(2022.7.31更新)
令和元年後期「教育原理」について解説しています。
今回は問8の中央教育審議会答申です。


問8  中央教育審議会答申

次の文は、中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(平成 28 年)の一部である。( A )・( B ) にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

2030 年とその先の社会の在り方を見据えながら、学校教育を通じて子供たちに育てたい姿を描くとすれば、以下のような在り方が考えられる。

・ 社会的・職業的に自立した人間として、我が国や郷土が育んできた伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、理想を実現しようとする高い志や意欲を持って、主体的に学びに向かい、必要な情報を判断し、自ら知識を深めて個性や能力を伸ばし、人生を切り拓いていくことができること。

・ ( A )を通じて、自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と 協働したりしていくことができること。

・ ( B )の中でも、感性を豊かに働かせながら、よりよい人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題の発見・解決につなげていくことができること。

(組み合わせ)
       A                        B
1 発表や主張  変化の激しい社会
2 発表や主張  知識基盤社会
3 対話や議論  変化の激しい社会
4 対話や議論  情報化社会
5 対話や議論  知識基盤社会

まず、選択肢を消去できる解答テクニックから紹介します。
今回の試験では問1、問2、問8、問9と、穴が2ヶ所の穴埋め問題が出題されました。
このような問題では「選択肢に1つしかない言葉」が入っている選択肢は消去できるという解答テクニックが使えます。
この問題であれば、選択肢4のB「情報化社会」ですね。
もしこれが答えならAは考えなくても答えが分かってしまいます。
問題作成者は、片方で答えが決まってしまうような選択肢を正答にしないと考えます。
よって、選択肢4を消去することができますね。

では、次に内容面を見ていきます。
これは「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について (答申)」(平成 28 年)の13ページからの出題でした。

・ ( A 対話や議論 )を通じて、自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と 協働したりしていくことができること。

・ ( B 変化の激しい社会 )の中でも、感性を豊かに働かせながら、よりよい人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題の発見・解決に つなげていくことができること。


Aについては、
・自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解
・集団としての考えを発展
の部分から、一方的な「発表や主張」ではなく、相手がある「対話や議論」であるとわかりますね。

Bについては、
「変化の激しい社会」「知識基盤社会」のどちらかと考えます。
「知識基盤社会」とは平成17年の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」で定義されており、「新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会」としています。
つまり、「変化の激しい社会」の中で「知識基盤社会」が求められると考えられます。

問題文は「 ( B )の中でも」としていることがポイントです。
もし「知識基盤社会」でしたら、「知識基盤社会の中、問題を発見、解決できる」などという言い回しになるのではないでしょうか。
 ( B )の中でも」となっていますので、「変化の激しい社会の中でも、問題を発見、解決できる」となると文章がつながりますね。

ある程度出題が予想できます

ここ数年毎回出題されているのが中央教育審議会答申です。
中央教育審議会答申とは、教育制度などについて文部科学大臣が委員に意見を求めて、委員が調査審議して意見を述べるものということです。

文部科学省のホームページには数多くの答申が載っているのですが、保育士試験ということから幼児や障害児に対する教育に関する内容に絞ることができます。
ある程度予想することができるので、対策がしやすいです。
今後出題されそうなものはここにまとめています。


また、出題形式は、この問題のように穴埋め問題がほとんどです。
内容を知らなくても、解答テクニックや国語力をあわせて答えを導くことができるかもしれません。
以上、問8の問題解説でした。


次回は、問9を見ていきます。