社会福祉の関係機関の中で、「婦人相談所」と「婦人保護施設」が混乱しやすいので違いを説明します。

「婦人相談所」は「売春防止法」第34条に定められており、「都道府県は、婦人相談所を設置しなければならない。」としています。
つまり、各都道府県に必ず1つ設置されるということですね。
平成30年の資料では49か所あります。
業務としては、相談、一時保護、婦人保護施設への入所委託などです。
また、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」にもとづく、配偶者暴力相談支援センターの機能を持つ施設としても位置づけられています。


「婦人保護施設」は「売春防止法」第36条に定められており、「都道府県は、要保護女子を収容保護するための施設(以下「婦人保護施設」という。)を設置することができる。」としています。
こちらは設置の義務はないということですね。
平成30年の資料では39都道府県 47か所あります。
また、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」にもとづく、被害女性の保護を行う施設としても位置づけられています。


さて、平成23年までの社会福祉の関係機関や施設等に関する問題の過去問をピックアップし、根拠法のまとめとテストを載せました。
追加で、神奈川県試験(平成29年〜平成31年実施)分を紹介します。
神奈川県試験でも同様に毎回出題されており、全国試験よりも広く出題されています。
今回は、婦人保護施設の根拠法は何か?設置主体はどこか?などをあげています。
学習の穴がないか、ご確認ください。

神奈川県試験はこちらにあります。
平成31年
平成30年
平成29年




神奈川県平成31年試験 問6
 
次のうち、社会福祉制度や社会福祉事業とその根拠法として、正しい組み合わせを一つ選びなさい。

1 乳児家庭全戸訪問事業 ― 児童福祉法
2 母子福祉資金の貸付け ― 生活困窮者自立支援法
3 生活困窮者自立相談支援事業 ― 生活保護法
4 特別児童扶養手当 ― 児童手当法
5 成年後見制度 ― 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

全国試験には出題がなかった制度が並んでいますね。


1 乳児家庭全戸訪問事業 ― 児童福祉法
「社会福祉」の科目では具体的な事業内容は出題されないと思われます。
「児童福祉法」に規定されている事業で、「社会福祉法」においては第二種社会福祉事業であることをおさえます。


2 母子福祉資金の貸付け ―母子及び父子並びに寡婦福祉法
問題文は母子福祉資金となっていますが、母子父子寡婦福祉資金のことですね。


3 生活困窮者自立相談支援事業 ―生活困窮者自立支援法
2015年に施行された「生活困窮者自立支援法」は、生活保護を受ける前の段階で支援を行うことで、生活困窮からの脱却を目指すことを目的としたものです。


4 特別児童扶養手当 ― 特別児童扶養手当等の支給に関する法律
特別児童扶養手当とは、20歳未満で精神または身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されるものでしたね。


5 成年後見制度 ― 民法
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人の財産を管理したりして、支援する制度です。
問題文の法律は、いわゆる「障害者総合支援法」です。


答え 1


神奈川県平成30年試験 問6
 
次のうち、社会福祉に関する施策とその根拠法として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【施策】                                     【根拠法】
A 地域包括ケアシステム   「老人福祉法」
B 発達障害者支援センター  「発達障害者支援法」
C 放課後等デイサービス   「障害者自立支援法」
D 母子父子寡婦福祉資金貸付制度「生活保護法」
E 母子健康手帳の交付    「母子保健法」

(組み合わせ)
  ABCDE
1○○○×○
2○○×××
3×○××○
4××○○×
5××○×○

A 地域包括ケアシステム  「介護保険法

地域包括ケアシステムが分からなくても、似た名称である地域包括支援センターが「介護保険法」を根拠法としていることから×とわかりますね。

地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた場所で人生の最後まで自分らしい暮らしが続けられるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される制度です。


C 放課後等デイサービス 児童福祉法
放課後等デイサービスは障害児通所支援であり「児童福祉法」に定められています。


D 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
母子及び父子並びに寡婦福祉法
20歳未満の児童を扶養している、配偶者のないものに貸し付けられます。


答え 3


神奈川県平成30年試験 問7
 
次の文は、福祉行政を担う行政機関についての記述である。誤ったものを一つ選びなさい。

1 社会福祉に関する国の行政機関の中心は厚生労働省であり、社会保障審議会は厚生労働大臣の諮問機関として設置されている。

2 児童相談所は、都道府県の他、政令指定都市、中核市、人口10万人以上の市に設置しなければならない。

3 福祉事務所は、「社会福祉法」により都道府県及び市については設置が義務付けられているが、町村は任意設置である。

4 婦人相談所は、都道府県に設置義務がある。

5 知的障害者更生相談所は、知的障害者に関する相談に応じ、18歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行う。

設置主体などの問題ですね。

2 児童相談所
都道府県と指定都市に設置義務があり、設置を希望する市と特別区(東京23区)は認められれば設置することも可能です。

答え 2


神奈川県平成29年試験 問14
 
次の文は、社会福祉に関する法律についての記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「児童虐待の防止等に関する法律」では、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに児童相談所等へ通告しなければならないと規定されている。

B 「配偶者からの暴力及び被害者の保護等に関する法律」では、都道府県は要保護女子を収容保護するための施設(婦人保護施設)を設置することができると規定されている。

C 「老人福祉法」では、市町村は地域包括支援センターを設置することができると規定されている。

D 「労働基準法」では、職業紹介、職業指導、雇用保険などの業務を行うための無料で公共に奉仕する機関としての公共職業安定所について規定されている。

(組み合わせ)
  ABCD
1○○○×
2○○×○
3○×××
4××○○
5×××○


B 婦人保護施設の設置は「売春防止法」に基づいています。
また、
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の第5条では、「都道府県は、婦人保護施設において被害者の保護を行うことができる。」としており、 婦人保護施設が暴力被害女性の保護を行うことができるとしていましす。

C 地域包括支援センター の設置は「介護保険法」に基づいています。
設置主体は文章の通り市町村です。
地域包括支援センター(根拠法は介護保険法)は、「社会福祉」の科目においてとても出題されやすいですね。
 
 D 公共職業安定所の設置は「職業安定法」に基づいています。
職安、ハローワークと呼ばれる公共職業安定所の根拠法は学習範囲外と思われます。

 
答え 3



神奈川県平成29年試験 問16
 
次の文は、社会福祉の実施機関に関するに記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 平成28年度において、厚生労働省で児童の福祉に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進を所管する組織は、「雇用均等・児童家庭局」である。

B「児童相談所」は、市町村が設置する。

C「福祉に関する事務所(福祉事務所)」は、児童の一時保護を行う。

D「福祉に関する事務所(福祉事務所)」は、都道府県並びに市に設置が義務付けられているが、町村には設置が義務付けられていない。

E「婦人相談所」は、都道府県に設置が義務付けられており、要保護女子に関する各般の問題につき相談に応ずることや、要保護女子の一時保護等を行っている。

(組み合わせ)
 ABCDE
1○○○○○
2○○○××
3○××○○
4×○××○
5×××○×


A文章の通りです。
ですが、「雇用均等・児童家庭局」は2017年の組織改正で廃止となっています。
 
B 児童相談所
都道府県と指定都市に設置義務があり、設置を希望する市と特別区(東京23区)は認められれば設置することも可能です。

C
児童の一時保護を行う機関は児童相談所ですね。


答え 3


神奈川県試験の問題はいかがでしたでしょうか?
次回はさまざまな法律の第1条を確認したいと思います。