(2022.7.19更新)
「社会的養護」の科目においてよく出題されている「児童養護施設入所児童等調査結果」について、前回に引き続き学習ポイントをあげていきます。




出題内容
平成26年再試験までさかのぼりました。
大きく分けると、「施設と施設を比較した問題」と「一つの施設の問題」という2種類になります。
今回は、色付けした一つの施設の問題(8問)をピックアップします。

令和4年前期

児養護施設の入所児童の状況

令和3年後期

各施設の現状

令和2年後期

乳児院入所児童の虐待の種類

平成29年前期

施設の児童の平均年齢

平成28年後期

施設(里親)委託時の年齢構成


説明から施設種別の名称を答える

平成28年前期

児童の心身の状況


情緒障害児短期治療施設

平成27年地域限定

説明と施設種別名組み合わせ

平成27

児童の状況について

平成26年再試験

乳児院の養護問題発生理由


児童自立支援施設


※令和2年後期試験以降は、平成30年2月1日時点の結果です。
※平成27年から平成29年前期試験は、平成25年2月1日時点の結果です。
※平成26年再試験は、平成20年2月1日時点の結果です。

次回試験に対応するために、各問題を平成30年2月1日現在の調査結果をもとにして解説します。

過去問分析

①令和4年前期
次の文のうち、「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成 30 年2月1日現在)」(厚生労働省)における、児童養護施設の入所児童の状況に関する記述として、適切なものを一つ選びなさい。

1 6歳未満で入所した児童が約8割である。
2 児童の平均在所期間は、10 年を超えている。
3 児童の入所経路では、「家庭から」が約6割である。
4 心身の状況において障害等を有する児童は、約7割である。
5 虐待を受けた経験がある児童のうち、心理的虐待は約6割である。

児童養護施設に関した様々な内容が問われました。
1 ×6歳未満で入所した児童は50.2%です。(3ページ)
2 ×平均在所期間は、5.2 年です。(4ページ)
3 〇「家庭から」が、62.1%です。(5ページ)
4 ×児童の心身の状況について「該当あり」が36.7%です。(7ページ)
5 ×ネグレクトが最も多く63.0%で、心理的虐待は26.8%です。(13ページ)

②令和3年後期
次のうち、「児童養護施設入所児童等調査(平成 30 年2月1日現在)」(厚生労働省)における 社会的養護の現状についての記述として、最も不適切なものを一つ選びなさい。

1 児童養護施設入所児童のうち、被虐待経験のある子どもは6割を超える。
2 里親委託児童のうち、家族との交流がない子どもは7割を超える。
3 母子生活支援施設への入所理由では、「配偶者からの暴力」が最も多い。
4 障害児入所施設入所児童の心身の状況において「広汎性発達障害」が最も多い。
5 自立援助ホームの入所児童等のうち、「LGBT」は1%程度である。

複雑な問題で難しかったです。
1 〇65.6%です。(13ページ)
2 〇70.3%です。(16ページ)
3 〇50.7%で最も多いです。(21ページ)
4 ×広汎性発達障害ではなく、知的障害が最も多く、次いで広汎性発達障害、重度心身障害の順となっています。(45ページ)
5 〇1.3%です。(8ページ)

③令和2年後期 
次の文は、乳児院に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

D 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成 30 年2月1日現在)」(令和2年1月 厚生労働省)によると、被虐待経験のある乳児院入所児が受けた虐待の種類は、「ネグレクト」が最も多い。

正しい記述です。
被虐待経験のある乳児院入所児(=家庭で虐待を受けたことのある乳児院に入所している児童)のうち、その虐待の種類で最も多いのはネグレクトです。
13ページにありますように、乳児院入所児童は「ネグレクト」が最も多く、66.1%でした

児童が受けた虐待の種類で何が最も多いかということは、入所施設等によって異なるため、ここはしっかりとおさえます。
・ネグレクトが最も多い  里親、ファミリーホーム、児童養護施設、乳児院
・身体的虐待が最も多い  児童心理治療施設、児童自立支援施設
・心理的虐待が最も多い  母子生活支援施設、自立援助ホーム

④平成28年後期
この内容に該当する施設種別として正しいものを一つ選びなさい。

・ 「就学状況」は、「中学校」が約 80%である。
・ 「心身の状況」の「障害等あり」のうち、「ADHD」が約 15%である。
・ 「学業の状況」で「遅れがある」が約 60%である。
・ 「養護問題発生理由」で一般的に「虐待」とされるものが約 40%である。
・ 「児童の今後の見通し」では「保護者のもとへ復帰」が約 60%である。

1 情緒障害児短期治療施設
2 児童発達支援センター
3 児童養護施設
4 児童厚生施設
5 児童自立支援施設

まず、この調査の対象に、児童発達支援センターや児童厚生施設は含まれていませんので、最初から選択肢を1、3、5に絞ることができます。
そもそもこの調査の対象は何であるかをおさえます
調査対象
実里親委託児童
児童養護施設入所児童
児童心理治療施設入所児童
児童自立支援施設入所児童
乳児院入所児童
母子生活支援施設入所(児童、母親)
ファミリーホーム委託児童
自立援助ホーム入居児童
障害児入所施設入所児童 
 平成30年2月1日時点の結果から対象となりました 

この試験時点での答えは5の児童自立支援施設です。
4番目の養護問題発生理由について、前回調査41.7%、今回調査19.4%となっていますので、今回調査で照らし合わせると答えがなくなります。 

それぞれの調査項目
・就学状況は6ページ
・心身の状況は7ページ  ※現在は「該当あり」という表記に変わっています。
・学業の状況は11ページ
・養護問題発生理由は12ぺージ
・児童の今後の見通しは18ページ


⑤平成28年前期
情緒障害児短期治療施設に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 心理的困難や苦しみを抱え日常生活の多岐にわたり生きづらさを感じて、心理治療を必要とする子どもたちを入所又は通所させて治療を行う施設である。

B 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成 25 年2月1日現在)」(厚生労働省)によると、入所している児童の約7割が虐待経験を有していた。

C 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成 25 年2月1日現在)」(厚生労働省)によると、児童の平均在所期間は、約6か月であった。

D 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成 25 年2月1日現在)」(厚生労働省)によると、入所している児童のうち、小学生が約8割、中学生が約1割、その他が約1割であった。

  (組み合わせ)  
     A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ○

情緒障害児短期治療施設(現 児童心理治療施設)についての◯×問題でした。

A  
5ページにあります。
「治療」という言葉がポイントですね。

B  
3ページにあります。
今回調査では78.1%が虐待経験を有していますので約8割ですね。


4ページにあります。
平均在所期間は2.2年です。

D ×
6ページにあります。
就学状況は中学生が最も多く、47.0%です。


⑥平成27年地域限定
【I群】の施設種別名と【II群】の説明を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【I群】            
A 児童養護施設
B 情緒障害児短期治療施設
C 乳児院
D 児童自立支援施設

【II群】
ア 入所児童の約7割は被虐待経験があり、また「障害等あり」の割合も約7割であった。
イ 家族との交流関係では、「面会」が5割を超えるが、「帰省」は2割に満たない。
ウ 入所児童の就学状況では約8割が「中学校」であり、「特に指導上留意している点」では約7割が「社会規範」であった。
エ 入所児童の平均在所期間は約5年であり、「児童の今後の見通し」は「自立まで現在のままで養育」が5割を超えている。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ア イ エ ウ
2 ア ウ イ エ
3 イ エ ア ウ
4 エ ア イ ウ
5 エ ウ イ ア

施設種別名と説明を結びつける問題でした。
数値が変わっていますので、該当箇所のみ紹介します。

ア 被虐待経験は13ページ、心身の状況は7ページ 
イ 家族との交流関係は16ページ
ウ 就学状況は6ページ
エ 在所(委託)期間は4ページ

いくつかポイントがあげられます。
被虐待経験ありが約8割=児童心理治療施設
平均在所期間約5年=児童養護施設
中学校に就学している児童が約8割=児童自立支援施設


⑦平成26年再試験
乳児院の養護問題発生理由に関する記述である。正しいものを一つ選びなさい。

1 「母の行方不明」よりも「父の行方不明」が多い。
2 「母の精神疾患等」よりも「父の精神疾患等」が多い。
3 「母の就労」よりも「父の就労」が多い。
4 「父母の離婚」よりも「両親の未婚」が多い。
5 「養育拒否」よりも「次子出産」が多い。

乳児院の養護問題発生理由についての◯×問題でした。
養護問題発生理由は12ページにあります。

一見難しそうな問題ですが、1〜3は全て「母よりも父」となっているので、同じ答え(誤り)になるということを見抜けます。
あらゆる項目で父よりも母の理由の方が多くなっています。

4 父母の離婚は43、両親の未婚は84です。
5 養育拒否は162、次子出産は7です。


⑧平成26年再試験
児童自立支援施設に関する記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 入所による利用も、通所による利用も可能である。
B 「児童養護施設入所児童等調査結果の概要(平成 20 年2月1日現在)」(厚生労働省)における児童の平均在所期間は、約4年である。
C 「児童養護施設入所児童等調査結果の概要(平成 20 年2月1日現在)」(厚生労働省)における養護問題発生理由で、一般的に「虐待」とされる「放任・怠だ」、「虐待・酷使」、 「棄児」、「養育拒否」の合計は約1割である。
D 入所している児童の小・中学校への就学の義務は、課されていない。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × × ×
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○ 

児童自立支援施設についての◯×問題でした。

A  
児童自立支援施設は入所、通所の両方が可能です。
「児童福祉法」第44条
「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。」


在所(委託)期間は、在所(委託)期間は4ページにあります。
平均在所期間は1.4年です。


養護問題発生理由は12ページにあります。
全て合わせると32.6%です。


児童福祉法「第48条」
「児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設及び児童自立支援施設の長、その住居において養育を行う第六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める者並びに里親は、学校教育法に規定する保護者に準じて、その施設に入所中又は受託中の児童を就学させなければならない。 」


学習ポイント

前回まとめた「施設と施設を比較した問題」は、7ページまでの調査結果からの出題でした。
今回まとめた「一つの施設の問題」は、4、6、7、11、12、13、16、18ページからの出題でした。

これらをあわせてもチェックするページは限られていますので、調査項目に絞った学習がおすすめです。
また、今回から調査対象となった障害児入所施設入所児童についても今後出題される可能性がありますので、ここも忘れずに学習しておきたいです。