(2022.7.12更新)
今回は平成27年試験問9の障害児施設についての問題を解説します。
平成22年改正(24年施行)「児童福祉法」に関する問題です。
この時の改正は、主に障害児に対する内容の見直しやサービスの創設でした。
前回解説した放課後等デイサービスもこの改正時に創設されたものです。 




平成27年試験 問9
次の文は、平成 24 年4月の「児童福祉法」の改正後の障害児施設についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A これまで障害種別で分かれていた障害児施設は、障害児通所支援と障害児入所支援にそれぞれ一元化されている。
B 障害児通所支援については、事業・サービスごとに異なっていた実施主体が市町村(特別区を含む)となった。
C 「障害者総合支援法」に基づき、障害児施設に入所していた 18 歳以上の過齢児は、障害者施設へすべて移行した。
D 学校通学中の障害児に対する放課後や夏休み等の長期休暇中の居場所づくりや継続的な訓練等のために、障害児の放課後等デイサービスが創設された。

  (組み合わせ)
    A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

平成24年に施行された「児童福祉法」に関しては、厚生労働省の障害児支援の体系にまとめられています。
厚生労働省のホームページには保育士試験対策に使える資料がたくさんあるので、どんどん活用したいですね。

この資料をもとに一つ一つ確認していきます。

A これまで障害種別で分かれていた障害児施設は、障害児通所支援と障害児入所支援にそれぞれ一元化されている。

→◯
障害児支援の体系の1ページです。
もともと障害児を対象とした施設・事業は、施設系は「児童福祉法」、事業系は「障害者自立支援法」にもとづいて実施されてきました。
それが平成24年施行「児童福祉法」により、根拠法を「児童福祉法」に一本化されました。
そして、それまで障害種別で分かれていた障害児施設を、「障害児通所支援」「障害児入所支援」という利用形態別に一元化しました。
障害種別による区分をなくした理由は、①障害の重複化に対応すること ②身近な地域で支援を受けられるようにすることです。


B 障害児通所支援については、事業・サービスごとに異なっていた実施主体が市町村(特別区を含む)となった。

→◯
こちらも障害児支援の体系の1ページです。
施行後の実施主体は、通所支援は市町村入所支援は都道府県ですね。
通所支援の実施主体が見直され、都道府県が実施主体となっていたものも市町村に変わりました。
身近な地域で支援が受けられるようになったことがポイントです。

C 「障害者総合支援法」に基づき、障害児施設に入所していた 18 歳以上の過齢児は、障害者施設へすべて移行した。

→×
「すべて移行した」というところが誤りです。
障害児支援の体系の6ページ(障害児入所支援)では「18歳以上の障害児施設入所者への対応 ・ 障害者総合支援法の障害福祉サービスにより年齢に応じた適切な支援を提供。 *引き続き、入所支援を受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満20歳に達するまで利用することが可能。」としています。
ですから、18歳以上の障害児施設入所者はすべて障害者施設へ移行するのではなく、満20歳に達するまでは引き続き入所が可能です。
「児童福祉法」では第31条第2項に定められています。
「都道府県は、第二十七条第一項第三号の規定により小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託され、又は児童養護施設、障害児入所施設(第四十二条第一号に規定する福祉型障害児入所施設に限る。)、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所した児童については満二十歳に達するまで、引き続き同項第三号の規定による委託を継続し、若しくはその者をこれらの児童福祉施設に在所させ、又はこれらの措置を相互に変更する措置を採ることができる。」


D 学校通学中の障害児に対する放課後や夏休み等の長期休暇中の居場所づくりや継続的な訓練等のために、障害児の放課後等デイサービスが創設された。

→◯ 
障害児支援の体系の4ページです。
前回解説していますように、放課後等デイサービスの対象は障害児であり、目的は放課後や夏休み等の支援の充実、居場所確保です。


平成22年改正(24年施行)「児童福祉法」は要チェック
平成22年改正(24年施行)「児童福祉法」は、主に障害児に対する内容の見直しやサービスの創設となりました。
特に、新たに定められた、放課後等デイサービスと保育所等訪問支援は社会的養護に出題されやすいので、対象者やどのような支援であるかを学習しておきたいですね。