(2022.7.13更新)
今回は、子育て短期支援事業について解説します。
これは「児童福祉法」第6条の3第3項に定められた事業です。
「この法律で、子育て短期支援事業とは、保護者の疾病その他の理由により家庭において養育を受けることが一時的に困難となつた児童について、厚生労働省令で定めるところにより、児童養護施設その他の厚生労働省令で定める施設に入所させ、又は里親(次条第三号に掲げる者を除く。)その他の厚生労働省令で定める者に委託し、当該児童につき必要な保護を行う事業をいう。」




子育て短期支援事業には2種類ある
子育て短期支援事業を簡単に説明しますと、出産や病気などで子どもを養育できない際に、児童福祉施設などで一時的に子どもを養育・保護する事業です。
例えば、出産予定で数日入院する場合に2歳の子どもの面倒をみてくれる人が誰もいない、仕事で出張することが決まったが、その間の子どもの養育が困難であるなどです。
子育て家庭が利用できる事業であると考えると「子ども家庭福祉」の範囲かなと思いますが、事業内容に子どもを保護するという意味合いも含みますので「社会的養護」の範囲でもあります。
実際に保育士試験ではどちらの科目にも出題されています。

子育て短期支援事業は2種類に分かれています。
短期入所生活援助事業(ショートステイ事業)
一時的に養育が困難になった場合に、児童福祉施設などで適切な養育・保護を行います。
原則7日以内という期間が定められています。

夜間養護等事業(トワイライトステイ事業)
トワイライトとは夜明け前という意味があります。
かつて運行していたトワイライトエクスプレスは寝台列車ですね。
つまり、夜間(ここでは休日も含みます)子どもを養育・保護する事業です。
夕方から夜にかけての数時間、翌日までの宿泊型など、施設によって時間帯も異なります。


平成30年後期 問7

子育て短期支援事業に関して、実際の問題を確認します。

平成30年後期「社会的養護」問7
次の文は、子育て短期支援事業に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 実施主体は、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)とする。
B 子どもは親と共にいることが必要であり、育児不安といった精神的理由では利用できない。
C この事業の実施施設には、母子生活支援施設は含まれていない。
D 夜間養護等(トワイライトステイ)事業において対象となる者は、保護者の仕事等の理由により、平日の夜間又は休日に不在となる家庭の児童とされている。

 (組み合わせ)
     A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 ○ × × ○
5 × × ○ ×

子育て短期支援事業は「児童福祉法」に定められており、具体的には子育て短期支援事業実施要綱(令和3年3月改正)にて事業内容が定められています。
この実施要綱をもとに一つ一つ確認していきます。

A 実施主体は、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)とする。 

→ ◯
子育て短期支援事業実施要綱では、実施主体は市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)としています。
また、市町村が認めた者への委託も可能です。

B 子どもは親と共にいることが必要であり、育児不安といった精神的理由では利用できない。

→ ×
育児不安により養育が困難な場合にも利用できます。
子育て短期支援事業実施要綱では、対象者として以下の5つをあげています。

・児童の保護者の疾病
・育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ、育児不安など身体上又は精神上の事由
・出産、看護、事故、災害、失踪など家庭養育上の事由
・冠婚葬祭、転勤、出張や学校等の公的行事への参加など社会的な事由
・経済的問題等により緊急一時的に母子保護を必要とする場合

一人親家庭などの限定もありませんので、例えば「一人親家庭のみが利用できる」などといった問題文は×となります。

C この事業の実施施設には、母子生活支援施設は含まれていない。

→×
実施施設に母子生活支援施設も含まれます。
子育て短期支援事業実施要綱では、実施施設等について、児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院、保育所、ファミリーホーム等としています。
「〜等」ですので、実施施設の限定はされていないと考えます。 


D 夜間養護等(トワイライトステイ)事業において対象となる者は、保護者の仕事等の理由により、平日の夜間又は休日に不在となる家庭の児童とされている。

→◯
文章の通りです。


事業名称からどのような内容か連想できるようにする
保育士試験の勉強では「〜支援事業」などがたくさん出てきますね。
この「子育て短期支援事業」は、短期という言葉がありますので内容がイメージしやすいです。
似た名称の事業として、例えば「子育て援助活動支援事業」がありますが、こちらはファミリーサポートセンター事業のことで別物です。
事業名称からどのような内容かを連想できるようにして、混乱しないように一つ一つ丁寧におさえたいです。