(2022.11.24更新)
介護保険制度について過去問を確認して出題形式を見ていきます。
今回は平成31年前期試験(問8)の問題です。


平成31年前期「社会福祉」問8
 
次の文は、わが国の社会保険制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 介護保険制度の保険者は、国民に最も身近な行政単位である市町村(特別区を含む)とされている。
B 厚生年金保険制度では、適用事業所に常時使用されている 75 歳未満の者は必ず被保険者となることになっている。
C 雇用保険制度では、失業等給付を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業を行っている。
D 労働者災害補償保険制度では、業務災害及び通勤災害に関する保険給付、二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業等を行っている。

 (組み合わせ)
 A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

介護保険制度について述べられたAを含め、社会保険制度全般の出題でした。
介護保険制度のみの問題が出題される場合もあったり、このようにその他の社会保険制度と一緒に出題されることもあります。
一つずつ見ていきます。 

A 介護保険制度の保険者は、国民に最も身近な行政単位である市町村(特別区を含む)とされている。

→◯
正しい記述です。
まず基本的なこととして、「保険者」とは保険料を徴収し、サービスの給付を行う者、「被保険者」(=介護保険の加入者)とは、40歳以上の全ての者です。

「介護保険法」第3条
市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする。」
これより、介護保険制度の保険者は、市町村と特別区(東京23区)となります。
 

B 厚生年金保険制度では、適用事業所に常時使用されている 75 歳未満の者は必ず被保険者となることになっている。 

→×
75歳未満ではなく、70歳未満です。
適用事業所とは、厚生年金の適用の対象となる事業所です。
厚生年金は強制的に加入となりますので、適用事業所に勤めている従業員は厚生年金の被保険者(加入者)となります。
ただし、その年齢は70歳未満ですね。

「厚生年金保険法」第9条
「適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。」


C 雇用保険制度では、失業等給付を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業を行っている。


→◯
正しい記述です。
宮城労働局(厚生労働省)のこちらの図で確認できます。
「失業等給付」と「雇用保険二事業」に大きく分かれています。
この「雇用保険二事業」は「雇用安定事業」と「能力開発事業」の2つあります。
 
令和元年後期試験(問10)では、「失業等給付」の中の分類について出題されました。
雇用保険の失業等給付には、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4つがある。
正しい記述ですね。
「失業等給付」は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4つの内訳になっています。


D 労働者災害補償保険制度では、業務災害及び通勤災害に関する保険給付、二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業等を行っている。

→◯
正しい記述です。
労働者災害補償保険制度とは、いわゆる「労災」と呼ばれるもので、仕事中や通勤中に起こったケガや病気に対して保険給付を行う制度です。
二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業等」についても、「労災保険とは」(厚生労働省)で、どのような制度であるかを学習しておきます。

二次健康診断等給付
健康診断の結果で、脳や心臓疾患を発症するおそれがある人に対して、二次健康診断(より精密な検査)や医師による特定保険指導(生活指導や栄養指導など)を受診者の負担なしで受けることができる制度です。

社会復帰促進等事業
ケガや病気になった労働者の社会復帰を促進するために義肢などの費用を支給したり、遺族の援護のために子どもに援護費を支給したりする制度です。

 
社会保険制度は細かい知識が必要

この問題は社会保険制度全般が出題されており、AからCは迷いやすく、Dは難しい内容でした。

Aについて補足です。
介護保険制度の保険者については市町村と特別区となりますが、国や都道府県が何も関わらないということではなく、国が体制をつくり、都道府県が援助を行います。
国、都道府県、市町村(特別区)でそれぞれに役割があることをおさえておきたいですね。

引き続き、介護保険に関する問題を解説していきます。