(2022.7.7更新)
今回は、平成29年後期試験の問10の事例問題を解説します。
事例問題は、この平成29年後期試験から社会的養護の問10に出題されるのが定番となり、毎回1、2問出題されています。

知識問題より事例問題の方が得意という方も多いと思います。
どの事例問題にも共通することは、「困っている人にとって適切な環境は何か」「困っている人にどのような対応をしたらいいか」ということです。
もちろんある程度の知識も必要となりますが、複雑に考えないように気をつけます。
この平成29年後期試験の事例問題は「児童福祉法」に基づく福祉サービスについての内容でした。




平成29年後期試験
【事例】
Mさんは、L児童養護施設で3年前から保育士をしている。最近、Nさん(19 歳、女性) から、「職場の人間関係がうまくいかず、辛かったので仕事を辞めた。どうしたらよいか」 との相談を受けた。Nさんは、L児童養護施設を措置解除となった半年前から就職先の寮で暮らしていたが、現在は友人宅で生活している。

【設問】  次のうち、Nさんが利用できる福祉サービスとして、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 ファミリー・サポート・センター事業の利用
2 児童自立支援施設への入所
3 婦人保護施設への入所
4 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)の利用
5 救護施設への入所

以前L児童養護施設に入所していた19歳のNさんが、L児童養護施設で勤務しているMさんに対して「仕事を辞めて就職先の寮も出て、どうしたらいいか」という相談をしています。
Nさんの状況から、Nさんにとって適切な福祉を考えます。
児童養護施設を措置解除された19歳ということから、4の「児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)」に結びつきます。
児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)とは、共同生活を営むべき住居における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業です。
20歳未満の児童養護施設退所者等、22歳の年度末までの間にある大学等就学中の者が対象児童です。


その他の選択肢も確認します。

1 ファミリー・サポート・センター事業の利用
ファミリーサポートセンターとは、子育てや家事を手助けしてもらいたい人と手助けしたい人が助け合うサービスです。
ファミリーサポートセンターについては「児童福祉法」第6条の3第14項で定められており、法律上は「子育て援助活動支援事業」という名称となります。
社会的養護の分野ではありませんから、社会的養護では問題の答えにはなりにくいですね。


2 児童自立支援施設への入所
児童自立支援施設は児童福祉施設の1つです。
「不良行為」「生活指導」等がキーワードになっている施設ですので、この事例の女性は対象ではありません。

3 婦人保護施設への入所
婦人保護施設とは「売春防止法」に定められている施設です。
要保護女子を保護したり、DV被害から緊急避難を目的とした施設です。
この事例の女性は対象ではありません。


5 救護施設への入所
救護施設とは「生活保護法」に定められた施設です。
身体または精神に著しい障害があるために日常生活が困難な要保護者を入所させる施設です。
この事例の女性は対象ではありません。


児童自立生活援助事業は何度も出題されています


この問題は社会的養護だけでなくその他福祉の分野も関係していました。
ですが「19歳」「児童養護施設を措置解除された」というキーワードから自立援助ホームが該当することは分かりやすかったですね。

平成28年法改正より、児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)は何度も出題されています。
第6条の3第1項の対象児童はしっかり覚えておきたいです。