(2022.8.11更新)
令和2年神奈川県試験「教育原理」問5の解説です。
この問題の選択肢には、「教育原理」の人物だけではなく、ロジャーズやエリクソン、ワトソンなど、他科目の範囲の人物も並びました。
問4と同様に、冷静に考えると答えを選ぶことができそうです。

この問題は平成30年前期試験と同じ内容でした。
人物問題では時々初登場の人物も出てきますが、過去の出題内容が焼き直されて出題されることもよくあります。
法改正などの影響を受けませんので、古い過去問からも学ぶことができますね。
積極的に過去問を活用して、一つでも多くの問題に目を通しておきたいです。


問5   人物問題


次の文の著者として、正しいものを一つ選びなさい。

人間は生後一歳になって、真の哺乳類が生まれた時に実現している発育状態に、やっとたどりつく。そうだとすると、この人間がほかのほんとうの哺乳類なみに発達するには、われわれ人間の妊娠期間が現在よりもおよそ一ヵ年のばされて、約二一ヵ月になるはずだろう。

1 ロジャーズ(Rogers, C.R.)
2 エリクソン(Erikson, E.H.)
3 スキナー(Skinner, B.F.)
4 ワトソン(Watson, J.B.)
5 ポルトマン(Portmann, A.)

答えは5のポルトマンです。

ポルトマンは「教育原理」「保育の心理学」の両方に位置づけられる人物です。

これは著書『人間はどこまで動物か』からの出題で、平成30年前期試験の問3(リンクは解説です)と同じ問題でした。
この著書でポルトマンは、人間が未熟な状態で生まれてくる特性(生理的早産)を述べています。

調べられる範囲ですが、ポルトマンの出題一覧です。

①平成24年   「発達心理学(現 保育の心理学)」
②平成26年再   「保育の心理学」
③平成30年前期 「教育原理
④令和元年後期 「保育の心理学」
⑤令和2年神奈川「教育原理

この中で、①と④、③と⑤はほとんど同じ内容でした。
ポルトマンは「保育の心理学」寄りの人物ではあるものの、このように「教育原理」にも定期的に出題されていることがポイントです。

では他の選択肢の人物を確認します。

1 ロジャーズ(Rogers, C.R.)
「教育原理」の範囲の人物ではなく、他科目でもあまり馴染みがありません。
調べてみましたが、保育士試験において過去の出題が見つかりませんでした。
しかし今回の神奈川県試験では「教育原理」「保育の心理学」の両方に登場しています。

ロジャーズは非支持的療法や来談者中心療法を実践した人物です。
「教育原理」には関係がありませんので、今後登場することはほとんどないと思われます。


2 エリクソン(Erikson, E.H.)
エリクソンは「保育原理」や「保育の心理学」の範囲の人物です。
「教育原理」の範囲ではないのですが、平成23年以降の「教育原理」に今回を含めて5回も選択肢に登場しています。
神奈川県では前回試験に引き続きの登場です。
ただ、「教育原理」においては問題の答えとして出題されたことはありません。
ただ選択肢に並んだだけの人物という特徴があります。


3 スキナー(Skinner, B.F.)
スキナーは平成23年以降の「教育原理」に今回を含めて7回も登場しています。
選択肢に登場しやすい人物のひとりですね。
そのうちスキナーが答えに含まれている問題は(平成27年地域限定 問6)と(令和元年後期試験 問6)でした。
どちらも「プログラム学習」というわかりやすいキーワードがありました。
スキナーのキーワードは「アメリカ」「行動主義心理学」「スモールステップ」「プログラム学習」などですね。
前回試験に出ていますので、次回の出題可能性はあまり高くないでしょうか。


4 ワトソン(Watson, J.B.)
ワトソンは「保育の心理学」の人物です。
平成25年、平成31年神奈川県の「保育の心理学」に登場しています。
「教育原理」の範囲外の人物で、「教育原理」での出題は見つからず、今回が初登場なのかもしれません。
環境優位説(学習優位説、経験説)を提唱した人物ですね。
ロジャーズ同様、「教育原理」で登場することはほぼないと思われます。


以上、問5の問題解説でした。
次回は問6を見ていきます。