平成26年〜平成31年前期まで「社会的養護」に出題された資料をあげました。


                は、施設や里親の運営・養育指針です。
                は、最も多く出題された「児童養護施設入所児童等調査結果」です。

31年前期

児童養護施設運営指針

情緒障害児短期治療施設運営指針

社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン


平成30年後期

里親委託ガイドライン

被措置児童等虐待対応ガイドライン



平成30年前期

児童養護施設運営指針

乳児院運営指針



平成29年後期

里親及びファミリーホーム養育指針

母子生活支援施設運営指針



平成29年前期

児童養護施設入所児童等調査結果

児童養護施設運営指針



平成28年後期

児童養護施設入所児童等調査結果

社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン

児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために(概要)

社会的養護の課題と将来像

平成28年前期

児童養護施設入所児童等調査結果




平成27年地域限定

児童養護施設入所児童等調査結果




平成27

児童養護施設入所児童等調査結果




平成26年再

児童養護施設入所児童等調査結果




平成26

平成24年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況

被措置児童等虐待対応ガイドライン



平成30年神奈川県

被措置児童等虐待対応ガイドライン

社会的養護の推進に向けて

社会的養護の課題と将来像


平成29年神奈川県

児童養護施設入所児童等調査結果

社会的養護の推進に向けて




今回は平成28年後期、平成30年神奈川県に出題された「社会的養護の課題と将来像」についてみていきます。

 


「社会的養護の課題と将来像」
「社会的養護の課題と将来像」は、厚生労働省のホームページの後半の方にあります。
施設種別や社会的養護共通の「課題と将来像」が述べられています。

平成23年の資料なので少し古いと思いますが、昨年の神奈川県に出ていますので、まだまだ今年の出題も考えられます。
平成30年神奈川県は、「社会的養護」だけでなく「保育実習理論」にも出題されました。
意外な科目に出題されていて驚きます。
しかし、問題の住み分け(というのか?)ができていないのも保育士試験の特徴でもあります。

では過去問を確認します。




過去問分析
まず、平成28年後期では、資料の中の「社会的養護の理念と機能」の部分について穴埋め問題でした。

・ 社会的養護は、保護者のない児童や、保護者に( A )させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。

・ 社会的養護は、「子どもの( B )のために」という考え方と、「( C )で子どもを育む」という考え方を理念とし、保護者の適切な養育を受けられない子どもを、社会の公的責任で保護養育し、子どもが( D )基本的な権利を保障する。

(組み合わせ)
        A             B                      C                      D
1 監護  基本的人権の保障   地域        安全で安心して暮らせる
2 養護    最善の利益            地域        心身ともに健康に育つ
3 監護    最善の利益           社会全体  心身ともに健康に育つ
4 養護  基本的人権の保障  社会全体  安全で安心して暮らせる
5 監護    最善の利益           社会全体  安全で安心して暮らせる

社会的養護の理念については、以前書いた 「社会的養護」とはどのような科目かにもありますように、社会的養護全般に共通した重要なものです。
この「社会的養護の課題と将来像」だけでなく、さまざまな資料で述べられています。

厚生労働省は、社会的養護の理念を次のように述べています。
社会的養護とは、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。 
社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。

ここから考えると、選択肢を3と5に絞ることができます。
Dはどちらも適切な表現であるため、悩みます。
「社会的養護の課題と将来像」の3ページでは、「心身ともに健康に育つ」とありますので、3が正解です。
ただ、「安全で安心して暮らせる」という文章も同じページにあるため、ちょっと難しい問題となっています。


次に、平成30年神奈川県も、資料の中の「社会的養護の理念」についての穴埋め問題でした。
・ 社会的養護は、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、( A )するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。

・ 社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」という考え方と、「社会全体で子どもを( B )」という考え方を理念とし、( C )の適切な養育を受けられない子どもを、社会の公的責任で保護養育し、子どもが心身ともに健康に育つ基本的な権利を保障 する。

・ すべての子どもと( D )のための子育て支援施策を充実させていく中で、社会的養護の対象となる子どもにこそ、特に支援の充実が必要である。また、社会的養護と一般の子育て支援施策は、一連の( E )を持つものであり、密接な連携が必要である。

(組み合わせ)
     A     B          C          D         E
1援助 育む     親から 家族    関係性
2支援 育てる 保育者 家庭    連続性
3支援 守る    養育者 保護者 関係性
4保護 育む    保護者 家庭     連続性
5保護 守る    親から 家族     関係性

平成28年後期と同じ部分からの出題ですが、穴埋め箇所が違っており、こちらの方がさらに難しくなっています。
3つ目だけは、新しい内容です。
これも、「社会的養護の課題と将来像」の3ページに載っています。


A 保護   どれも適切な表現ではあるため迷うところです。
B 育む
C 保護者  全て違う言葉が並んでいるため迷います。
D 家庭
E  連続性「一連」という言葉がヒントになります。

社会的養護の理念は1問出題される可能性が高いので、キーワードをしっかりおさえたいところです。



そして、平成30年神奈川県の「保育実習理論」に出題された問題です。
資料の中の「家庭的養護の推進」に関する記述についての◯×問題でした。
A 社会的養護は、できる限り家庭的な養育環境の中で、特定の大人との継続的で安定した愛着関係の下で、行われる必要がある。

B 社会的養護においては、原則として、家庭的養護を優先し、施設養護については選択の対象からはずすことが必要である。

C 社会的養護が必要な子どもを、養育者の住居で生活をともにし、家庭で家族と同様な養育をする里親やファミリーホームを、家庭的養護という。

D 小規模グループホームやグループホームは、施設養護の中で家庭的な養育環境を整えるものであるが、養育者が交代制である点で、家庭的養護とは異なる。

(組み合わせ)

  ABCD
1○○○×
2○○×○
3○×○○
4××○○
5×××○

家庭的養護の推進については、「社会的養護の課題と将来像」の5ページにあります。
ただ、資料を読んでいなくてもよく読むと解ける問題です。

A ◯ 迷わず◯ですね。
B × 「選択の対象からはずすことが必要である」という部分が引っかかりますね。
これでは施設養護を排除するような考え方となってしまいます。

実際の文章は、「家庭的養護(里親、ファミリーホーム)を優先するとともに、施設養護(児童養護施設、乳児院等)も、できる限り家庭的な養育環境(小規模グループケア、グループケア)の形態に変えていく必要がある。」としています。

C ◯ 「社会的養護の課題と将来像」では家庭的養護を里親、ファミリーホームとしています。
D ◯ 養育者が交代制であるものは、家庭的養護(里親・ファミリーホーム)ではないですね。
 

問題文に出てくる「家庭的養護」の意味については注意が必要です。
次で説明します。


家庭的養護と家庭養護

「社会的養護の課題と将来像」では「家庭的養護」=里親・ファミリーホームですね。
しかし、このあと定められた「里親委託ガイドライン」などの厚生労働省の資料は、「家庭養護」=里親・ファミリーホームです。
施設養護に対して「家庭養護」と表しています。
「家庭的養護」という言葉は消えたのではなく、施設養護の中で家庭的な取り組み(小規模など)を「家庭的養護」といいます。

「家庭的養護」と「家庭養護」の用語の整理についても参考になります。

まとめますと、

「社会的養護の課題と将来像」(平成23年)

家庭的養護

里親、ファミリーホーム

施設養護

施設

※この「家庭的養護」と「施設養護」を合わせて「家庭的養護の推進」といいます。


それ以外の厚生労働省の資料

家庭養護

里親、ファミリーホーム

施設養護

施設

家庭的養護

グループホーム、小規模グループケア(施設の取り組み)

※上と同様、「家庭的養護」と「施設養護」と「家庭的養護」を合わせて「家庭的養護の推進」といいます。これは変わっていません。

保育士試験では、穴埋め問題の選択肢に、家庭的養護と家庭養護が並ぶことがあります。
ただ、資料によって指すものが違うという注意が必要です。

里親やファミリーホームを意味する言葉を選ぶ問題であれば、「社会的養護の課題と将来像」では「家庭的養護」ですが、「里親委託ガイドライン」などでは「家庭養護」となるということです。

 「社会的養護の課題と将来像」の「家庭的養護」の定義は古いということになるため、去年(神奈川県)出題されること自体が疑問です。
問題作成者は「家庭的養護」の意味が変わったことを知っていながら出題したのか(そうするとかなりやっかい)、もしくは知らずに出題したのか。

どちらにしろ、「保育実習理論」の問題だったこと自体が???なので、神奈川県の試験は一癖あるという印象です。


学習ポイント

「社会的養護の課題と将来像」は内容が詳しく出たというよりも、「社会的養護」の科目では「社会的養護の理念」が出題されています。

キーワードとなる、

・保護者に監護させることができない児童
・社会的に養育し、保護する
・子どもの最善の利益
・社会全体で子どもを育む
・子どもが心身ともに健康に育つ基本的な権利を保障する
 

をおさえておくといいですね。

また、家庭的養護、家庭養護の意味(資料によって異なる)も要注意ですので、おさえます。


次回は、「里親委託ガイドライン」を見ていきます。