(2023.1.14更新)
令和2年神奈川県保育士試験「社会福祉」問8の解説です。
「保育士」試験ではありますが、「社会福祉」の科目には、社会福祉士や社会福祉主事、精神保健福祉士などさまざまな専門職に関した問題も出題されています。
広く興味を持ち、資格取得方法や、それぞれの資格が何の法律に規定されているかをおさえる必要があります。

ブログの総合演習⑤は、保育士以外の専門職についてまとめた内容になっていますので、こちらもご活用ください。
 
 
 



問8 福祉の人材
次の文は、福祉の人材に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 2013(平成25)年に策定された「待機児童解消加速化プラン」の実施のため、国全体で必要な保育士数を推計し、推計に基づいて保育士を確保できるよう「保育士確保プラン」が策定された。

2 社会福祉主事任用資格の取得方法には、「大学等において社会福祉に関する科目を3 科目以上修めて卒業した者」がある。

3 社会福祉士は「社会福祉士法」に規定され、福祉関係の仕事についている者は全員に社会福祉士試験の受験資格があり、国家試験に合格すれば誰でも得られる資格である。

4 精神保健福祉士には、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に規定する地域相談支援の利用に関する精神障害者からの相談に応じる業務もある。

5 民生委員は厚生労働大臣が委嘱し、「児童福祉法」が定める児童委員を兼ねることとされている。

不適切な記述を選ぶ問題ですので、誤りが含まれる文章を探します。
社会福祉士を規定している法律が「社会福祉士法」ではないことがわかれば、すぐに答えを選べました。
これはブログの演習問題にも載せていましたね。

では、ひとつずつ確認します。

1 2013(平成25)年に策定された「待機児童解消加速化プラン」の実施のため、国全体で必要な保育士数を推計し、推計に基づいて保育士を確保できるよう「保育士確保プラン」が策定された。

→◯
正しい内容です。
「保育士確保プラン」の公表(厚生労働省)より
「厚生労働省では、この度、「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため、子ども・子育て支援新制度において国全体で必要となる保育士数を明らかにした上で、数値目標と期限を明示し、人材育成や再就職支援等を強力に進めるための「保育士確保プラン」を策定しました。」


2 社会福祉主事任用資格の取得方法には、「大学等において社会福祉に関する科目を3 科目以上修めて卒業した者」がある。

→◯
正しい内容です。
さまざまな取得方法があり、問題文の取得方法もその一つです。

社会福祉主事任用資格の取得方法より
「社会福祉主事任用資格は、大学や短期大学において厚生労働大臣が指定する科目のうち3つ以上を履修して卒業した場合にも取得することができます。」

3 社会福祉士は「社会福祉士法」に規定され、福祉関係の仕事についている者は全員に社会福祉士試験の受験資格があり、国家試験に合格すれば誰でも得られる資格である。

→×
全体的に誤りです。
まず、社会福祉士を規定している法律は「社会福祉士及び介護福祉士法」です。
「社会福祉士法」というものは存在しません。

そして、福祉関係の仕事についている者は全員が受験資格を持つわけではありません。
現場で実務(相談、援助)を必要な年数以上経験し、さらに一般養成施設等で科目を1年以上履修すると受験資格が得られます。
また、福祉系4年制大学卒業者(指定科目履修)、社会福祉士指定養成施設卒業者等も受験資格があります。
詳しくは社会福祉士の資格取得方法(厚生労働省)に書かれています。


4 精神保健福祉士には、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に規定する地域相談支援の利用に関する精神障害者からの相談に応じる業務もある。

→◯
正しい内容ですが、難問です。
ここまで学習しておくのは難しいですね。
「精神保健福祉士法」第2条の定義から出題されています。
定義には、2010年の法改正時に「地域相談支援の利用に関する相談」が加わりました。


5 民生委員は厚生労働大臣が委嘱し、「児童福祉法」が定める児童委員を兼ねることとされている。

→◯
正しい内容です。
これはよく出るところですからしっかりと覚えます。
「民生委員法」第5条「民生委員は、都道府県知事の推薦によつて、厚生労働大臣がこれを委嘱する。」
「児童福祉法」第16条第2項「民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。」


問8の解説は以上となります。
次回は問9の社会保障制度改革の方向性やその後の取組みに関する問題解説です。