(2022.11.24更新)
介護保険制度について過去問を確認して出題形式を見ていきます。
今回は平成29年後期試験(問10)の問題です。 


平成29年後期「社会福祉」問10 
次の文は、介護保険制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を ×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
 
A Fさんは 60 歳になり定年退職となったため、現在住んでいる市役所から介護保険被保険者証が送られてきた。
B 流通会社に勤めている 55 歳のGさんは、脳血管疾患に罹患した後、在宅療養が必要となったため、介護保険制度の要介護認定を申請することにした。
C 要介護3のHさん(75 歳)は、単身生活で自宅で介護サービスを利用していたが、 自宅での生活が困難となってきたため、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用するための申請を行った。
D 高齢者世帯のIさん夫婦は、介護保険制度についてよく分からない事柄が多かったため、近所の「地域包括支援センター」に行き、介護保険制度についての説明を受けた。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×

介護保険制度に関するさまざまな事例が出題されました。
年齢や施設名を一つ一つ見ていかなければならない複雑な問題です。

問題作成者が問題文を作るにあたって「ネガティブな内容にはしない」と個人的には考えています。
問題に出てくる事例の対象者が、希望しているサービスを利用できるように作られているのではないかなと考えます。
そうするとBとCは◯ですから、答えは4と判断することができます。

一つずつ見ていきます。
 
A Fさんは 60 歳になり定年退職となったため、現在住んでいる市役所から介護保険被保険者証が送られてきた。

→×
60歳ではなく、正しくは65歳です。
介護保険被保険者証が送付されるのは第1号被保険者(65歳以上)と、第2号被保険者のうち、要介護・要支援の認定を受けた者です。
市町村から送付されることもポイントですね。
 

B 流通会社に勤めている 55 歳のGさんは、脳血管疾患に罹患した後、在宅療養が必要となったため、介護保険制度の要介護認定を申請することにした。

→◯
年齢や病名に注意が必要です。
介護保険サービスは、第1号(65歳以上)は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに利用できますが、第2号(40 〜64歳)は末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に利用できます。
よって、Gさん(55歳)は第2号であるため、特定疾病(介護保険サービスを受けられる原因となる病気)の範囲が決まっています。
この脳血管疾患は特定疾病の1つですから〇となります。
特定疾病については、特定疾病の選定基準の考え方(厚生労働省)の一覧をご確認ください。

  
C 要介護3のHさん(75 歳)は、単身生活で自宅で介護サービスを利用していたが、 自宅での生活が困難となってきたため、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用するための申請を行った。

→◯
正しい記述です。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、入所によるサービスを受けられる施設です。
常時介護が必要で在宅での介護が難しくなった場合に利用できます。
原則として要介護3以上で利用できますが、特例として要介護1や2でも利用できる場合があります。
(参考)WAM NET



D 高齢者世帯のIさん夫婦は、介護保険制度についてよく分からない事柄が多かったため、近所の「地域包括支援センター」に行き、介護保険制度についての説明を受けた。

→◯
正しい記述です。
地域包括支援センターとは、高齢者やその支援に関わる方を対象とした相談窓口となります。
地域包括支援センターは「介護保険法」に規定された施設です。

 
内容を一つ一つおさえておく

今回出題された内容をまとめました。

■介護保険被保険者証が送付されるのは1号と認定を受けた2号
■2号で要介護・要支援が必要となったときの原因の特定疾病は範囲が決まっている
■介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は入所サービス施設

■地域包括支援センターは高齢者やその支援に関わる方の相談窓口

 
今回出題された内容はかなり細かく、難しかったですね。
ここまでの問題はあまり出ないと思うのですが、念のためこの問題で出てきた内容はおさえておきたいですね。

引き続き、介護保険に関する問題を解説していきます。