引き続き「社会的養護」の問題を一つ一つ解説していきます。
問題はこちら

問題構成はこのようになっていました。

1

法律

「児童福祉法」第2

2

資料

「社会的養育の推進に向けて」

3

指針

「児童養護施設運営指針」

4


児童福祉施設の組み合わせ

5 

資料

「児童養護施設入所児童等調査結果」(平成 25 年2月1日現在)

6

職員

家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)

7

指針

「児童養護施設運営指針」

8

指針

児童養護施設運営指針」

9


児童養護施設の第三者評価、自己評価


10

事例

主任保育士からの指導の内容について


今回は問6の家庭支援専門相談員についてです。


問6 家庭支援専門相談員
 
次の文のうち、家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の業務に関する記述として不適切な記述を一つ選びなさい。

1 対象児童の早期家庭復帰のための保護者等に対する相談援助
2 対象児童等に対する心理療法
3 退所後の児童に対する継続的な相談援助
4 里親委託・養子縁組の推進
5 児童相談所等関係機関との連絡・調整

家庭支援専門相談員の業務が曖昧でも、選択肢2にある心理療法 は、心理療法担当職員の業務とわかりますね。
よって、選択肢2が不適切な記述ということになります。

家庭支援専門相談員の配置については「児童福祉施設に設備及び運営に関する基準」に定められています。
では、具体的な業務はと言いますと、厚生労働省の通知「家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理療法担当職員、個別 対応職員、職業指導員及び医療的ケアを担当する職員の配置について」

にて確認できます。

まず、家庭支援専門相談員の趣旨は

虐待等の家庭環境上の理由により入所している児童の保護者等に対し、児童相談所との密接な連携のもとに電話、面接等により児童の早期家庭復帰、里親委託等を可能とするための相談援助等の支援を行い、入所児童の早期の退所を促進し、親子関係の再構築等が図られることを目的とする。」

としています。

また、業務内容は以下となります。
黄色で示した部分が、今回出題された内容です。

(1)対象児童の早期家庭復帰のための保護者等に対する相談援助業務
(2)退所後の児童に対する継続的な相談援助
(3)里親委託の推進のための業務
(4)養子縁組の推進のための業務
(5)地域の子育て家庭に対する育児不安の解消のための相談援助
(6)要保護児童の状況の把握や情報交換を行うための協議会への参画
(7)施設職員への指導・助言及びケース会議への出席
(8)児童相談所等関係機関との連絡・調整
(9)その他業務の遂行に必要な業務


さまざまな業務がありますが、特に「入所している児童の保護者に対する援助」が最も重要で、過去にも出題されています。

 

家庭支援専門相談員は出題されやすい専門職です

家庭支援専門相談員は出題されやすく、平成30年前期、平成31年前期の「社会的養護」に出題されています。
これらの問題を紹介します。

平成30年前期「社会的養護」問10
【事例】

Mちゃん(1歳2か月、女児)は母親と2人暮らしで、母親が夜、家を空けることが頻繁にあったため、半年前に児童相談所で一時保護された。児童相談所は母親による虐待(ネグレクト)と判断し、乳児院への措置が決定された。母親は、Mちゃんの入所後一度も面会に来なかったが、ある日突然施設を訪れ、Mちゃんを引き取りたいと乳児院に申し出た。

【設問】
この乳児院の家庭支援専門相談員が最初に行うべき対応として、最も適切な記述を一つ選びなさい。

1 虐待を理由に入所した子どもは、法律上、家庭に帰すことができないという規定があることを母親に伝える。

2 親権を有する母親の意思を尊重し、家庭引き取りの手続きを行う。

3 引き取りに関する話は、児童相談所の児童福祉司が担当すべき事柄であり、乳児院は関与してはいけないため、児童相談所に行くように勧める。

4 母娘2人での生活は困難と判断し、母子生活支援施設の利用を勧める。

5 母親が引き取りを希望する理由や母親の生活の状況について、母親の気持ちに寄り添いながら話を聴く。

答えは5です。

1にあるような規定はなく、3にあるような引き取りについては入所している施設が関わります。
また、2や4のようにすぐに判断するのではなく、解決に向けた適切な支援が必要です。

親子関係の再構築のためにどのようにしたらよいかと考えると答えを選ぶことができますね。


平成31年前期「社会的養護」問8
次の文は、「社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン」(平成 26 年3月 厚生労働省 親子関係再構築支援ワーキンググループ)に記された「家庭支援専門相談員に求められる技術」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

親とのコミュニケーションにおいて、家庭支援専門相談員に求められる技術は、「受容」「( A )」 「傾聴」である。虐待を行ったため、否定されている親の持ついろいろな思いを「受容」や「( A )」することで、親との( B )を作り出されることが支援の大きな鍵となる。親を( C )するという姿勢も大切である。その前提としてそれぞれの親たちが持っている困難を乗り越える力を正しく評価し伝えると共に、かかわりを通じて更に前向きな力に変容できるよう支援することが重要である。その支援において大切なことが積極的な「傾聴」である。

【語群】
ア 指示  イ 共感  ウ 信頼関係  エ 愛着関係  オ エンパワメント  カ 指導

(組み合わせ)
    A B C
1 ア エ オ
2 ア オ カ
3 イ ウ オ
4 イ エ カ
5 カ ウ オ

こちらの問題も、親に対する家庭支援専門相談員の援助についてです。
A 共感 B 信頼関係 C エンパワメント が答えです。

保護者等に対して、寄り添い、共感することで信頼関係を構築するということです。
またエンパワメントとは自信をつけることを意味します。
保護者等が前向きになって自信をつけることができるように、家庭支援専門相談員が働きかけるということですね。

このように、平成30年前期、平成31年前期、令和元年後期と全て「保護者等に対する相談援助業務」という部分が出題されています。
今後も家庭支援専門相談員は引き続き出題されやすいと考えられますので、特に「保護者に対して」どのような援助の姿勢が求められるかということをおさえておきたいです。

以上、問6の解説でした。


次回は問7を見ていきます。