(2023.1.16更新)
令和2年後期試験「社会福祉」の問題を解説しています。
今回は問7の「社会福祉の行政計画」です。


問7  社会福祉の行政計画
 
次の文のうち、社会福祉の行政計画に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 市町村障害福祉計画は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に規定されている。
B 「次世代育成支援対策推進法」は、市町村、都道府県における行動計画の策定について定めている。
C 都道府県地域福祉支援計画は、市町村地域福祉計画を支援する事項を定めている。
D 都道府県障害児福祉計画は、「児童福祉法」に規定されている。
(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ×
3 × ○ ○ ○
4 × × ○ ○
5 × × × ×

都道府県や市町村が策定する「◯◯計画」とその根拠法はよく出ますので、一問一答などで繰り返し練習して頭に入れておきたいところです。

今回の問題では、◯×の組み合わせに「全部◯」「全部×」があることがポイントでした。
自分で選んだ答えが「全部◯」「全部×」となった時は、本当に合っているのか少し心配になりますよね。

以前、◯×組み合わせ問題でポイントとなる組み合わせとはという記事を書いています。
◯×組み合わせ問題を調べたところ、選択肢にすべて◯、すべて×という組み合わせはよく出るわけではなくあまりありません。
そしてそのような組み合わせが入っていた時は、その選択肢が答えになる可能性が十分にありました。
よって、自分で選んだ答えが、もしすべて◯、すべて×という選択肢になっても、過去の試験から考えてそれが答えである可能性は十分ありますので、自信を持って答えをマークしたいですね。

この問題はすべて◯であり、答えは1です。

一つずつ見ていきます。

A 市町村障害福祉計画は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に規定されている。

→◯
 正しい記述です。
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」第88条の規定です。
「市町村は、基本指針に即して、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(以下「市町村障害福祉計画」という。)を定めるものとする。」

また、第89条では都道府県障害福祉計画が規定されています。

障害福祉計画とは障害者に対するものですね。
障害児に対する障害児福祉計画は「児童福祉法」、障害者に対する障害福祉計画は「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」という根拠法の違いをおさえます。


B 「次世代育成支援対策推進法」は、市町村、都道府県における行動計画の策定について定めている。

→◯
正しい記述です。
「次世代育成支援対策推進法」では第8条に市町村行動計画の策定、第9条に都道府県行動計画の策定を定めています。

第8条 「市町村は、行動計画策定指針に即して、五年ごとに、当該市町村の事務及び事業に関し、五年を一期として、地域における子育ての支援、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画(以下「市町村行動計画」という。)を策定することができる。」

第9条 「都道府県は、行動計画策定指針に即して、五年ごとに、当該都道府県の事務及び事業に関し、五年を一期として、地域における子育ての支援、保護を要する子どもの養育環境の整備、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画(以下「都道府県行動計画」という。)を策定することができる。」

C 都道府県地域福祉支援計画は、市町村地域福祉計画を支援する事項を定めている。

→◯ 
正しい記述です。
地域福祉計画は「社会福祉法」に定められており、市町村が策定する(第107条)ものが「市町村地域福祉計画」、都道府県が策定する(第108条)ものが「都道府県地域福祉支援計画」です。
都道府県の方は名称に「支援」という言葉が含まれていますので、市町村を支援するということがイメージできるのではないでしょうか。
第108条 「都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「都道府県地域福祉支援計画」という。)を策定するよう努めるものとする。」


D 都道府県障害児福祉計画は、「児童福祉法」に規定されている。

→◯
正しい記述です。
障害児福祉計画は、市町村、都道府県がそれぞれ定めるもので、「児童福祉法」第33条の20では市町村障害児福祉計画、第33条の22では都道府県障害児福祉計画が規定されています。
Aの解説にも書いていますように障害児に対する障害児福祉計画は「児童福祉法」、障害者に対する障害福祉計画は「障害者総合支援法」です。

「児童福祉法」第33条の22 「都道府県は、基本指針に即して、市町村障害児福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害児通所支援等の提供体制の確保その他障害児通所支援等の円滑な実施に関する計画(以下「都道府県障害児福祉計画」という。)を定めるものとする。」

根拠法まとめ

令和元年後期試験の問19でも福祉計画等の根拠法が問われました。
前回の問題と今回の問題をまとめます。

まとめ

根拠法

都道府県

市町村

言い回し

社会福祉法

都道府県地域福祉支援計画

市町村地域福祉計画

努めるものとする(努力義務)

障害者総合支援法

都道府県障害福祉計画

市町村障害福祉計画

定めるものとする

児童福祉法

都道府県障害児福祉計画

市町村障害児福祉計画

定めるものとする

次世代育成支援対策推進法

都道府県行動計画

市町村行動計画

策定することができる

介護保険法

都道府県介護保険事業支援計画

市町村介護保険事業計画

定めるものとする

子ども・子育て支援法

都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

市町村子ども・子育て支援事業計画

定めるものとする


次は問8の「社会福祉の相談機関と専門職」の問題解説です。