(2022.12.21更新)
社会福祉協議会の7回目です。
今回は平成26年再試験の問15を確認します。


平成26年再試験 問15
 
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】 
U市に住んでいる認知症高齢者のSさん(75 歳)は、2年前に夫が死去し、その後、介護保険制度の各種のサービスを利用しながら一人暮らしを続けてきたが、最近、認知症の症状がやや重くなり、金銭管理などが難しくなってきた。そこで、担当しているケアマ ネジャー(介護支援専門員)とも相談して、新たな社会資源の活用を検討することにした。

【設問】 次の文は、担当しているケアマネジャー(介護支援専門員)としての対応に関する記述である。最も適切な記述を一つ選びなさい。

1 U市のSさんが住んでいる地域を担当している民生委員に金銭管理を担当してもらう。
2 Sさんが住んでいるU市の福祉事務所の社会福祉主事に金銭管理を担当してもらう。
3 Sさんが住んでいるU市の社会福祉協議会と契約し、生活支援員に金銭管理を担当してもらう。
4 Sさんを担当しているケアマネジャー(介護支援専門員)自身が、金銭管理も担当する。
5 U市のSさんが住んでいる地域を担当している地域包括支援センターの社会福祉士に金銭管理を担当してもらう。

この問題では、選択肢3に社会福祉協議会が出てきています。
【事例】 「認知症の症状がやや重くなり、金銭管理などが難しくなってきた。新たな社会資源の活用を検討することにした。」ということから、必要な支援として日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)が考えられます。
日常生活自立支援事業とは、「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。」(厚生労働省
そして、福祉サービス利用援助事業とは、「判断能力の不十分な人であっても福祉サービスの利用が適切に利用できるよう助け、これに伴う日常的金銭管理等をあわせて行う仕組み。」です。(厚生労働省「福祉サービス利用援助事業について」

また、この日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)の実施主体は、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会です。
ただし、事業の一部を、市区町村社会福祉協議会等(基幹的社協等)に委託できるとしています。

厚生労働省「福祉サービス利用援助事業について」の10ページに
「実施主体(都道府県・指定都市社会福祉協議会)には、責任者、事業の企画及び運営に携わる職員、専門員、生活支援員を置く。基幹的社協等には、専門員(原則常勤)と生活支援員(非常勤)が配置され援助を提供。」とあります。
また、具体的な動きは13ページにありますね。
実際に福祉サービス利用援助事業の利用者宅を訪問し、日常的な金銭管理を行うのは、この生活支援員です。
このことから、この問題の答えは、3の「Sさんが住んでいるU市の社会福祉協議会と契約し、生活支援員に金銭管理を担当してもらう。 」となります。

事例を読んで、
■Sさんが必要な支援は福祉サービス利用援助事業
■福祉サービス利用援助事業は都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会だが、事業の委託を受けて市町村社会福祉協議会も実施する
■福祉サービス利用援助事業は、社会福祉協議会に置かれた専門員と生活支援員が行い、利用者に対して生活支援員が具体的な援助を提供する

ここまで理解する必要があり、少し難しい問題でした。

問15の解説は以上です。
次回に続きます。