神奈川県平成31年「社会福祉」の解説をしています。
今回は問9です。
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問9  社会福祉分野における人材
次の文は、社会福祉分野における人材に関する記述である。正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 障害児相談支援事業所には相談支援専門員を置かなければならない。
B 児童福祉司は、社会福祉主事として3年以上児童福祉事業に従事した経験があればなることができる。
C 児童委員の職務の一つとして、児童及び妊産婦に対する保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導がある。
D 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者は、保育士になることができない。
E 社会福祉士は、その業務を行うに当たり、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

(組み合わせ)
   ABCDE
1○○×○×
2○×○×○
3×○○××
4×○×○○
5××○×○

とても難しい問題で、AやEを事前に学習できたかというと、厳しい!という印象を持ちます。
ただ、B、C、Dは「児童福祉法」に定められた内容であり、学習の中で見覚えがあるかもしれません。

そして解答テクニックとして時々ブログで紹介していますように、〇×問題では、数字(数値)部分に誤りを設けている場合がよくあります。
この問題の場合ですと、B「3年」とD「5年」という部分ですね。
ここをまず疑って、頭の中の知識と結び付けていくようにするとよいですね。


1つずつ見ていきます。


A 障害児相談支援事業所には相談支援専門員を置かなければならない。

→〇
障害児相談支援事業所」はほとんど出題がありません。

まず、障害児が通所支援(児童発達支援、放課後等デイサービスなど)を利用する前に障害児支援利用計画を作成したり、利用が始まってから利用状況等を検証したりすることを「障害児相談支援」といいます。
つまり、障害児が通所支援を利用する際に、この「障害児相談支援」を行う場所が障害児相談支援事業所ということですね。

この「障害児相談支援」は「児童福祉法」に定められていますが、問題文の「相談支援専門員」は「児童福祉法」ではなく、「児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」に定められています。
この第3条第1項に「・・・専らその職務に従事する相談支援専門員(指定障害児相談支援の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるものをいう。以下同じ。)を置かなければならない。・・・」としています。



B 児童福祉司は、社会福祉主事として3年以上児童福祉事業に従事した経験があればなることができる。

→×
3年以上ではなく2年以上です。
児童福祉司は「児童福祉法」に定められた専門職で、児童相談所に配置義務があります。
第13条第3項で「児童福祉司は、都道府県知事の補助機関である職員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、任用しなければならない。」として1~8の任用資格が必要であることを定めています。

その中で、社会福祉主事については「社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者であつて、厚生労働大臣が定める講習会の課程を修了したもの」としていますので、3年ではなく2年以上の経験と、講習会の過程を修了しなければなりません。



C 児童委員の職務の一つとして、児童及び妊産婦に対する保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導がある。

→〇
児童委員は「児童福祉法」に定められています。
このCは、第17条第2項の条文通りです。
「児童及び妊産婦につき、その保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導を行うこと。」



D 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者は、保育士になることができない。

→×
5年ではなく2年です。
保育士は「児童福祉法」に定められています。
このDは第18条の5第2項の条文です。
「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者」



E 社会福祉士は、その業務を行うに当たり、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

→〇
社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められています。
このEは第47条の条文の内容です。
「社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービスが総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。」


次回は問10を確認します。