前回に引き続き、「社会的養護」の親権に関する問題に対応するために、「児童家庭福祉」「社会福祉」の過去問を確認します。

今回は、「社会福祉」平成30年後期試験の問3です。

 





平成30年後期試験「社会福祉」問3
次の文は、親権についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 未成年の子どもには親権者が必要であるため、親権を行う者がおらず、かつ未成年後見人の指定がない場合には、未成年被後見人またはその親族その他の利害関係人の請求によって家庭裁判所は未成年後見人を選任する。

B 「民法」において、親権者には、「懲戒」は監護及び教育に必要な範囲内で許容される。

C 未成年の子どもは、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

D 両親が離婚しても、実父母の親権は共同して行われる。

(組み合わせ)
    A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

4つの設問は全て「民法」の内容です。

一つ一つ確認していきます。


A 未成年の子どもには親権者が必要であるため、親権を行う者がおらず、かつ未成年後見人の指定がない場合には、未成年被後見人またはその親族その他の利害関係人の請求によって家庭裁判所は未成年後見人を選任する。


→◯

これは「民法」第840条第1項の規定です。
 第840条第1項
前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。

前条(839条)とは、最後に親権を行うものが未成年後見人を指定するというものです。
その指定がない(未成年後見人になるべき者がいない)場合に、家庭裁判所が未成年後見人を選任するということです。




B 「民法」において、親権者には、「懲戒」は監護及び教育に必要な範囲内で許容される。 

→◯

これは「民法」第822条の規定です。822条は、820条を受けています。
    第820条
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う

第822条 
    親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

いわゆる懲戒権です。
「子の利益のために」行われる監護及び教育の中で、必要な範囲で懲戒(しつけ)することができます。
つまり親権者に懲戒権はあるものの、「子の利益のため」に行うことを前提としているということです。



C 未成年の子どもは、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

→◯

これは「民法」第823条第1項の規定です。
 第823条 
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

いわゆる職業許可権です。
子ども自ら事業を行うだけでなく、雇われて働くことも含めて、親権者の許可が必要となります。


D 両親が離婚しても、実父母の親権は共同して行われる。

→×

これは「民法」第818条第3項、第819条第1項・第2項の規定です。
 第818条第3項
   親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。

第819条
1 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
    2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。


婚姻中に父母は共同で親権を行いますが、離婚をすると一方が親権者となるということですね。



身上監護権の中の4つの権利をおさえる


「親権」とは、次の2つに大きく分かれます。
①財産管理権(子どもの財産管理)
②身上監護権(一般的な親権の意味)

身上監護権とは「民法」第820条で、「監護及び教育の権利」と定められています。
親権者は、子の利益のために、監護、教育を行う権利と義務があるということですね。

この身上監護権はさらに4つの権利があります。
過去の保育士試験ではこれらの権利の内容が出題されているので、どのような権利があるのかを知っておきたいです。


①居所指定権(第821条)
親権者と子どもは一緒に住むだけでなく、別居も認められています。
なんらかの事情で子どもが別居する場合は、親権者が指定する場所に住む必要があるということです。


②懲戒権(第822条)
懲戒とはしつけという意味合いです。
今のところ懲戒に暴力(体罰)禁止の文言はありませんが、今後改正があるかもしれません。


③職業許可権(第823条)
親権者は子どもの仕事を許可したり、制限したりすることができます。


④身分行為の代理権(第737条、775条、787条、804条)
未成年の子が婚姻するときは父母の同意を得なければならないなど、身分に関した法律行為においては親権者の代理や同意が必要ということです。


子どもにとっては行動を制限されることもありますが、いずれも子どもを守るための権利となります。

次回も親権に関する問題を解説します。