相談援助の方法(ソーシャルワークといいます)には3種類の技術があります。

直接援助技術
間接援助技術
関連援助技術

前回に続いて、今回は①直接援助技術であるケースワーク、グループワークのうち、グループワークについて見ていきます。


グループワークとは
クライエントに対して援助者が直接関わる直接援助技術のうち、ケースワーク(個別援助技術)は個別に援助し、グループワーク(集団援助技術)は集団を通して援助します。

グループワークは1対1の面接と違って、自然なコミュニケーションがとれたり、グループの中で同じ悩みを持っている人に気づくことができたりするメリットがあります。
仲間意識を持ったり、自分を受け入れたりすることができるということですね。

保育士試験におけるおさえたいキーワード
■援助者(グループワーカー)とグループは意図的な援助関係である
■メンバーが児童であっても集団援助技術を適用できる
■グループであっても個別化の原則に従うこと
 

最近では、平成30年前期、平成29年前期と出題されています。
それより前は平成23年の再試験で出題となっており、ケースワークと比べると出題が少ないですね。
専門用語もありませんから、比較的とりやすい問題だと思います。


平成30年前期 問14
 
次の文は、グループワーク(集団援助技術)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A グループワーク(集団援助技術)は、集団の力を用いてメンバーの問題解決や成長を図る援助である。

B 入所型の児童福祉施設では、小舎制の養護が推進され規模は小さくなったため、大規模集団のマイナス面がなくなり、グループワーク(集団援助技術)の必要はなくなった。

C グループワーク(集団援助技術)では、メンバー間の相互作用が生まれるようにワーカーは意図的に支援する。

D グループワーク(集団援助技術)では、何かを共同でつくりだすプログラムが重要な意味をもち、その作業の達成がグループワークの成否を決めることになるため、ワーカーは、作業を成功に導く技術的指導に重点を置かなければならない。

 (組み合わせ)
     A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○

Aの集団の力を用いて Cの意図的に支援は、グループワークのポイントです。

解答テクニックとして、Bの「必要はなくなった 」は誤りと判断できますね。
内容から考えても、小舎制とはいえ集団であることは変わりません。
集団ですので、集団援助技術が必要ないということはありませんね。

Dはちょっとわかりにくいのですが、ワーカーの技術的指導が中心になるということが読み取れます。
グループワークはメンバーの相互作用によるものですので、×ということになります。

よって答えは3ですね。


平成29年前期試験 問15
 
次の文は、集団援助技術に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 集団援助技術に不可欠な要素は、ソーシャルワーカー、2人以上のメンバー、メンバー同士の仲間関係、グループの問題解決に必要な社会資源の4つのみであると考えられて いる。

2 集団援助技術の展開過程において、ワーカーとしての保育士は、実際のグループ活動が始まる前の「準備期」、「開始期」においても大切な役割をもつ。

3 保育所の5歳児クラスにおいて、保育士は集団援助技術を適用して、メンバー同士の受容や協力関係を利用して、子どもたちの成長・発達を意図することは可能である。

4 児童養護施設において、保育士は集団援助技術を適用して、入所している子どもたちの主体性、社会性の伸長を意図することは可能である。

5 集団援助技術においても、個別化の原則は遵守されるべきである。

細かい部分が出題されており、一見難しそうです。
ですが、1の文章には「のみ」が含まれており、解答テクニックで×と判断できます。
正しい内容であればわざわざ「のみ」をつける必要がないからです。
答えは1です。

それぞれの設問について、 グループワーク(内閣府の資料)をもとに説明します。

1→ 4つではなく5つで、もう一つは「プログラム」です。
プログラムとは、話し合い、音楽活動、運動などさまざまな種類があります。
これは グループワーク(内閣府の資料)の3ページ目にあります。

2→ グループの展開過程は4つです。
・準備期(第1回の会合を始めるまでの時期)
・開始期(第1回の会合から,グループの目標に沿ってメンバーが相互作用を始めるまでの時期)
・作業期(メンバーが相互に作用しながら,個人とグループの目標に向かって取り組む時期)
・終結期(グループが終結するまでの時期)
 
これはグループワーク(内閣府の資料)の8ページ目にあります。

3 4 → 集団援助技術は児童の集団にも適用できます。

5→ 集団であっても、メンバー一人一人の問題を個別化して考えるということです。

グループワーク(内閣府の資料)の7ページ目には、グループワークでは3つの側面に注意を向けるとして、①メンバー一人ひとりと支援者との関係 ②メンバー同士の関係 ③グループ全体とその展開過程 としており、個別化が含まれています。
 


平成23年再試験 問16(沖縄県で実施)
 
次の文は、集団援助技術に関する記述である。最も適切な記述を一つ選びなさい。

1 集団援助技術は、メンバーの主体的な参加が原則となるので、幼児が主体の保育所においては適用されない。

2 集団援助技術は、児童福祉施設においては、児童が社会的に機能する力を高め、個人、 集団、地域社会の諸問題に効果的に対処することができるようにするために活用される技術である。

3「波長合わせ」というのは、集団において異質なメンバー同士が互いを受容し合えるように、メンバー間の情緒的なかかわりを調整する技能であり、児童福祉施設で適用される。

4 児童養護施設の居室やクラブ活動などの集団において、児童同士の葛藤が生じた場合は、まず、保育士や児童指導員がその葛藤を解決しなければならない。

5 集団援助技術の「個別化の原則」は、メンバー個々の個性とその成長を念頭において援助する必要性を意味しており、集団の個別性を認識して援助する必要性を意味するものではない。

平成29年前期試験と似ていますね。
答えは2です。
3の波長合わせとは、援助者がクライエントとの初めての面接前に事前に気持ちを想像したりして、共感する準備をすることです。


以上、直接援助技術のうちグループワークに関する過去問を紹介しました。
グループワークについてはあまり出題がありませんが、専門用語がないため、グループワークの考え方を理解していれば解けそうですね。

次回は間接援助技術についてです。