今回も、先日の神奈川県独自試験の教育原理を見ていきたいと思います。

問題構成はこのようになっています。

1

資料

特別支援教育の推進

2

人物

プラトン

3

人物

ペスタロッチ

4

人物

カイヨワ

5

人物

松野クララ

6

人物

城戸幡太郎

7

諸外国の教育制度

イギリスの教育制度

8

用語

エンゼルプラン

9

用語

PISA

10

中央教育審議会答申

アクティブ・ラーニングなど


今回は問5を見ていきます。
問5は松野クララがメインの問題構成ですね。

試験前に2019年神奈川県保育士試験「教育原理」勉強ポイントで教育原理の出題を予想し、今までの出題傾向から幼稚園に関する内容が出題されると考えました。
そこで松野クララが出そうだなと考えていたところ、やはり出ました。


問5

次の文は、松野クララに関する記述である。( A )~( C )にあてはまる 語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

松野クララは、東京女子師範学校附属幼稚園の初代監事( A )のもと、( B ) として、( C )の幼稚園を模範とする幼稚園保育を開始した。

(組み合わせ)
        A                B                        C
1 伊沢修二   主任保母          デューイ(Dewey, J.)
2 関信三       主任保母          フレーベル(Fröbel, F.W.)
3 伊沢修二     社会福祉主事  モンテッソーリ(Montessori, M.) 
4 沢柳政太郎 社会福祉主事  シュタイナー(Steiner, R.)
5 関信三        社会福祉主事  モンテッソーリ(Montessori, M.) 

答えは2となります。

松野クララは平成28年後期試験「教育原理」の選択肢に登場していますが、問題としては初めての出題です。

では選択肢に登場した人物も含めて、今回出てきた人物を確認していきます。

■松野クララ

東京女子師範学校付属幼稚園主任保母
フレーベルが設立した保母学校でフレーベルから直接学ぶ

というキーワードをおさえていれば、答えの2を選ぶことができます。

松野クララは日本人ではなくドイツの女性で、1876年に来日しました。
来日してドイツで知り合った松野はざま(日本人)と結婚し、松野クララという名前に変わっています。
日本人とドイツ人の国際結婚はこれが初めてだったそうです。

また、東京女子師範学校は1874年に創設され、1876年に付属幼稚園が開園しました。
松野クララは、その付属幼稚園で主任保母として他の保母にフレーベルの教育を伝えたり、当時の日本では珍しいピアノを子どもたちに弾いたりしました。
ピアノがうまく、その後は女子学習院でピアノ指導をしていたという経歴があります。

■伊沢修二

これまでの「教育原理」だけでなく「保育原理」にも登場しておらず、おそらく保育士試験に初めて出てきたのではないかと思います。

・日本初の言語障害児施設「楽石社」設立
・吃音(きつおん)矯正を実施

■関信三

人物総まとめを確認すると、関信三も平成23年までの「教育原理」には登場していません。(まとめていると便利ですね!)

しかし、「保育原理」に出題されています。

平成30年前期試験「保育原理」 問4
ドイツの教育者である( A フレーベル  )は、世界で最初の幼稚園(Kindergarten)の創設者である。主著である『人間の教育』(1826 年)の中で、幼児期においては( B  遊び )がこの時期の子どもの最も美しい表れだと主張した。彼は、幼児のための遊具(Gabe)を考案したが、これは、明治時代になって( C 関信三)の編集した『幼稚園法二十遊嬉』等によって わが国に紹介された。


平成26年再試験「保育原理」問3
C 倉橋惣三らの提唱する児童中心主義の保育を批判し、社会中心主義の保育を主張して、 1909 年に『幼児教育法』を出版したのは、関信三である。 
これは城戸幡太郎の説明ですので×ですね。


関信三はもともと仏教の僧侶でしたがキリスト教へ改宗し、東京女子師範学校の英語教師となります。
その後、東京女子師範学校付属幼稚園の初代園長(=監事)となりました。

ヨーロッパに留学していた時に知ったフレーベルの教育を支持していたので、東京女子師範学校付属幼稚園はフレーベル主義の幼稚園になったということです。
関信三は得意の語学力を生かして、ドイツから来た松野クララの通訳をしたり、外国の幼児教育の書物を翻訳したりしました。

関信三のキーワード
東京女子師範学校付属幼稚園の初代園長(監事)
・『幼稚園記』を翻訳し、『幼稚園設立法』を書く
・『幼稚園法二十遊嬉』でフレーベルの恩物を紹介する

■沢柳政太郎(澤柳政太郎)

澤柳政太郎は平成28年 後期試験「教育原理」の問5の選択肢に登場し、また平成26年再試験「教育原理」では澤柳政太郎が日本に取り入れたドルトン・プランが出題されています。

澤柳政太郎のキーワード

成城小学校創設
ドルトン・プラン(パーカーストが提唱した個別学習)導入

■デューイ

デューイはほぼ毎回の試験に登場している、「教育原理」の定番の人物です。
デューイについては、人物別出題ポイント①デューイをご覧ください。

■モンテッソーリ

モンテッソーリもよく出題されています。

モンテッソーリのキーワード

・イタリア初の
女性医学博士
・子どもは自ら発達する力を持っている
・幼児期は精神的発達の基礎として「感覚の訓練」が特に重要であるとして教具を開発
・「障害児教育」を行うために考案した教具(着衣枠、重量板、触覚板、円柱さし、ピンクタワー、算数棒、音感ベルなど)で手先の動きを重視
・著書『モンテッソーリ・メソッド』
・「敏感期幼児期において感受性が敏感になる時期

 

■シュタイナー

人物総まとめを確認すると、関信三と同様に「教育原理」には登場していません。
ですが、平成29年前期「保育原理」に出題され、平成29年後期「保育原理」の選択肢に登場しています。

平成29年前期試験「保育原理」問7
クラリエベック(旧オーストリア)出身の哲学者で、人間の真の姿を認識しようとする学問として、人智学を打ち立てた。1919 年、ドイツのシュトゥットガルトで自由ヴァルドルフ学校を設立した。

モンテッソーリの教育とよく比較されるのがシュタイナーの教育です。
モンテッソーリと同様に子どもをの興味を尊重し、「みんなでこれをやりましょう!」という教育ではなく、「あなたがやりたいことをやろう!」というようなイメージの教育です。
モンテッソーリ教育と異なる点としては、絵や音楽という芸術を多く取り入れて感性を育てることです。
自然素材のおもちゃにこだわり、自然を味わうということも特徴です。

シュタイナーのキーワード
・自由ヴァルドルフ学校
・人智学



以上、問5についての解説でした。
問6同様に、保育原理に出てくる人物も登場していますね。
ただ、松野クララ、関信三、フレーベルが関わりがあるということを理解できていれば迷わず解ける問題でした。
人物問題は暗記学習となりますが、勉強していく中で「この人とこの人がつながっている」と理解していくと、より記憶にも残りやすく、複数の人物が絡んだ問題に対応できます。
 
次回は、教育原理の問4を解説する予定です。