後期試験「社会福祉」の問題を一つ一つ解説しています。

その中で、問6に出題された介護保険制度はほぼ毎回出題されていますので、過去問を確認して出題形式を見ていきたいと思います。
今回は、平成29年後期試験の問題です。 

問題はこちら


平成29年後期「社会福祉」問10
 
次の文は、介護保険制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を ×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
 
A Fさんは 60 歳になり定年退職となったため、現在住んでいる市役所から介護保険被保険者証が送られてきた。

B 流通会社に勤めている 55 歳のGさんは、脳血管疾患に罹患した後、在宅療養が必要となったため、介護保険制度の要介護認定を申請することにした。

C 要介護3のHさん(75 歳)は、単身生活で自宅で介護サービスを利用していたが、 自宅での生活が困難となってきたため、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用するための申請を行った。

D 高齢者世帯のIさん夫婦は、介護保険制度についてよく分からない事柄が多かったため、近所の「地域包括支援センター」に行き、介護保険制度についての説明を受けた。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×

介護保険制度に関するさまざまな事例が出題されました。
年齢や施設名を一つ一つ見ていかなければならない、かなり難しい問題でした。

ただ、作成者が問題文を作るにあたって「ネガティブな内容にはしない」と個人的には考えます。
問題に出てくる事例の対象者が、希望しているサービスを利用できるように作られているのではないかなと考えます。
そうするとBとCは◯ということです。


では設問を一つずつ見ていきます。
 

A Fさんは 60 歳になり定年退職となったため、現在住んでいる市役所から介護保険被保険者証が送られてきた。

→×

60歳ではなく、正しくは65歳です。
まず、介護保険被保険者証が送付されるのは第1号被保険者(65歳以上)です。
また、第2号被保険者のうち、要介護・要支援の認定を受けると送付されます。
市町村から送付されることもポイントですね。

これは「介護保険法施行規則」に基づきます。

第26条「市町村は、第一号被保険者並びに第二号被保険者法第九条第二号に規定する被保険者をいう。以下同じ。)のうち法第二十七条第一項又は第三十二条第一項の規定による申請を行ったもの及び法第十二条第三項の規定に基づき被保険者証の交付を求めたものに対し、様式第一号による被保険者証を交付しなければならない。」


 

B 流通会社に勤めている 55 歳のGさんは、脳血管疾患に罹患した後、在宅療養が必要となったため、介護保険制度の要介護認定を申請することにした。

→◯

年齢や病名に注意が必要です。

介護保険サービスは、第1号(65歳以上)は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに利用できますが、第2号(40 〜64歳)は末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に利用できるとしています。

問題文にあるGさん(55歳)は第2号であるため、特定疾病(介護保険サービスを受けられる原因となる病気)の範囲が決まっています。
この脳血管疾患は特定疾病の1つです。

特定疾病一覧

1 がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
2 関節リウマチ
3 筋萎縮性側索硬化症
4 後縦靱帯骨化症
5 骨折を伴う骨粗鬆症
6 初老期における認知症
7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】
8 脊髄小脳変性症
9 脊柱管狭窄症
10早老症
11多系統萎縮症
12糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13脳血管疾患
14閉塞性動脈硬化症
15慢性閉塞性肺疾患
16両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

(参考)特定疾病の選定基準の考え方(厚生労働省)

 
 
C 要介護3のHさん(75 歳)は、単身生活で自宅で介護サービスを利用していたが、 自宅での生活が困難となってきたため、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用するための申請を行った。

→◯

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、入所によるサービスを受けられる施設です。
常時介護が必要で在宅での介護が難しくなった場合に利用できます。
原則として要介護3以上で利用できますが、特例として要介護1や2でも利用できる場合があります。

(参考)WAM NET



D 高齢者世帯のIさん夫婦は、介護保険制度についてよく分からない事柄が多かったため、近所の「地域包括支援センター」に行き、介護保険制度についての説明を受けた。

→◯
 
地域包括支援センターとは、高齢者やその支援に関わる方を対象とした相談窓口となります。
地域包括支援センターは、「介護保険法」に規定された施設です。


「介護保険法」第115条の46
地域包括支援センターは、第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)及び第百十五条の四十五第二項各号に掲げる事業(以下「包括的支援事業」という。)その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設とする。」


 
問題を一つ一つおさえておく

今回出題された内容をまとめました。

■介護保険被保険者証が送付されるのは1号と認定を受けた2号
■2号で要介護・要支援が必要となったときの原因の特定疾病は範囲が決まっている
■介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は入所サービス施設

■地域包括支援センターは高齢者やその支援に関わる方の相談窓口

 
今回出題された内容はかなり細かく、保育士試験としてはどうかな?という難易度になっていました。
ここまでの問題はあまり出ないと思うのですが、念のためこの過去問で出てきた内容だけはおさえておきたいですね。

引き続き、介護保険に関する問題を解説していきます。