神奈川県平成31年「社会福祉」の解説をしています。
今回は問4です。
問題はこちら




問4 児童の権利に関する条約
次の文は、「児童の権利に関する条約」第28条に関する記述である。誤ったものを一つ選びなさい。

1 初等教育を義務的なものとし、高等教育については希望するすべての者に対して無償のものとする。
2 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
3 すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
4 すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、 これらを利用する機会が与えられるものとする。
5 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。

「児童の権利に関する条約」は主に、子ども家庭福祉、社会的養護に出題されており、社会福祉に出るのはめずらしいです。
平成27年~令和3年前期まで(神奈川のぞく)の出題はこちらの記事にまとめています。


このまとめ記事によると全国試験では社会福祉での出題はありませんね。
また、この記事の中にも第28条の出題はありませんでしたので、第28条を事前におさえておくことは難しいと感じます。
第28条は何が定められているかというと、教育を受ける権利です。
子どもは教育を受ける権利があり、国はすべての子どもが初等教育を受けられるようにすること、そしてさらに上の学校での教育を望む場合はすべての子どもにその機会を与えることなどを定めています。

1 締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、

(a) 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。
(b) 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
(c) すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
(d) すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。
(e) 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。

2 締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。


3 締約国は、特に全世界における無知及び非識字の廃絶に寄与し並びに科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。



1つずつ見ていきます。

1 初等教育を義務的なものとし、高等教育については希望するすべての者に対して無償のものとする。

→×
第28条第1項(a)と(c)より、初等教育を義務的なものとして無償のものとすること、能力に応じてすべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとするとしていますが、高等教育の無償については述べられていません。


2 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。

→〇
第28条第1項(b)です。



3 すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。

→〇
第28条第1項(c)です。



4 すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、 これらを利用する機会が与えられるものとする。


第28条第1項(d)です。



5 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。


第28条第1項(e)です。



次回は問5を確認します。