今回より「社会福祉」の問題を一つ一つ解説していきます。
問題はこちら

今回は問1の「ノーマライゼーションの理念」についてです。


問1 ノーマライゼーションの理念
 
次の文のうち、社会福祉におけるノーマライゼーションの理念に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A ノーマライゼーションとは、国民に対して最低限度の生活を保障することを意味し、「入所施設での生活を、より普通の生活に近づける」という考え方から始まった。

B ノーマライゼーションの考え方は、障害者福祉分野に限らず社会福祉分野全般の理念として使用されるようになっている。

C ノーマライゼーションの理念が国際的な場で初めて表明されたのは、1994 年のサラマンカ声明 (スペインのサラマンカで開催された「特別ニーズ教育世界会議」で採択された声明)である。

D ノーマライゼーションの理念とは、北欧の国から提唱された、障害者を施設から健常者が暮らす「ノーマルな社会」に戻すことである。

(組み合わせ)
 A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 × ○ × ×
3 × × ○ ×
4 × × × ○
5 × × × ×


ノーマライゼーションとは、厚生労働省では、障害のある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会を目指すという理念であることを述べています。
つまり、障害がある人などを隔離するのではなく、健常者と一緒に助け合って生活していきましょうということです。
共生社会とほとんど同じような意味合いになりますね。

今回の問題は、ノーマライゼーションのはじまりや考え方について細かく問われていた内容でした。
文章が分かりにくく、ノーマライゼーションの考え方を理解していても、読み間違えてしまう可能性があるように感じました。

設問を一つずつ見ていきます。
 
 A ノーマライゼーションとは、国民に対して最低限度の生活を保障することを意味し、「入所施設での生活を、より普通の生活に近づける」という考え方から始まった。


→× 

これは◯とも判断できそうな曖昧な文章でした。

まず、前半の「国民に対して最低限度の生活を保障することを意味」についてはノーマライゼーションの定義として述べられていません。

次に「入所施設での生活を、より普通の生活に近づける」という考え方は合っており、施設に入所しなければならない人が、施設で普通の生活をできるようにすることがノーマライゼーションの考え方です。 

しかし、もともとノーマライゼーションとは、知的障害者を収容していた施設で人権侵害が行われていたことがきっかけで生まれた理念です。
「障害者などを施設に隔離せず、共に助け合って普通の生活していこう」ということから始まっています。



B ノーマライゼーションの考え方は、障害者福祉分野に限らず社会福祉分野全般の理念として使用されるようになっている。

→◯

ユニバーサルデザイン(全ての人が使いやすいデザイン)もノーマライゼーションの1つです。
例えば、シャンプーとリンスの容器の違い(横のギザギザ)がユニバーサルデザインです。


C ノーマライゼーションの理念が国際的な場で初めて表明されたのは、1994 年のサラマンカ声明 (スペインのサラマンカで開催された「特別ニーズ教育世界会議」で採択された声明)である。


→×

これはインクルーシブ教育についての文章です。
インクルーシブ教育とは、人間の多様性を尊重し、障害のある者とない者がともに学ぶ仕組みのことです。
これは「教育原理」の内容になりますね。


D ノーマライゼーションの理念とは、北欧の国から提唱された、障害者を施設から健常者が暮らす「ノーマルな社会」に戻すことである。

→×

これも少し文章が難しいですね。

ノーマライゼーションは北欧(デンマーク)ではじまった理念です。
排除されて施設に隔離された障害者を、単に「社会に戻す」ということではなく、「ノーマルな生活を提供する」ということになります。
つまり、特別視されることなく、障害のない人と平等に、普通の生活ができるようにするということですね。

ノーマライゼーションは過去問をチェック

今回の問題は、ノーマライゼーションの理解とともに、読解力も必要と感じました。

ノーマライゼーションは「社会福祉」に繰り返し出題されている言葉ですので、今後も出題が予想されます。
平成26年、平成28年前期、平成29年前期、また神奈川県の平成31年と出題されていますので、それらをチェックし、考え方を確実に確認する必要があります。

次回はこれらの過去問を確認し、ノーマライゼーションを詳しく見ていきます。