(2022.7.22更新)
今回は神奈川県平成29年試験「社会的養護」問10を解説します。
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問10 特別養子縁組
 
次の文は、特別養子縁組に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 特別養子縁組は、「児童福祉法」に規定されている。
B 特別養子縁組の対象となる子どもは、5歳未満と規定されている。
C 養親となる者は、夫婦であり、共に20歳以上でなければならない。
D 実親との法的な親子関係は終了する。

(組み合わせ)  
    A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 × ○ ○ ○
4 × × ○ ×
5 × × × ○

特別養子縁組に関する基本的知識が問われました。

A 特別養子縁組は、「児童福祉法」に規定されている。

→×
「児童福祉法」ではなく「民法」です。
「民法」第817条の2~第817条の10は特別養子縁組に関した規定であり、「民法」第817条の2において「養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組」を「特別養子縁組」としています。
養親の請求に対して家庭裁判所の審判によって特別養子縁組が成立します。

※実方(じつかた)とは、養子から見た自分の自然血族関係のある親族です。
※養親(ようしん)とは、養子縁組によって親となった者です。

B 特別養子縁組の対象となる子どもは、5歳未満と規定されている。

→×
5歳未満ではなく15歳未満です。
「民法」第817条の5の規定です。
この問題作成時は、特別養子縁組の対象児童の年齢は原則6歳未満でした。
しかし、2020年4月1日「民法」改正により、対象児童の年齢が引き上げられ、
特別養子縁組の審判の請求の時に原則15歳未満であることとなりました。
例外として15歳に達する前から養親となる者が引き続き養育する場合、やむを得ない事由で15歳までに請求ができない場合は、15歳以上でも可能(18歳未満)としています。

C 養親となる者は、夫婦であり、共に20歳以上でなければならない。

→×
20歳以上ではなく原則25歳以上です。
例外として、夫婦の一方が25歳以上であれば一方が20歳以上でも可能です。
「民法」
第817条の4の規定です。

D 実親との法的な親子関係は終了する。

→〇
養子と実方の父母、その血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します。
「民法」第817条の9の規定です。


特別養子縁組については、養親や養子の年齢要件など、いくつか覚えておきたい決まりがあります。
厚生労働省の資料「普通養子縁組と特別養子縁組について」で違いをつかんでおきたいですね。