令和元年後期試験「社会福祉」の問題を解説しています。
今回は問9の育児休業制度に関する問題です。


令和元年後期試験 問9
 
次の文は、わが国の育児休業制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」は、職業生活と家庭生活の両立に寄与することを目的として掲げている。
B 育児休業制度は、原則として子が1歳になるまで利用できる。
C 育児休業基本給付金は、雇用保険として支給される。
D 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」には、勤務時間の短縮等の措置は、中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して提供されると規定されている。
 
(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○


育児休業制度について定めた「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に関する内容がA、B、D、「雇用保険法」に関する内容がCです。
今回はおそらくCの内容が不適切ということで全員正解となっています。
個人的にはBの内容も分かりにくいと思います。

1つずつ見ていきます。

A 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」は、職業生活と家庭生活の両立に寄与することを目的として掲げている。

→◯

法律で定められた目的を詳しく知らなくても、育児休業制度がどのようなものかを考えれば分かりますね。
子どもが生まれても、仕事を辞めることなく勤務を継続できるようにした制度です。
つまり、仕事と育児(家庭)を両立させる目的があるということですね。
 
育児休業制度を定めた法律を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。
この法律の第1条に、その目的が述べられています。

「この法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。」
 
問題文にありますように、職業生活と家庭生活の両立に寄与(=役立つこと)が目的ということですね。



B 育児休業制度は、原則として子が1歳になるまで利用できる。

 →?

自分自身、家族、同僚、知人などで、2、3歳くらいまで育児休業を取得できた方がいらっしゃったかもしれません。
そのためこれを×と考える方もいるかもしれませんが、育児休業制度は原則として1歳になるまでです。

これは、
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第5条第1項に定められています。

「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。」

この条文にある通り、原則は1歳になるまでですね。
ただし、第5条第4項では2歳になるまでの延長について定めています。

「労働者は、その養育する一歳六か月から二歳に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。(略)」

つまり、原則1歳までですが、場合によっては2歳まで延長することができるということです。

しかし、公務員については子どもが3歳になるまで取得できます。
これはまた違う法律である「国家公務員の育児休業等に関する法律」「地方公務員の育児休業等に関する法律」などに定められています。
公務員であれば原則3歳まで取得できるため、この問題では×になっていまいます。
 
問題文が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律において、育児休業制度は原則として子が1歳になるまで利用できる。」という文章であれば◯ということになりますね。



C 育児休業基本給付金は、雇用保険として支給される。 

→?

「育児休業基本給付金」ではなく、「育児休業給付金」や「育児休業給付」であれば◯です。

これは平成26年再試験にも出題されています。
育児休業給付および介護休業給付は、雇用保険制度によって支給される。

失業等給付のうち「雇用継続給付」は、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付を指します。
つまり育児休業給付は雇用保険の一つですね。

ただ、この文章は育児休業基本給付金となっています。
 
以前は、「育児休業基本給付金」と 「育児休業者職場復帰給付金」が育児休業給付として支給されていました。
「育児休業者職場復帰給付金」は職場に復帰して半年後に支給されるものでした。
平成22年にこれらがあわさって、「育児休業給付金」として育児休業中に全て支給されることになりました。
よって、この問題文は×ということになりますが、正しい組み合わせがなくなってしまいます。 


D 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」には、勤務時間の短縮等の措置は、中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して提供されると規定されている。

→×

短時間勤務についてです。
子どもが中学校就学が始まる前までではなく、3歳になるまでです。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第23条に定められています。
事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十四条第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。(略)」



以上、問9の解説でした。
問題文の文字数にかぎりがあるため説明不足となり、Bのように「公務員は例外?」と考えてしまうような問題文も出題されてしまいます。


次の問10の解説は先に済んでおります。


次回は問11のソーシャルワークの成り立ちを解説します。