(2022.7.14更新)
引き続き令和元年後期「社会的養護」の問題を解説していきます。
今回は問4の児童養護施設の目的と役割の組み合わせ問題です。


問4 児童福祉施設
 
次の【I群】の施設種別と【II群】の各施設の目的と役割を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【I群】
A 児童心理治療施設
B 福祉型児童発達支援センター
C 児童家庭支援センター
D 児童自立支援施設

【II群】
ア 地域の児童の福祉に関する各般の問題につき、児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識および技術を必要とするものに応じ、必要な助言を行うとともに、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行う。

イ 家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間入所させ、または保護者の下から通わせて、社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

ウ 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。

エ 不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、または保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

(組み合わせ)
    A B C D
1 ア イ ウ エ
2 ア ウ エ イ
3 ア エ イ ウ
4 イ ウ ア エ
5 イ エ ウ ア

児童福祉施設の名称と役割や目的を結びつけるという基本的な問題が出題されました。
社会的養護というよりも、子ども家庭福祉にありそうな問題でしたね。
すべて分かる状態が理想的ですが、例えば、A 児童心理治療施設 D 児童自立支援施設が分かるだけでも答えを選ぶことができました。

一つずつ見ていきます。

ア 地域の児童の福祉に関する各般の問題につき、児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識および技術を必要とするものに応じ、必要な助言を行うとともに、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行う。

 C 児童家庭支援センター 
「児童に関する家庭その他からの相談」がポイントです。

イ 家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間入所させ、または保護者の下から通わせて、社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

 A 児童心理治療施設 
「心理に関する治療」という言葉がポイントですね。

日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。

→ B 福祉型児童発達支援センター 
「日常生活における基本的動作の指導」「訓練」という言葉がポイントですね。
医療型児童発達支援センターでは、この説明に「治療」が加わります。

不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、または保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

 D 児童自立支援施設
「不良行為」という言葉がポイントですね。


児童福祉施設はそれぞれの定義をしっかりと覚える
今回の問題は基本でしたので解きやすかったですが、平成31年前期「児童家庭福祉」問8のように、少しひねった問題が出題されることがありますので紹介します。 
次の文は、児童福祉施設等についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
 
A 児童養護施設の目的には、退所した者に対する相談やその他の自立のための援助が含まれる。
B 福祉型障害児入所施設は、障害児を入所させ、保護、日常生活の指導及び独立自活に必要な知識技能の付与を行うことを目的とする施設である。
C 児童心理治療施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を対象とする。
D 母子生活支援施設は、父子も入所することができる。
  
(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

こちらの答えは2です。
Cの説明は児童自立支援施設の対象児童ですね。
Dの母子生活支援施設は、父子は対象ではありません。
それぞれの児童福祉施設を定めている「児童福祉法」の各条文をしっかりと読み込むことが必要です。
このような過去問を解いてみると、間違えやすいものや混乱してしまうものがないかどうかを確認することができますね。

以上、問4の解説でした。