(2022.12.29更新)
引き続き、「社会福祉」における障害者福祉に関した過去問(つまり障害者に関係している問題)をピックアップしていきます。
今回は、平成29年後期試験を見ていきます。
問1、2、3、14、16、20の一部に、障害者に関した内容が出題されていました。
すでに解説済みの問題も多いのですが、ここでは障害者関連の文章のみをピックアップして一問一答形式にしています。
学習の穴がないかも改めてご確認ください。

問1 制定年並び替え
 
E 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

並び替え問題によく出る法律です。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の制定は2013年です。


問2 社会福祉の基本理念
 
C QOL(Quality of Life)という言葉が社会福祉分野で使われるようになったのは、わが国では、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が制定されてからのことである。

→×
社会福祉分野において、QOLという言葉が「障害者総合支援法」が制定されてから使われるようになったかという問題です。
「障害者総合支援法」は2012年に改題された比較的新しい法律です。
2012年より前からQOLが使われていたことは想像できるので、誤りと判断できるのではないでしょうか。
具体的にいつ頃から使われているのかな?と調べたところ、「QOL(生活の質)」という言葉は1970年代に使われはじめ、社会福祉の領域では1980年代から事典でも見られるようになったということがわかりました。


問3 児童の権利
 
C 障害児通所支援の事業者は、通所児童から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」に基づき、その実施に伴う負担が過重でないときは、その除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

→〇
正しい記述です。
これは「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」第8条第2項の内容です。

この法律の内容面については
障害者差別解消法リーフレット(内閣府)
■障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答
(内閣府)
などを見て、「障害を理由とする差別」「社会的障壁」の意味や、法律の目的、合理的配慮の具体例などを一応知っておきたいですね。


問14 相談支援機関とその根拠法
 
B 発達障害者支援センター ― 「発達障害者支援法」

→〇
正しい記述です。
平成30年後期にも出題されていましたように、発達障害者支援センターは「発達障害者支援法」に定められています。

問16 社会福祉施設等
 
C 身体障害者福祉センターと視聴覚障害者情報提供施設は、「身体障害者福祉法」に基づく身体障害者社会参加支援施設である。

→〇
正しい記述です。
施設の詳細が分からなくても、施設の名称と法律名が合うことはイメージしやすいですね。
身体障害者社会参加施設は、問題文の施設の他に補装具製作施設と盲導犬訓練施設があります。
「身体障害者福祉法」第5条
「この法律において、「身体障害者社会参加支援施設」とは、身体障害者福祉センター補装具製作施設盲導犬訓練施設及び視聴覚障害者情報提供施設をいう。」


問20 地域包括支援体制の構築のために必要なこと
 
A 高齢者・障害者・児童等の分野を総合的に対応できる、包括的な相談支援システムをつくる。

→〇
正しい記述です。
厚生労働省「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現 ー新たな時代に対応した福祉の提供ビジョンー(平成27年)」では、新たな地域包括支援体制として、高齢・障害・児童等の総合的な支援の提供をあげています。
こちらの「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」は文章が分かりにくく感じたので、こちらの図表で理解した方がよいように思います。

■学習ポイント
■ 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の制定年2013年

■「発達障害者支援法」に定められているもの
発達障害者支援センター

■「身体障害者福祉法」に基づく4つの身体障害者社会参加支援施設
身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設、視聴覚障害者情報提供施設