日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)が含まれた問題解説を行います。
すでに解説済みの問題もありますので、それについてはポイントを紹介します。
出題一覧は下の表です。

今回は、平成29年前期試験を確認します。

平成30年前期

17

平成29年後期

5

平成29年前期

19

平成27年地域

20

平成26

5


【神奈川県】

平成30年  

問20

平成29

8


平成29年前期試験 問19
 
次の文は、福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は、福祉サービス利用契約時に、契約の判断ができない者に代わって契約をする等の法的な業務が中心である。

B 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は幅広い役割を担い、例えば、預金通帳の預かりサービス、預金の入出金などのサービスが含まれる。

C 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)を適正に実施するために、契約締結審査会と運営適正化委員会が設けられている。

D 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は、弁護士、司法書士、社会福祉士などが担う制度である。

(組み合わせ)
 A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○ 
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ○
5 × ○ ○ ×


一つずつ確認します。

A 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は、福祉サービス利用契約時に、契約の判断ができない者に代わって契約をする等の法的な業務が中心である。

→×
これは、成年後見制度の説明ですね。
成年後見制度とは、「認知症、知的障害、精神障害などにより物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度」です。(厚生労働省
つまり、本人を法律的に支援するために、本人の意思決定を他の者が補うという制度です。

対して、福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)とは、「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」です。(厚生労働省

また、福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)の援助内容は福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理であり、問題文にあるような法的な業務が中心ということはありません。

具体的な援助方法や法律行為については「日常生活自立支援事業実施要領」に定められています。
(実施要領は全国社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の今後の展開に向けての99ページから掲載)

具体的な援助の方法は、原則として情報提供、助言、契約手続、利用手続等の同行又は代行によること。

法律行為にかかわる事務に関し、本事業の目的を達成するために、本人から代理権を授与された上で代理による援助を行う場合には、契約締結審査会に諮り、その意見を踏まえて慎重に対応すること。

このように、法律行為を援助する成年後見制度とは援助方法が異なっており、日常生活自立支援事業は援助が限られているとも言えます。



B 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は幅広い役割を担い、例えば、預金通帳の預かりサービス、預金の入出金などのサービスが含まれる。

→〇
「日常生活自立支援事業実施要領」では、「預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)」としています。

また、なるほど質問箱の4ページ目にも具体例が載っており、日常的なお金の出し入れや預金通帳の管理などがあげられています。
通帳の管理とは財産管理を行うことではなく、例えば物忘れによって通帳の管理が上手くできないという方などに対して、通帳や銀行印をお預かりするというようなことです。



C 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)を適正に実施するために、契約締結審査会と運営適正化委員会が設けられている。

→〇
「契約内容や本人の判断能力等の確認を行う「契約締結審査会」及び適性な運営を確保するための監督を行う第三者的機関である「運営適正化委員会」を設置する」としています。(厚生労働省

サービスの実施にあたって、契約締結審査会と運営適正化委員会を設置するということですね。



D 福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は、弁護士、司法書士、社会福祉士などが担う制度である。

→×
「日常生活自立支援事業実施要領」では、実施主体には、責任者事業の企画及び運営に携わる職員専門員生活支援員を配置するとしています。
また、生活支援員については平成26年再試験に出題されており、こちらで解説しています。




■この問題のポイント

福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)について

①援助内容は福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理であり、法律行為を援助する
成年後見制度とは援助方法が異なる。


②援助内容には、
預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れ、通帳のお預かり、日常的なお金の出し入れなどの日常的金銭管理がある。


③契約内容や本人の判断能力等の確認を行う「契約締結審査会」、適性な運営を確保するための監督を行う第三者的機関である「運営適正化委員会」を設置する。


実施主体には、責任者、事業の企画及び運営に携わる職員専門員生活支援員を配置する。


次回に続きます。