令和3年前期試験「社会福祉」の問題を一つ一つ解説しています。
今回は問13の「相談援助の原理・原則」についてです。


問13  相談援助の原理・原則
 
次の文のうち、相談援助の原理・原則に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 受容とは、利用者をあるがままに受け入れることである。
B 個別化とは、一人一人の利用者を個人としてとらえることである。
C 非審判的態度とは、利用者を一方的に非難しないことである。
D 利用者の自己決定の尊重とは、利用者は自己決定権を有しており、支援者は利用者の自己決定を侵害してはいけないことである。

(組み合わせ)
    A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○

これはバイステックの7原則のことですね。
バイステックの7原則
(対人援助における、援助者に求められる7つの行動規範)
1.個別化(利用者の生活問題の個別性を理解する)
2.意図的な感情表出(利用者の自由な感情表出を促すよう意図的にかかわる)
3.統制された情緒的関与(援助者自身の感情を自覚的にコントロールして利用者に反応する)
4.受容(利用者の「あるがまま」を受け入れる)
5.非審判的態度(援助者の価値観によって利用者を一方的に非難しない)
6.自己決定(利用者の自己決定を尊重する)
7.秘密保持(利用者に関する情報を不必要に漏らさない)


令和2年後期試験の問14(事例問題)は、このバイステックの7原則にもどついて答えを選ぶような問題でした。
また、このブログでも模擬試験に取り入れていました。
様々な出題が考えられますので、7原則の名称と内容はしっかりと覚えたいですね。

一つずつ見ていきます。

A 受容とは、利用者をあるがままに受け入れることである。

→〇
正しい内容です。
クライエントの意見を肯定や評価、否定や批判をしたりするのではなく、しっかりと受け入れます。


B 個別化とは、一人一人の利用者を個人としてとらえることである。


→〇
正しい内容です。
クライエントの抱える問題は人それぞれ違うもので、似ているものであっても全く同じ問題はないという考えです。
クライエントを個人としてとらえて、クライエントの状況に応じて個別的に対応する必要があるということです。


C 非審判的態度とは、利用者を一方的に非難しないことである。 

→〇
正しい内容です。
援助者の価値観にもとづき、クライエントを非難してはいけません。


D 利用者の自己決定の尊重とは、利用者は自己決定権を有しており、支援者は利用者の自己決定を侵害してはいけないことである。

→〇
正しい内容です。
クライエント自身が問題の結論を導き出せるように支援していくことが求められています。


バイステックの7原則について、関連過去問を紹介します。(平成30年後期



平成30年後期「社会福祉」
 
次の文は、バイスティックによる相談援助の原則に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「自己決定の原則」とは、来談者の判断に誤りがあったとしても、それを指摘せず、来談者の決定に従うというものである。
B 「秘密保持の原則」とは、本人や他者の生命や身体を保護するために必要な場合であっても、来談者からの相談で知りえた情報を来談者の了解なく部外者に伝えることはしてはならないというものである。
C 「受容の原則」とは、相談当初においては来談者の言うことをすべて肯定するよう努めなければならないというものである。
D 「非審判的態度の原則」とは、問題の発生の原因に対して、来談者にどの程度責任があるか、あるいは、道徳的にどんな罪があるかと、決めつけることを排除するというものである。

(組み合わせ)略

A × クライエントの決定に従うのではなく決定を尊重することです。クライエントが適切な解決ができるように援助者は情報提供などを行って支援をしていきます。
B × 個人情報やプライバシーは漏らしてはなりませんが、「本人や他者の生命や身体を保護するために必要な場合」は例外と言えます。
C × 肯定や否定をするのではなく、あるがままを受け入れることです。
D 〇 正しい内容です。


次は問14の「相談援助の方法・技術」の解説です。