(2022.7.23更新)
神奈川県平成31年試験「社会的養護」の解説をしています。
今回は問10を解説します。
問題はこちら


問10  事例
 
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
高校2年生のL君(16 歳、男子)は、父からの身体的虐待により小学4年生の時に、現在も暮らす児童養護施設に入所となった。L君の通う高校の担任から、進路希望カードを提出していないと電話があった。
なお、L君の親権者である父は現在、生活保護制度を利用している。

【設問】 L君への担当保育士の対応として、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 「学校から未提出と電話があった。もう高校生だから自覚して行動しろ」と叱責する。
2 高校生だから自主性に任せようと、とりあえず担当保育士は何も対応しない。
3 他の入所児もいる夕食の最中、「そういえば学校から電話があったけど、進路カード出しときなよ」と伝える。
4 1対1で話すことができる場所と時間を設定し、学校担任からの話があったことを伝えL君の気持ちを聞く。
5 「君の家はお金がないから決められないんだよな。それなのに担任の先生もわかってくれないのは困るよな」とL君の味方になる。

児童養護施設の担当保育士の対応として、適切な記述を一つ選ぶ問題でした。
問題文を読みますと、高校2年生のL君の進路が関わっており、進路希望カードを提出していないことから、L君自身が高校卒業後の進路に悩みや迷いを持っているかもしれない、職員に相談したいかもしれないということが想像できます。
そのような状態で、
1「叱責する」、2「何も対応しない」 こと、またプライバシーが関わる中で、3「他の入所児もいる夕食の最中」、5「君の家は~」は不適切であることがわかりますね。
よって、答えは4です。
集団生活ですので、子どもたち一人ひとりのプライバシーには十分な配慮を払うことが大切です。
他の人がいない場所で、子どもが自分自身の気持ちを伝える機会を職員がつくることは適切な対応といえます。

また、進学や就職支援について、
児童養護施設運営指針」13~14ページでは以下のように述べられています。
・進路選択に必要な資料を収集し、子どもに判断材料を提供し、十分に話し合う。
・高校卒業後の進学についてもでき得る限り支援する。
・事業主等と密接に連携するなど、職場実習の効果を高めるよう支援する。
・子どもの希望に応じてアルバイト等就労体験を積めるよう支援する。

これらより、児童養護施設では子どもの進学、就職について様々な支援を行っていることがわかりますね。