(2023.1.14更新)
令和2年神奈川県保育士試験「社会福祉」問11の解説です。
選択肢3は学習範囲内だと思いますが、それ以外は学習範囲外と思われるような細かい内容が出されました。
偶然、このブログのテスト⑰障害者福祉に含めた問題が、問11の答えとなる選択肢1と同じ内容でしたので、ブログのテストを解いて内容を覚えていらっしゃった方は良かったですね。 
 



問11 障害者手帳
次の文は、障害者の手帳制度に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 身体障害者手帳の取得に関して、本人が0歳から18歳に達するまでの間は、本人に代わりその保護者が申請する。

2 身体障害者手帳の交付を受けた者は、身体障害者手帳を譲渡し又は貸与してはならない。

3 療育手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された者に対して交付される。

4 精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年であり、手帳交付を受けた者は、2年ごとに都道府県知事の認定を受けなければならない。

5 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者が精神障害の状態がなくなったときは、速やかに精神障害者保健福祉手帳を都道府県に返還しなければならない。

3以外は保育士試験に関した教科書、過去問から少し外れていると思われます。
どの問題文もスマートで気になるところがなく、言い回しから消去することができません。
こういう場合は「数字に着目する」という解答テクニックで、なんとか1か4に目星をつけることができます。
問題の答えは1です。

では、一つずつ見ていきます。

1 身体障害者手帳の取得に関して、本人が0歳から18歳に達するまでの間は、本人に代わりその保護者が申請する。

→×
「0歳から18歳」ではなく、「0歳から15歳」に達するまでの間です。
これは「身体障害者福祉法」第15条第1項の規定です。
「身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。ただし、本人が十五歳に満たないときは、その保護者(親権を行う者及び後見人をいう。ただし、児童福祉法第二十七条第一項第三号又は第二十七条の二の規定により里親に委託され、又は児童福祉施設に入所した児童については、当該里親又は児童福祉施設の長とする。以下同じ。)が代わつて申請するものとする。」

18歳未満ではなく15歳未満というところがポイントになりますね。
申請者は保護者ですが、ま親委託、児童福祉施設に入所している児童については、里親や児童福祉施設の長が代わりに申請します。


2 身体障害者手帳の交付を受けた者は、身体障害者手帳を譲渡し又は貸与してはならない。

→◯
正しい記述です。
これは「身体障害者福祉法」第15条第6項の規定がそのまま出題されています。
「身体障害者手帳の交付を受けた者は、身体障害者手帳を譲渡し又は貸与してはならない。」
常識的に考えて◯ですが、深読みすると「わざわざこのような規定はあるのか?」と考えてしまいますね。 

3 療育手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された者に対して交付される。

→◯
正しい記述です。
これだけはわかりやすいですね。
療育手帳は知的障害者を対象としており、知的障害は知的障害者更生相談所または児童相談所で判定されます。
これは「療育手帳制度要綱」に述べられています。
都道府県知事等(都道府県知事指定都市の市長)は、児童相談所又は知的障害者更生相談所における判定結果に基づき手帳の交付を決定し、交付の申請の際の経由機関を経由して申請者にこれを交付する。」
交付主体が、都道府県知事指定都市の市長であることもポイントです。

知的障害者更生相談所に関しては、平成28年後期、平成30年前期、平成30年神奈川県に出題がありますので復習します。

■市町村は、知的障害者更生相談所を設置しなければならない。
→×
市町村ではなく都道府県です。

■「知的障害者福祉法」に定められている知的障害者更生相談所では、発達障害者に交付する精神保健福祉手帳申請の判定を行っている。
→ ×
知的障害者更生相談所で判定を行うのは知的障害の判定であり、それに基づいて療育手帳が交付されます。

■知的障害者更生相談所は、知的障害者に関する相談に応じ、18歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行う。
→◯
文章の通りです。

問11に戻ります。

4 精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年であり、手帳交付を受けた者は、2年ごとに都道府県知事の認定を受けなければならない。

→◯
正しい記述です。
これは「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」第45条第4項の規定です。
「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、二年ごとに、第二項の政令で定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。」

5 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者が精神障害の状態がなくなったときは、速やかに精神障害者保健福祉手帳を都道府県に返還しなければならない。

→◯
正しい記述です。
これは「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」第45条の2第1項の規定です。
「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、前条第二項の政令で定める精神障害の状態がなくなつたときは、速やかに精神障害者保健福祉手帳を都道府県に返還しなければならない。」


問11の解説は以上です。
今後の試験でここまで細かい内容の出題があるかはわかりませんが、復習しておきたいですね。

次回は、問12の海外の社会保障の問題解説です。