昨日のニュースで宮城まり子さんが亡くなられたことを知りました。
宮城まり子さんは、1968年、日本で初めての肢体不自由児の養護施設である「ねむの木学園」を設立した人物です。
今で言う、福祉型障害児入所施設ですね。
また、成人に達しても必要に応じてとどまることができる肢体不自児療護施設をつくっています。

肢体不自由児の施設としては、柏倉松蔵(1921年クリュッペルハイム柏学園を開設)、高木憲次(1942年東京製肢療護園を開設)が保育士試験に関係してきますね。
これらは通所施設であり、入所施設である「ねむの木学園」とは異なります。
宮城まり子さんは社会的養護の人物問題にも出題されるのではないかなと個人的に考えています。


さて、令和元年後期試験「社会福祉」の問題を解説しています。
今回はいよいよ最後となる問20の「少子化対策基本法」の穴埋め問題です。


令和元年後期試験 問20
 
次の文は、「少子化社会対策基本法」第2条「施策の基本理念」の一部である。( A )~ ( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての( A )を有するとの認識の下に、国民の意識の変化、( B )の多様化等に十分留意しつつ、( C )の形成とあいまって、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる( D )を整備することを旨として講ぜられなければならない。

(組み合わせ)
    A              B                      C                   D
1 第一義的任務 価値観        男女雇用均等社会  社会
2 第一義的役割 金銭感覚    男女同権平等社会  地域
3 第一義的義務 生活環境    男女平等推進社会  生活
4 第一義的責任 生活様式    男女共同参画社会  環境
5 第一義的責務 問題意識 男女協働施策社会  条件

「少子化社会対策基本法」の穴埋め問題と聞くと冷や汗をかいてしまいそうですが、これは選択肢に重要なキーワードがあったため、すぐに答えがわかるラッキー問題でした。

保護者が子育てに対して「第一義的責任」があることは、様々な法律に載せられています。
この言葉は選択肢4にしかありませんので、これが答えとなります。

第一義的責任とは、根本となる責任と考えられます。
つまり子育ては、まず親が根本となる責任を持ち、国や自治体がそれを援助するということですね。

「第一義的責任」は保育士試験にもよく出題されているため、この言葉が含まれた法令等を制定の古い順に紹介します。


児童の権利に関する条約(1989年国連で採択、日本は1994年の批准)
第18条第1項
「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする」

第27条第2項
父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な生活条件を確保することについての第一義的な責任を有する。」



次世代育成支援対策推進法(2003年)
第3条
次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」


 ■少子化社会対策基本法(2003年)※今回の出題
第2条第1項
 少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、国民の意識の変化、生活様式の多様化等に十分留意しつつ、男女共同参画社会の形成とあいまって、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備することを旨として講ぜられなければならない。」

 
 
教育基本法(2006年改正)
第10条第1項
父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」


児童手当法(2012年改正)
第1条
 この法律は、子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第七条第一項に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。」


いじめ防止対策推進法(2013年)
第9条第1項
 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。」


児童福祉法(2016年改正)
第2条第2項
 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。」


今回出題された「少子化社会対策基本法」は「次世代育成支援対策推進法」と同時に制定されています。
紹介した法令のうち、国内法としてはこれらが最も古いため、 第一義的責任という言葉が含まれたのは2003年制定の「少子化社会対策基本法」と 「次世代育成支援対策推進法」からということになりますね。
その後、「児童福祉法」などのいくつかの法律が改正されたときに、第一義的責任という言葉が含まれるようになりました。

今後も「子ども家庭福祉」「社会福祉」「教育原理」にて、これらの条文の出題が予想されます。


次回からも引き続き、 「社会福祉」について進めていきます。