(2022.12.13更新)
令和元年後期試験「社会福祉」の問題を解説しています。
今回は問15の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に関する問題です。


令和元年後期試験 問15
 
次の文は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に関する記述である。 適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 配偶者からの暴力だけでなく、事実上婚姻関係と同様の事情にある相手からの暴力にも適用される。
B 地域包括支援センターは、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようになった。
C 配偶者暴力相談支援センターの機能には、生活資金の給付が含まれている。
D この法律には、「売春防止法」に基づく婦人保護施設が暴力被害女性の保護を行うことができる旨、記載されている。

(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ○
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × × ○ ×

AやCは勉強の範囲外の出題かもしれませんが、常識的に考えて判断できそうです。
BとDは学習でつかめるはずですので、これがわかるだけでも正答の3を選ぶことができます。

まず「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、通称「配偶者暴力防止法」「DV防止法」と呼ばれています。
配偶者等からの暴力にかかわる相談や通報、被害者の保護などが定められています。
この法律に関しては、「社会福祉」や「子ども家庭福祉」で出題されています。

■平成29年後期試験「社会福祉」問1
C 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」が制定され、婦人相談所は、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすことになった。
→〇

■平成30年神奈川県試験「子ども家庭福祉」問6
C 「売春防止法」に基づき設置される婦人相談所は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に基づき設置される配偶者暴力相談支援センターとしての機能も果たすことができる。
→〇

ややこしい部分ではありますが、婦人相談所は「売春防止法」にもとづいて設置されている機関で、 都道府県には婦人相談所の設置を義務付けています。

さらに、婦人相談所は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」にもとづいて、配偶者暴力防止相談支援センターとしても機能しています。


1つずつ見ていきます。

A 配偶者からの暴力だけでなく、事実上婚姻関係と同様の事情にある相手からの暴力にも適用される。

→◯
正しい記述です。
この法律が定める配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含んでいます。

B 地域包括支援センターは、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようになった。

→×
地域包括支援センターとは高齢者の相談窓口の機関ですから、配偶者の暴力相談とは異なる機関です。
地域包括支援センターは高齢者やその支援に関わる方を対象としており、「介護保険法」に定められています。
この過去問にも出題されていますように、来所して介護保険制度の説明を受けることができます。

 

C 配偶者暴力相談支援センターの機能には、生活資金の給付が含まれている。

→×
生活資金の給付はありません。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の第3条で規定されている援助は、就業促進、住宅確保などの情報提供や助言などです。


D この法律には、「売春防止法」に基づく婦人保護施設が暴力被害女性の保護を行うことができる旨、記載されている。

→◯
正しい記述です。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の第5条では、「都道府県は、
婦人保護施設において被害者の保護を行うことができる。」としています。 


以上、問15の解説でした。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」については、「売春防止法」や婦人相談所、婦人保護施設と関連して出題されることをおさえます。