(2022.7.19更新)
「社会的養護」の科目における運営指針・養育指針の中で、最も多く出されているのが「児童養護施設運営指針」です。
出題された問題と、その問題が指針のどの部分から出題されているかをまとめました。
問題文は長いので一部省略して掲載しています。 

「児童養護施設運営指針」構成
まず、「児童養護施設運営指針」の構成は以下で、これまで出題された部分を色付けしました。
このことから出題されている部分が限られていることがわかりますので、学習する範囲が見えてきます。

I総論

目的

社会的養護の基本理念と原理

児童養護施設の役割と理念

対象児童

養育のあり方の基本

児童養護施設の将来像

II各論

養育・支援

家族への支援

自立支援計画・記録

権利擁護

事故防止と安全対策

関係機関連携・地域支援

職員の資質向上

施設の運営


では問題を確認します。



過去問分析

①令和2年後期試験の問7
社会的養護のもとで養育される子どもにとって、その子にまつわる( A )は、その多くが重く、 困難を伴うものである。しかし、子どもが未来に向かって歩んでいくためには、自身の( B )を受け入れ、自己の( C )を形成することが極めて重要な課題である。

【語群】ア 現在  イ 過去  ウ 家族  エ 物語  オ 人間関係  カ 事実

児童養護施設運営指針の7ページ、第I部 総論「5.養育のあり方の基本」の 「養育のいとなみ」からの出題でした。
A事実、B過去、C物語 が入ります。


 ②令和2年後期試験の問8
社会的養護を必要とする子どもには、その子どもに応じた成長や発達を支える支援だけでなく、虐待体験や( A )体験などによる悪影響からの癒しや( B )をめざした専門的ケアや( C ) などの治療的な支援も必要となる。

【語群】 ア 分離  イ 貧困  ウ 克服  エ 回復  オ 医療的ケア  カ 心理的ケア

児童養護施設運営指針3ページ、第I部 総論「2.社会的養護の基本理念と原理」の「社会的養護の原理」のうち「③回復を目指した支援」の一部でした。
A分離、B回復、C心理的ケア が入ります。


③令和元年後期試験の問3 
「権利擁護」に関する記述として最も不適切な記述を一つ選びなさい。

1 子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況については、義務教育終了後に開示する。 

2 入所時においては、子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図る。

3 子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に、相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、子どもに伝えるための取り組みを行う。

4 いかなる場合においても、体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底する。

5 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援する。

児童養護施設運営指針の18ページ、第II部 各論の「4 権利擁護」からの出題でした。
権利擁護とは、子どもの権利を保障するということです。
不適切な記述は1です。


④令和元年後期試験の問7
「発達の保障と自立支援」に関する記述として適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 子どもは、愛着関係や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。

B 子どもの自立に向けた生きる力の獲得は、集団生活における協調性が基盤となり可能となる。 

C 社会的養護では、子どもの自立や自己実現を目指して、子どもの活動の制限と他者との調和を大切にする。

D 子どもは、様々な生活体験を通して、自立した社会生活に必要な基礎的な力を形成していく。

児童養護施設運営指針の2〜3ページ、第I部 総論「2.社会的養護の基本理念と原理」の「社会的養護の原理」のうち「②発達の保障と自立支援」からの出題でした。
AとDが正しい記述です。


⑤令和元年後期試験の問8 
「社会的養護の原理」に関する記述として最も適切な記述を一つ選びなさい。

1 社会的養護は、できる限り特定の養育者による一貫性のある養育が望まれる。 

2 社会的養護における養育は、つらい体験をした過去を現在、そして将来の人生と切り離すことを目指して行われる。

3 社会的養護における養育は、効果的な専門職の配置ができるよう、大規模な施設において行う必要がある。

4 社会的養護における支援は、子どもと緊密な関係を結ぶ必要があるので、他機関の専門職との連携は行わない。

5 社会的養護は、措置または委託解除までにすべての支援を終結し、自立させる必要がある。

児童養護施設運営指針の1〜4ページ、第I部 総論「2.社会的養護の基本理念と原理」全体からの出題でした。
1が正しい記述です。
 

 ⑥平成31年前期問4
・子ども期のすべては、その( A )に応じた発達の課題を持ち、その後の成人期の人生に向けた準備の期間でもある。社会的養護は、未来の人生を作り出す基礎となるよう、子ども期の健全な心身の発達の保障を目指して行われる。

・ 特に、人生の基礎となる乳幼児期では、( B )や基本的な信頼関係の形成が重要である。子どもは、( B )や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。( C )に向けた生きる力の獲得も、健やかな身体的、精神的及び社会的発達も、こうした基盤があって可能となる。

【語群】
ア 年齢  イ 個性  ウ 自立  エ 愛着関係  オ 集団適応  カ 自己同一性

児童養護施設運営指針の2ページ、第I部 総論「2.社会的養護の基本理念と原理」の「社会的養護の原理」のうち「②発達の保障と自立支援」からの出題でした。
A年齢、B愛着関係、C自立 が入ります。


⑦平成30年前期問2
・家庭的養護と( A )化
・ ( B )の保障と自立支援
・ ( C )をめざした支援
・ 家族との連携・協働
・ ( D )と連携アプローチ
・ ライフサイクルを見通した支援
 
   (組み合わせ)
      A        B      C           D
1 個別  発達  回復  継続的支援
2 地域  養育  回復  緊急的支援
3 個別  発達  尊厳  緊急的支援
4 地域  養育  尊厳  継続的支援

児童養護施設運営指針の1〜4ページ、第I部 総論「2.社会的養護の基本理念と原理」の「社会的養護の原理」の①〜⑥の項目名の出題でした。
答えは1で、A個別、B発達、C回復、D継続的支援 が入ります。


⑧平成29年前期問2
社会的養護は、従来の「( A )」の機能から、( B )機能の支援・補完・再生を重層的に果たすさらなる( C )に向けた転換が求められている。( D )の関係調整、 回復支援の過程は、施設と( E )とが協働することによって果たされる。

【語群】
ア 児童救済  イ 家庭代替  ウ 家族  エ 虐待防止   オ 地域支援(コミュニティソーシャルワーク)   カ 家庭支援(ファミリーソーシャルワーク) キ 親子間   ク 子ども間  ケ 行政  コ 親

児童養護施設運営指針の6〜7ページ、第I部 総論「5.養育のあり方の基本」の 「関係性の回復を目指して」からの出題でした。
A 家庭代替、B家族、C家庭支援(ファミリーソーシャルワーク)、 D親子間、E親 が入ります。


学習ポイント

全部で27ページから成り立つ指針ですが、これまで出題されたのは3箇所ですから、出題範囲は限られていると考えられます。

①第I部「2 社会的養護の基本理念と原理」
②第I部 「5 養育のあり方の基本」
③第II部 「4 権利擁護」

これらを中心に読み進めると、効率的に学習することができますね。
次回は、「乳児院運営指針」の学習ポイントです。