の教育のあり方を検討する」こととされた。「教育を変える 17 の提案」をまとめたが、その中には「新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール” 等)の設置を促進する」など、2000 年以降の日本における教育政策の在り方に影響 を与えてきたものも多数ある

C 第二次世界大戦終了直後の日本の教育改革に関する重要事項を調査審議するため、内閣総理大臣の所轄下にあった調査審議機関。1946(昭和 21)年に設置され、教育基本法制定の必要、6・3制の実施をはじめ、私立学校、大学、教員養成、社会教育、教育行財政など、広範な領域にわたって、教育改革の基本方針や実施への具体的な方策を立案した。

【II群】
ア 教育改革国民会議
イ 臨時教育審議会
ウ 教育刷新委員会
 

先に説明していますように、Aは臨時教育審議会、Bは教育改革国民会議、Cは教育刷新委員会の説明です。
しかし、Aの文章が明確ではないという理由で、この問題は全員正解となっています。
Aのどの部分が明確ではないかというと「私的諮問機関」という部分です。
法律に基づいて定められた「諮問機関」と、法制度外の「私的諮問機関」という違いがあります。
この臨時教育審議会は、「臨時教育審議会設置法」に基づいて設置されていますので、「私的諮問機関」ではなく「諮問機関」ということになります。

今後の出題

教員免許状についてはポイントをおさえます。
また、教育会議については設置時期の並び替えが問われることがあるかもしれませんので、戦後から現代まで、順番をおさえておくと良さそうです。