後期試験「社会福祉」の問題を一つ一つ解説していきます。
問題はこちら

今回は問4のさまざまな権利についてです。


問4 さまざまな権利
 
次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選び なさい。
 
A 「保育所保育指針」では、保護者の苦情などへの対応に関する規定はない。

B 児童福祉施設の長は、入所中の児童等で親権を行う者、未成年後見人のない者に対し、一部都道府県知事の許可を得て、親権を行うことができる。

C 福祉専門職としての保育士は、子どもや保護者が抱える問題やニーズを代弁(アドボカシー)して支援していくことが求められている。

D 「児童の権利に関する条約」では、「児童の最善の利益」という言葉を規定している。

 (組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × × ×
3 × ○ ○ ○
4 × × ○ ○
5 × × ○ ×


問3同様に、社会福祉の範囲を超えて他科目も関係していた問題となっていました。

まずは解答テクニックからです。

これまで何度も出てきているように、Aのように「〜規定はない」という言い回しは誤りと判断できる可能性が高いです。
定められていないことをわざわざ問題にしないということ、またもし正しければ何故そのような規定がないのかということになってしまうため、誤りと考えます。

また、Bの「一部」という言い回しは、イレギュラーの場合ということになりますね。
イレギュラーを含めた文章ということですので正しいと考えます。


設問を一つずつ見ていきます。
 

A 「保育所保育指針」では、保護者の苦情などへの対応に関する規定はない。

→×
 
保育所保育指針では、 「
保育所は、入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。」としています。

「保育原理」や「児童家庭福祉」の勉強をしていれば、苦情対応の規定があることは迷わずに分かりますね。


B 児童福祉施設の長は、入所中の児童等で親権を行う者、未成年後見人のない者に対し、一部都道府県知事の許可を得て、親権を行うことができる。

→◯

一部都道府県知事の許可を得て」という部分がひっかかります。

児童福祉施設の長は、児童に親権者等がいない場合に親権を行うことができるということを「児童家庭福祉」「社会的養護」などで学習しますね。

同様の問題が平成30年神奈川県試験「児童家庭福祉」に出題されています。
その記事はこちらです。


平成30年神奈川県試験「児童家庭福祉」問10
C 児童福祉施設の長は、入所中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。

→◯

入所中の児童に親権者や未成年後見人がいない場合には、児童福祉施設の長が代わりに親権を行うということです。
これは第47条第1項で定められています。
 
第47条第1項
児童福祉施設の長は、入所中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。

ただし書の規定が、今回の問題の「一部都道府県知事の許可を得て」の部分ですね。
民法797条とは、15歳未満のものを養子とする縁組です。
つまり、児童福祉施設の長が養子縁組の承諾をする際は、都道府県知事の許可が必要ということです。

よって、今回の設問Bは◯ということになります。


C 福祉専門職としての保育士は、子どもや保護者が抱える問題やニーズを代弁(アドボカシー)して支援していくことが求められている。

→◯

アドボカシーとは代弁ということを意味します。
もう少し具体的に説明しますと、自分の意見をうまく話せない子どもの気持ちをくみとって、子どもの代わりに意見を伝えるということです。
例えば、何かを選ぶ時に自分の意見をうまく伝えられない子どもに対して、気持ちをくみとって対応したとします。
子どもは自分の意見が尊重されたという安心感や、人から押し付けられるのではなく自分の考えで何かを決めることができたという喜びを感じます。

アドボカシーという言葉については、平成28年社会的養護の問3に出題されています。
今後も、社会的養護や社会福祉に出題されると考えられます。


D 「児童の権利に関する条約」では、「児童の最善の利益」という言葉を規定している。

→◯

文章の通りです。
また、1959年の「児童の権利に関する宣言」にも「児童の最善の利益」という言葉が含まれています。

「児童の権利に関する条約」は、保育原理、児童家庭福祉、社会的養護に出題されるものですが、最低限の知識は社会福祉にも出題されると言えますね。

 
解答テクニック(言い回し)もうまく活用する

問3に続き、この問4も児童家庭福祉などの他科目の学習範囲が含まれていました。
よって学習範囲を広げて勉強しておくとよさそうです。

また、◯×組み合わせ問題は、答えを二つまで絞れたものの、はっきりと分からずにどちらか迷うということも多いと思います。
そこで、解答テクニックをうまく活用したいです。
この問題ではAの「規定はない」は×、Bの「一部」のような言い回しは◯と判断することを紹介しました。
この2つだけでも答えの3を選ぶことができます。

もちろん正確な知識があることに越したことはないのですが、このような言い回しも判断材料として活用していくのがおすすめです。
 
次回は問5の解説です。