令和3年前期試験「社会福祉」の問題を一つ一つ解説しています。
今回は問10の「民生委員」についてです。


問10 民生委員
 
次の文のうち、民生委員に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 住民の相談に応じ、必要な援助を行う。
B 職務に必要な知識および技術の修得に努めなければならない。
C 給与は支給されない。
D 任期は5年である。
(組み合わせ)
   A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

「民生委員法」の規定が出題されました。
Aは令和2年後期試験にも出題があり、CやDは一問一答などでも見たことがあるような内容ですね。
BがわからなくてもA、C、Dがわかれば答えを選ぶことができます。

この問10のB、問6の「母子及び父子並びに寡婦福祉法」の問題、問9の専門職の問題など、これまで問われたことのないような条文が出ていますね。
全体として条文を読み込むことが求められるような試験でした。

1つずつ見ていきます。


A 住民の相談に応じ、必要な援助を行う。 

→〇
「民生委員法」第1条
「民生委員は、社会奉仕の精神をもつて、常に住民の立場に立つて相談に応じ、及び必要な援助を行い、もつて社会福祉の増進に努めるものとする。」



B 職務に必要な知識および技術の修得に努めなければならない。

→〇
「民生委員法」第2条
「民生委員は、常に、人格識見の向上と、その務を行う上に必要な知識及び技術の修得に努めなければならない。」


C 給与は支給されない。

→〇
「民生委員法」第10条
「民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする。ただし、補欠の民生委員の任期は、前任者の残任期間とする。」


D 任期は5年である。


→×
5年ではなく3年です。

「民生委員法」第10条
「民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする。ただし、補欠の民生委員の任期は、前任者の残任期間とする。」


では、過去に民生委員についてどのような問題が出題されたかを紹介します。


関連過去問
 
民生委員は、児童委員の中から選任され、市町村長が委嘱する。 (平成25年)

→×
民生委員と児童員は同じものです。
また、民生委員を委嘱するのは、厚生労働大臣です。

「民生委員法」第5条
「民生委員は、都道府県知事の推薦によつて、厚生労働大臣がこれを委嘱する。」
 
民生委員は、「生活保護法」に基づいて、生活保護業務の補助的な役割を担う。(平成30年後期)

→×
民生委員は「民生委員法」に基づいて役割を担います。
また、「生活保護法」では民生委員の協力について定めています。

「生活保護法」第22条
「民生委員法に定める民生委員は、この法律(=生活保護法)の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。」



次は問11の「パールマンの4つのP」の解説です。