引き続き、「社会福祉」における障害者福祉に関した過去問(つまり障害者に関係している問題)をピックアップしていきます。
今回は、平成30年神奈川県試験です。
問2、5、6、7、8、10、20の一部に、障害者に関した内容が出題されていました。
前回は問7まで確認しましたので、今回は問8、10、20を確認します。
身体障害者福祉センターと障害者支援施設が「身体障害者福祉法」に定められているか、またそれぞれを経営する事業が「社会福祉法」に定められている第一種社会福祉事業や第二種社会福祉事業であるかどうかという問題ですね。
まず、身体障害者福祉センターは「身体障害者福祉法」に定められています。
平成29年後期試験の問16にも出題されていますように、身体障害者福祉センターは「身体障害者福祉法」に定められた身体障害者社会参加施設の一つです。
こちらで解説しています。
そして、この身体障害者福祉センターを経営する事業は、「社会福祉法」に第二種社会福祉事業として位置づけられています。
また、障害者支援施設は「障害者総合支援法」に定められた、障害者の施設入所やそれ以外の福祉サービスを行う施設であり、この障害者支援施設を経営する事業は「社会福祉法」に第一種社会福祉事業として位置づけられています。
入所施設であることから利用者への影響が大きいため、第一種社会福祉事業となります。
平成26年再試験、平成30年前期、平成30年後期、平成元年後期に、障害者支援施設に関した問題が出題されており、よく出ている印象があります。
これらは全て、障害を理由とした差別の解消を推進することが目的である「障害者差別解消法」に基づいて出題されています。
協議会は「個別事案ごとに差別か否かの判断を行うこと」ではなく、「障害を理由とする差別を解消するための取り組み」を行うため、選択肢は〇ということになります。
ややひっかけ問題のような言い回しでしたね。
正しい内容です。
「日常生活自立支援事業実施要領」に載っています。
(実施要領は全国社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の今後の展開に向けての99ページから掲載)
判断能力が不十分(判断する能力がある)ことがポイントですね。
日常生活自立支援事業については、このブログでも取り上げてきました。
学習ポイントはこちらをご覧ください。
次回は、平成29年神奈川県試験の問題解説です。
ここまで解説が終わりましたら、障害に関する学習ポイントのまとめ、テストを載せます。
今回は、平成30年神奈川県試験です。
問2、5、6、7、8、10、20の一部に、障害者に関した内容が出題されていました。
前回は問7まで確認しましたので、今回は問8、10、20を確認します。
身体障害者福祉センターと障害者支援施設が「身体障害者福祉法」に定められているか、またそれぞれを経営する事業が「社会福祉法」に定められている第一種社会福祉事業や第二種社会福祉事業であるかどうかという問題ですね。
まず、身体障害者福祉センターは「身体障害者福祉法」に定められています。
平成29年後期試験の問16にも出題されていますように、身体障害者福祉センターは「身体障害者福祉法」に定められた身体障害者社会参加施設の一つです。
こちらで解説しています。
そして、この身体障害者福祉センターを経営する事業は、「社会福祉法」に第二種社会福祉事業として位置づけられています。
また、障害者支援施設は「障害者総合支援法」に定められた、障害者の施設入所やそれ以外の福祉サービスを行う施設であり、この障害者支援施設を経営する事業は「社会福祉法」に第一種社会福祉事業として位置づけられています。
入所施設であることから利用者への影響が大きいため、第一種社会福祉事業となります。
平成26年再試験、平成30年前期、平成30年後期、平成元年後期に、障害者支援施設に関した問題が出題されており、よく出ている印象があります。
次の文は、保育所における障害者に関する対応についての記述である。最も不適切な記述を一つ選びなさい。
1 保育所に通う発達障害児のFちゃんは、靴をそろえる、トイレにしっかり座るといった日常生活の動作の一部が十分に身についていない。言葉による説明よりも、視覚情報による説明の方が伝わりやすいため、これらの動作の順番を具体化した絵を作成し、必要に応じて見せるようにしている。
2 保育園児の保護者に視覚障害のある方がいる。保育に関するアンケートを取ることになった際に、本人とアンケートの意見を得るための方法について話し合った。視覚障害の保護者は、印刷物ではなく電子データであれば、パソコンの読み上げソフトを利用できるとのことであったため、紙媒体ではなく、テキストデータでアンケートを送信し、メールで回答を受け取るという方法をとることにした。
3 Gちゃんの祖母は、車椅子を使用している身体障害者(1級)である。保護者の保育参観に出席したいという問い合わせがあったが、参観場所は2階にある保育室ということもあり、担任の判断として自分が対応できないことから、祖母の来園を断った。
4 Hさんは、発達障害がある自分の子どもが通う保育所の対応に不満があり、障害者差別解消支援地域協議会に他の子どもと差別されているので改善してほしいと訴えてきた。障害者差別解消支援地域協議会としては、個別事案ごとに差別か否かの判断を行うことまでは想定していない。
5 保育所の清掃員としして知的障害のあるI さんが働いている。I さんは作業能力はあるが、不安が強くなると本来の作業能力が発揮できなくなることがある。一人で誰もいない園庭やホールを清掃することに不安を感じてしまうため、パート職員やボランティアが一緒に作業するようにしている。
1 保育所に通う発達障害児のFちゃんは、靴をそろえる、トイレにしっかり座るといった日常生活の動作の一部が十分に身についていない。言葉による説明よりも、視覚情報による説明の方が伝わりやすいため、これらの動作の順番を具体化した絵を作成し、必要に応じて見せるようにしている。
2 保育園児の保護者に視覚障害のある方がいる。保育に関するアンケートを取ることになった際に、本人とアンケートの意見を得るための方法について話し合った。視覚障害の保護者は、印刷物ではなく電子データであれば、パソコンの読み上げソフトを利用できるとのことであったため、紙媒体ではなく、テキストデータでアンケートを送信し、メールで回答を受け取るという方法をとることにした。
3 Gちゃんの祖母は、車椅子を使用している身体障害者(1級)である。保護者の保育参観に出席したいという問い合わせがあったが、参観場所は2階にある保育室ということもあり、担任の判断として自分が対応できないことから、祖母の来園を断った。
4 Hさんは、発達障害がある自分の子どもが通う保育所の対応に不満があり、障害者差別解消支援地域協議会に他の子どもと差別されているので改善してほしいと訴えてきた。障害者差別解消支援地域協議会としては、個別事案ごとに差別か否かの判断を行うことまでは想定していない。
5 保育所の清掃員としして知的障害のあるI さんが働いている。I さんは作業能力はあるが、不安が強くなると本来の作業能力が発揮できなくなることがある。一人で誰もいない園庭やホールを清掃することに不安を感じてしまうため、パート職員やボランティアが一緒に作業するようにしている。
これらは全て、障害を理由とした差別の解消を推進することが目的である「障害者差別解消法」に基づいて出題されています。
この法律は、主に二つの柱があります。
①不当な差別的取り扱いの禁止
国や自治体、事業所が、障害を理由として不当に差別することを禁止すること
②合理的配慮の提供
国や自治体、事業所が障害を持つ人の状態に応じて、社会のバリアを取り除く取り組みをすること
このうち、選択肢1、2、3、5は二つ目の「合理的配慮の提供」からの出題でした。
「合理的配慮の提供」という言葉は難しいですが、なんらかの障害のある人が「困っていること」に対して「現状のバリアを取り除く適切な対応をする」ということです。
この視点で考えますと、選択肢1、2、5はバリアを取り除く対応を行っています。
しかし、選択肢3は「担任の判断として自分が対応できない」という理由で来園を断っており、バリアを取り除く対応をしていません。
よって、選択肢3が誤りとなります。
ではこの場合どのような対応が適切かということは、肢体不自由 合理的配慮等具体例データ集(内閣府)の「肢体不自由」にあります。
①不当な差別的取り扱いの禁止
国や自治体、事業所が、障害を理由として不当に差別することを禁止すること
②合理的配慮の提供
国や自治体、事業所が障害を持つ人の状態に応じて、社会のバリアを取り除く取り組みをすること
このうち、選択肢1、2、3、5は二つ目の「合理的配慮の提供」からの出題でした。
「合理的配慮の提供」という言葉は難しいですが、なんらかの障害のある人が「困っていること」に対して「現状のバリアを取り除く適切な対応をする」ということです。
この視点で考えますと、選択肢1、2、5はバリアを取り除く対応を行っています。
しかし、選択肢3は「担任の判断として自分が対応できない」という理由で来園を断っており、バリアを取り除く対応をしていません。
よって、選択肢3が誤りとなります。
ではこの場合どのような対応が適切かということは、肢体不自由 合理的配慮等具体例データ集(内閣府)の「肢体不自由」にあります。
・車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す
・高い所に陳列された商品を取って渡す
・列に並んで順番を待つことが難しいときには、列から外れて順番を待てるようにする
・脊髄損傷などにより体温調整が損なわれているときには、エアコンなどの室温調整に配慮する
・本人の意思を十分に確認しながら書類の記入やタッチパネルの操作などを代行する
一番上の「携帯スロープ」とは、例えば玄関の段差などを緩い坂道のようにして解消し、車いすのまま移動できるようにする介護用品です。
このような工夫がないということは合理的配慮に欠けるということになります。
最後に選択肢4の根拠です。
これは「障害者差別解消法」の第18条にもどづきます
協議会(障害者差別解消支援地域協議会)は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。
協議会は「個別事案ごとに差別か否かの判断を行うこと」ではなく、「障害を理由とする差別を解消するための取り組み」を行うため、選択肢は〇ということになります。
ややひっかけ問題のような言い回しでしたね。
問20 日常生活自立支援事業における福祉サービス利用援助事業
1 対象は、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者などのうち、判断能力が十分でない者であり、かつ本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる者である。
正しい内容です。
「日常生活自立支援事業実施要領」に載っています。
(実施要領は全国社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の今後の展開に向けての99ページから掲載)
本事業の対象者は、次のいずれにも該当する者とする。
(ア)判断能力が不十分な者(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な者をいう。)であること。
(イ)本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる者であること。
(ア)判断能力が不十分な者(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な者をいう。)であること。
(イ)本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる者であること。
判断能力が不十分(判断する能力がある)ことがポイントですね。
日常生活自立支援事業については、このブログでも取り上げてきました。
学習ポイントはこちらをご覧ください。
次回は、平成29年神奈川県試験の問題解説です。
ここまで解説が終わりましたら、障害に関する学習ポイントのまとめ、テストを載せます。
コメント
コメント一覧
危うく選択肢4にひっかけられるところでした。
しかしまぁ、Hさんはどこへ訴えれば良いのでしょうか。。。保育所の苦情解決担当者かな、なんて考えていましたw
ななさん
お役に立ててよかったです!
障害者差別解消支援地域協議会は、平成31年前期に、根拠法が何かという問題で出題されていますが、協議会の具体的な役割はこれまで出題がなかったので、ちょっと難しいですよね。
問題文がどこから出ているか探したところ、「障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針」(内閣府)に似たような表現がありました。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/sabekai_shishin.pdf
「なお、地域協議会の趣旨や事務に鑑みれば、個別事案ごとに差別か否かの判断を行うことまでは想定されないことに留意する必要がある」
この部分が出題されたように思います。
そうですね、相談内容にもよりますが、担任の対応であればHさんの保育所の施設長に直接言うか、もしくは保育所の「苦情解決責任者」「苦情受付担当者」に申し出るというところですかね。
保育所自体のことでしたら、保育所を運営している運営法人や役所に連絡するというところですね。
最後の砦(?)となる、役所に連絡することでHさんの不満が解消されるといいですね!(そんな世の中であってほしい)
事例のような問題は考えさせられますね。
ありがとうございました!
過去問を見ていたところ、平成27年の問16は、この問題と同様に保育所に不満を持った保護者が、保育所または関係機関に相談しようとする内容でした。
この問題によると、保育所の園長、保育所の苦情受付担当者、保育所の第三者委員、居住地の運営適正化委員会が相談先の候補としてあげられていました。
運営適正化委員会も福祉サービス利用者の苦情を直接受け付けていましたね!
相談先がいろいろあるのはいいですね。
色々と調べて頂きありがとうござます!
Hさんの立場からすると通っている保育園の先生とか施設長さんに直接訴えるのは言いづらいですよね。第三者委員や運営適正化委員会の様なところの方が言いやすいのかも知れません。
余談ですが知り合いのお子さんが発達障害と聴覚障害がグレーゾーンで、何かがきっかけに園長と意見が合わず対立してしまいその後卒園まで話すこともなくなった、という方がいました。
うーーーん、他の苦情解決制度が交えていたら違ったのですかねぇ。変な話ですみません。
ななさん
そのようなことがあったのですね(>_<)
改善して欲しいことや要望など、相手に期待しているからこそ、その方は直接園長に申し出されたのかもしれませんね。
ですが、意見をうまくくみとってもらえず対立してしまうと、価値観の違いに目がつきやすくなり、関係修復も難しくなってしまいますね。
人間関係で後味の悪い終わり方は辛いですよね、、、
他の苦情解決制度が入ることで、当事者間とはまた違う面からアプローチして、無事に解決できることを信じたいですね。
本当に、その方も運営適正化委員会などへ相談することでまた違う結果だったのかもしれません。
貴重なお話をありがとうございました!