(2023.2.6更新)
「少年法」関連の問題を紹介しています。
平成29前期「児童家庭福祉」では「少年法」を含めた制定年の並び替え問題が出題されました。
この問題はこちらですでに解説済みです。


 「少年法」の制定は1948年で、「日本国憲法」の制定後すぐです。
それより前から「少年法」自体はあったのですが、戦後「日本国憲法」が定められ、それにもとづいて新たに作られました。
以前の「少年法」は「旧少年法」という名称で区別されることになります。
制定年は、「子ども家庭福祉」「社会福祉」ともにおさえておきたいですね。

さて、今回は平成28年後期「児童家庭福祉」問17を確認します。


問17 少年非行への対応
 
次の文は、少年非行への対応等に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「少年法」における家庭裁判所の審判に付する少年は、犯罪少年、触法少年、虞犯少年の3つに分類されている。
B 児童自立支援施設は、不良行為をなすおそれのある児童を専門とした通所施設で、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行うことを目的とする施設である。
C 刑事処分可能年齢は 16 歳とされていたが、平成 12 年の「少年法」の改正で 14 歳に引き下げられた。
D 平成 12 年の「少年法」の改正で、犯行時 16 歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、保護処分を適当と認める場合を除き、検察官送致決定をするものとされた。
E 少年院は、「少年院法」に基づき初等少年院、中等少年院、特別少年院及び医療少年院の4種類であったが、平成 27 年6月1日施行の「少年院法」改正により、第1種~ 第4種少年院に区分することとなった。
 
(組み合わせ) 
   A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○ ○
4 ○ × × × ×
5 × × ○ × ×

この問題も難しいですが、冷静になって知っている知識と結び付けたいです。
わかりやすいのはBとCでしょうか。
Bが×、Cは〇とわかれば、これだけで選択肢を3と5にしぼることができます。

一つずつ見ていきます。

A 「少年法」における家庭裁判所の審判に付する少年は、犯罪少年、触法少年、虞犯少年の3つに分類されている。

→◯
「少年法」第3条では、家庭裁判所の審判に付する少年として、この3つをあげています。
「家庭裁判所の審判に付する」とは、「家庭裁判所で裁判を受ける」というような意味です。
虞犯少年は犯罪に至っていないので審判の必要があったかな?と迷うかもしれませんが、「少年法」では虞犯少年も審判の対象となることを定めています。

また、触法少年と虞犯少年のうち14歳に満たない者については、「都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。」(「少年法」第3条第2項)としています。
触法少年については直接家庭裁判所に送致されるのではなく、まずは児童相談所に送致されることを前回復習しました。


B 児童自立支援施設は、不良行為をなすおそれのある児童を専門とした通所施設で、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行うことを目的とする施設である。

→×
通所施設ではなく、入所と通所で利用することができます。
児童自立支援施設の定義はしっかり覚えたいですね。
「児童福祉法」第44条「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」

C 刑事処分可能年齢は 16 歳とされていたが、平成 12 年の「少年法」の改正で 14 歳に引き下げられた。

→◯
14歳未満は刑事責任を問わないことがポイントです。
「少年法等の一部を改正する法律」において、2000(平成12)年に刑事処分可能年齢が16歳から14歳に引き下げられました。


D 平成 12 年の「少年法」の改正で、犯行時 16 歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、保護処分を適当と認める場合を除き、検察官送致決定をするものとされた。

→◯
Cと同様に、2000(平成12)年の改正内容です。
凶悪重大犯罪を犯した少年に対する処分のあり方が見直されました。

Dの文章の少年の場合は、検察官から家庭裁判所に送致され、家庭裁判所で刑事処分が相当と判断された場合は、再び検察官に送り返されます。(検察官逆走ともいいます)


E 少年院は、「少年院法」に基づき初等少年院、中等少年院、特別少年院及び医療少年院の4種類であったが、平成 27 年6月1日施行の「少年院法」改正により、第1種~第4種少年院に区分することとなった。

→◯
「少年院法」については学習範囲外と思われますが、いかがでしょうか?
「少年院法」は1949(昭和24)年に施行され、66年ぶりに全面改正し、2015(平成27)年に施行されました。
両者を「旧少年院法」「新少年院法」と区別することもあります。

「少年院法」第4条では少年院の種類を定めています。
・第一種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
・第二種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のもの
・第三種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のもの
・第四種 少年院において刑の執行を受ける者


次回に続きます。