先日問題を簡単に紹介しましたが、神奈川県のホームページに問題が掲載されましたので、その中の数問を詳しく見ていきたいと思います。

問題構成はこのようになっています。

1

資料

特別支援教育の推進

2

人物

プラトン

3

人物

ペスタロッチ

4

人物

カイヨワ

5

人物

松野クララ

6

人物

城戸幡太郎

7

諸外国の教育制度

イギリスの教育制度

8

用語

エンゼルプラン

9

用語

PISA

10

中央教育審議会答申

アクティブ・ラーニングなど


今回は一番難しかったと思われる、問7の「イギリスの教育制度」について見ていきます。


問7

問7 次の文は、イギリスの教育に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
 
1 ナショナル・カリキュラムとの関連でいくつかの学年を一つのグループにしたキーステージと呼ばれる区分が導入され、各キーステージの最終学年などにおいて生徒の学力がどの程度伸びているのかを評価する仕組みが設けられている。

2 2002年からシティズンシップ教育が中等学校の必修科目として導入され、市民に必要とされる知識・スキル・技能などの育成が目指されている。

3 サッチャー保守党政権は市場原理を柱とする新自由主義的な政策を推進し、ナショナル・カリキュラムとナショナル・テストの導入などによる競争原理を教育に導入した。

4 ブレア労働党政権は「第三の道」と呼ばれる政治路線をとり、ナショナル・テストを廃止するなど、前保守党政権が創出した競争的な環境の改善を目指した。

5 新教育運動の教育者であるニイル(Neill,A.S.)によって創設されたサマーヒル・スクールは、学校の方針である授業の出欠自由の是非を巡って政府と法廷で争ったが和解し、授業の出欠の自由については尊重されることとなった。

 
どのような資料から出題されたのだろう?と思い、いろいろと調べました。
すると、文部科学省ホームページにて、諸外国における客観的根拠に基づく 教育政策の推進に関する状況調査 報告書というものを見つけました。
この資料の11ページからがイギリスの教育政策となり、設問1、3、4についてはこの資料から答えを見つけることができました。

1 ◯
ナショナルカリキュラムとは日本でいうところの学習指導要領です。
そして、義務教育の11年間を4つの段階に分けています。
例えばキーステージ1なら4から7歳を一つのグループとしてとらえます。
キーステージの修了学年に、教師の評価と外部試験の結果をもって成績をつけるということになります。
資料の15から16ページで述べられている内容です。


2 ◯
シティズンシップ教育とは「市民性」を育む教育です。
簡単に言うと、社会の中で人の役に立とうとしたり、地域や周りの人と協力しようとしたりする姿勢です。
これが2002年から中等学校の必須科目として導入されています。
参考資料 https://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/kankoubutu/shuroku27/s11.pdfー


3 ◯
資料の13ページに、サッチャー政権についての記載があります。
1988年制定の教育改革法により、ナショナル・カリキュラムの導入、到達度を測定するナショナル・テストを導入したことが述べられています。


4 ×
資料の13から14ページに、ブレア政権についての記載があります。
「ナショナル・テストの到達度や学力証明試験の合格率等の重要指標が伸長した学校には、カリキュラム開発やセミナー実施 など使途の大枠が決まった補助金の増額がなされた。」という記述があることから、ナショナル・テストは廃止されていないということがわかります。


5 ◯
人物別出題ポイント⑥に書きましたように、ニイルはイギリスにサマーヒル・スクールを創設し、子どもの自由を尊重した教育を行なっています。
出欠は子ども自身に任せたことがポイントです。



以上、問7についての解説でした。
諸外国の教育制度がここまで深く聞かれるのは珍しいですね。
いわゆる捨て問(みんな分からないような、正答率が低い問題)ですので、あまり時間をかけずに答えを出したいです。
 
この問題をどうにかテクニック(裏技)で解こうとすると、全く分からない問題が出た時の解答テクニックを使って、4か5と決めます。
5のサマーヒル・スクールは合っていると考えると、答えは4ということになります。
もし、どうしても分からなくて適当にマークしよう!という難問は、4か5を選ぶという作戦もおすすめです。

次回も、神奈川県独自試験の中から問題をピックアップして解説します。