引き続き、「社会福祉」における障害者福祉に関した過去問(つまり障害者に関係している問題)をピックアップしていきます。

今回は、平成29年前期試験を見ていきます。
問2、4、6、7、10、13の一部に、障害者に関した内容が出題されていました。
すでに解説済みの問題もありますが、ここでは障害者関連の文章のみをピックアップして一問一答形式にしています。
学習の穴がないかも改めてご確認ください。


問2  ノーマライゼーション
 
B 知的障害児の放課後等デイサービスにおいて、地域交流機会の提供や余暇の提供等を実施することは、ノーマライゼーションの理念に合致している。

D 知的障害者の作業所において、労働の対価として工賃を得るということは、仕事や責任を与えられるという点で、ノーマライゼーションの理念に合致する。

どちらも正しい文章です。

ノーラマライゼーションの理念とは、具体的には、障害のある人や高齢者などが、家庭や地域で普通の生活を送ることができるようにすることや、それぞれが役割や責任を持ち、社会に貢献しているという気持ちを持てるようにするということです。

こちらに詳しい解説を載せています。


問4 社会福祉の概念
 
A 社会福祉における自立支援は、障害者福祉の分野ばかりでなく、高齢者福祉、児童家庭福祉の分野にも共通の理念と考えられている。

→〇

言い換えると、福祉分野における自立支援が、障害者福祉、高齢者福祉、児童家庭福祉において共通の理念であるかということです。
これは正しい内容であることがイメージしやすいですね。

自立の概念等について(厚生労働省)では、自立支援とは「本人が自らの生活を自らの責任で営むことを基本としつつ、それだけでは生活が維持できない場合に必要な援助を行うという考え方(「自立支援」)」としています。

主な自立支援事業には、日常生活自立支援事業、児童自立生活援助事業などがあります。



問6 各種手帳
 
A 視覚障害のある児童は、身体障害者手帳の対象となる。
B 学習障害のある人は、発達障害者手帳の対象となる。
D 身体障害者手帳を交付するのは、一般的な都市においては、市町村長である。

A→〇
B→×
学習障害は発達障害の一つではありますが、発達障害者手帳というものはありません。
精神疾患のある者(発達障害者を含む)に交付する手帳は「精神障害者保健福祉手帳」です。
また、根拠法が「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」というところもポイントですね。

D→×
公布するのは市町村長ではなく都道府県知事です。
根拠法や交付主体などは、障害者手帳について(厚生労働省)にまとめられていますので、確認しておきたいです。



問7 法律の公布順並び替え
 
A 「児童虐待の防止等に関する法律」
B 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」
C 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」
D 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」
E 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

1 A→B→D→E→C 
2 A→D→C→B→E
3 B→C→E→D→A
4 C→A→E→D→B
5 D→A→C→E→B

Dは障害者に関係しませんが、これも含めて見ていきます。

いずれも、平成26年~最新の「社会福祉」の並び替え問題に2回以上出ています。

A「児童虐待の防止等に関する法律」3回
B「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」3回
C「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」2回
D「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」2回
E「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」2回

このうち、A、B、Cは虐待防止法という関連性があります。
これは「児童」→「高齢者」→「障害者」の順番に定められており、これだけで選択肢を2つに絞ることができます。


また、これまでの並び替え問題における最も新しい法律は、2013年や2015年制定のものです。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」は2013年ですね。
この法律が一番右に来ているのは選択肢の2です。

何度も出題されている法律は制定年を覚えたいところですが、もし制定年がはっきりしなくても、虐待防止法は「児童」→「高齢者」→「障害者」の順番であること、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」は並び替え問題の一番最後(問題の中で一番新しい法律)になりやすいということをつかんでいるだけでも、正しい答えを選ぶことができます。



問10 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づく障害福祉サービス
 
A 行動上著しい困難を有する知的障害者が外出時に利用するのは、「行動援護」である。
B 視覚障害により、移動に著しい困難を有する視覚障害者が外出時に利用するのは「同行援護」である。
C 通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、必要な訓練その他の便宜を供与するのは、「就労継続支援」である。
D 通常の事業所に雇用されることが困難な障害者が生産活動を行うのは「就労移行支援」である。

「行動援護」、「同行援護」、「就労継続支援」、「就労移行支援」はすべて「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に定められているものです。
これらは、サービスの体系(厚生労働省)と障害福祉サービスの概要(厚生労働省)にまとめられていて、とても分かりやすかったです。

それぞれの用語に対して説明が合っているかどうかという問題ですね。
このうち、Dの「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者」が対象であるのは「就労継続支援」です。

また、問題文の「就労移行支援」とは、「一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うこと」です。

問13 「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」
 
A 「障害者権利条約」は、平成18(2006)年に国連で採択され、その翌年に日本は批准した。
B 「障害者権利条約」では、完全かつ効果的な社会参加が一般原則の一つとして規定されている。
C 「障害者権利条約」では、障害のある児童も対象としている。

A→×
2006年に国連で採択され、日本は2007年にこの条約に署名し、2014年に批准しています。
ここでいう署名とは「条約参加への意思表明」、批准とは「条約を締結し、日本において効力が発生すること」というような違いがあります。
日本が2014年に批准するまでの過程は、概要(外務省)にありますように条約の締結までに国内法令の整備を推進してきました。

B→〇
「一般原則」は次のように規定されています。

・固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立の尊重
・無差別
・社会への完全かつ効果的な参加及び包容
・差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ
・機会の均等
・施設及びサービス等の利用の容易さ
・男女の平等
・障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及及び障害のある児童がその同一性を保持する権利の尊重

C→〇
第7条では「障害のある児童」について規定しています。


「障害者の権利に関する条約」は、これまで平成30年後期「教育原理」に条約の一部が出題されました。
「社会福祉」では基本的なことが問われると思いますので、採択された年や日本が批准した年、条約の主な内容などをおさえたいですね。
これらは、障害者の権利に関する条約(外務省)のページに簡単にまとめられています。


■学習ポイント
 虐待防止法は「児童」→「高齢者」→「障害者」の順番に定められた

「児童虐待の防止等に関する法律」2000年
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」2005年
「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」2011年


■「障害者権利条約」
2006年に国連で採択され、日本は2007年にこの条約に署名し、
条約の締結までに国内法令の整備を推進して、2014年に批准した