(2023.2.9更新)
今回は平成31年前期試験の問18を確認し、出題された「国民生活基礎調査」について見ていきます。


問18 国民生活基礎調査
 
次の文は、「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 全世帯のうち、高齢者のいる世帯は、約2割を占める。
B 母子世帯は、父子世帯より多い。
C 全世帯のうち、最も多い世帯構造は、三世代世帯である。
D 全世帯のうち、児童のいる世帯は、約1割を占める。
E 高齢者世帯のうち、単独世帯では、女性より男性の方が多い。

(組み合わせ)
    A B C D E
1 ○ ○ ○ × ○
2 ○ × × ○ ×
3 × ○ × × ○
4 × ○ × × ×
5 × × ○ ○ ×

「国民生活基礎調査」からの問題です。
この問題も、一般的な知識やイメージで答えられるものもあるかもしれません。
ですが誤った思い込みもあるかもしれませんので、できれば事前に学習しておきたいですね。

この問題は平成28年の調査結果で古いため、令和5年前期試験の出題範囲である「2019年 国民生活基礎調査の概況」(令和2年7月発表)の数値も見ていきます。

また、問題文にある各用語はこの調査内に説明がありますので、先に紹介します。

三世代世帯」世帯主を中心とした直系三世代以上の世帯をいう。
高齢者世帯」65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。
母子世帯」死別・離別・その他の理由(未婚の場合を含む。)で、現に配偶者のいない65歳未満の女(配偶者が長期間生死不明の場合を含む。)と20歳未満のその子(養子を含む。)のみで構成している世帯をいう。
父子世帯」死別・離別・その他の理由(未婚の場合を含む。)で、現に配偶者のいない65歳未満の男(配偶者が長期間生死不明の場合を含む。)と20歳未満のその子(養子を含む。) のみで構成している世帯をいう。

一つ一つ見ていきます。
解説ではそれぞれの設問のポイントを色付けしました。 

A 全世帯のうち、高齢者のいる世帯は、約2割を占める。 

→×
全世帯のうち65歳以上の者のいる世帯は、約5割です。
2019年 国民生活基礎調査の概況の4ページで確認することができます。
問題文の平成28年においては、「65歳以上の者のいる世帯」は全世帯の48.4%です。
令和元年の数値は全世帯の49.4となっています。

また、「65歳以上の者のいる世帯」と「高齢者世帯」は異なるので注意が必要です。
高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯であり、単に高齢者のいる世帯ではありません。 
調査結果の3ページで高齢者世帯の割合を見ますと、全世帯の28.7 %(令和元年)となり、約3割です。
問題文をよく確認し、何を聞かれているかをはっきりさせる必要があります。
 

B 母子世帯は、父子世帯より多い。

→◯
父子世帯よりも母子世帯の方が多いです。
2019年 国民生活基礎調査の概況の3ページで確認することができます。
問題文の平成28年においては、「母子世帯」は71万2千世帯、「父子世帯」は9万1千世帯です。
令和元年の数値は「母子世帯」は64万4千世帯、「父子世帯」は7万6千世帯です。


C 全世帯のうち、最も多い世帯構造は、三世代世帯である。

→×
世代構造で最も多いのは「夫婦と未婚の子のみの世帯」です。
しかし減少傾向にあり、代わって「単独世帯」が増加しています。

2019年 国民生活基礎調査の概況の3ページで確認することができます。
問題文の平成28年においては、「三世代世帯」は全世帯の5.9%です。
また、最も多い世帯構造は「夫婦と未婚の子のみの世帯」で全世帯の29.5%です。
 
令和元年の数値は「三世代世帯」は全世帯の5.1%、「夫婦と未婚の子のみの世帯」は全世帯の28.4%です。
また年々増加している「単独世帯」は全世帯の28.8%です。
 

D 全世帯のうち、児童のいる世帯は、約1割を占める。

→×
全世帯のうち児童のいる世帯の割合は約2割で、減少傾向にあります。
2019年 国民生活基礎調査の概況の7ページで確認することができます。
問題文の平成28年においては、全世帯のうち児童のいる世帯の割合は23.4%です。
令和元年の数値は21.7で、減少傾向にあります。
単独世帯が増えていることから、児童のいる世帯が減ってきていることがわかりますね。


E 高齢者世帯のうち、単独世帯では、女性より男性の方が多い。

→×
高齢者世帯において、単独世帯では男性より女性の方が多いです。 
2019年 国民生活基礎調査の概況の5ページで確認することができます。
問題文の平成28年においては、高齢者世帯の「単独世帯」では女性4,464世帯、男性2,095世帯です。
令和元年の数値は、高齢者世帯の「単独世帯」では女性4,793世帯、男性2,577世帯です。


「国民生活基礎調査」は平成29年後期にも出題されていますので、次回はその問題で何が問われたかを確認します。